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女子人気衰えず!昨季と同じ37試合。男子は国内2減3増、海外2増の計27試合。減少に歯止めはかかったが・・。15年ツアー日程決まる

賞金総額、史上最高33億3300万円にはねあがった2015年度の女子ツアー日程を発表する入江由香副会長(左)と小林浩美会長(右)=東京千代田区、ザ・キャピトルホテル東急
賞金総額、史上最高33億3300万円にはねあがった2015年度の女子ツアー日程を発表する入江由香副会長(左)と小林浩美会長(右)=東京千代田区、ザ・キャピトルホテル東急

男子ツアー(日本ゴルフツアー機構=JGTO)と女子ツアー(日本女子プロゴルフ協会=LPGA)が、それぞれ2015年度のツアー日程を発表しました。人気の続く女子ツアーは1増1減で14年度と同じ37試合。3月6日の開幕のあと、7月上旬に2週休むほかは11月26日からの最終戦まで、毎週トーナメントが組まれています。また、試合数は昨季と同数ですが、賞金総額は過去最高の33億3300万円をマークしました。低迷が続いた男子ツアーは、5増2減(復活のタイOPを含む)で27試合(海外との共同主管試合3試合)になり、試合数、賞金総額に歯止めをかけました。しかし、国内では21年間続いたつるやオープンや5年続いたTOSHIN ゴルフトーナメントが消えるなど、依然、懸念される不安定なスケジュールは解消されていません。 ☆    ★    ☆

14年LPGAアワード表彰式で挨拶する小林浩美会長(ザ・キャピトルホテル東急)
14年LPGAアワード表彰式で挨拶する小林浩美会長(ザ・キャピトルホテル東急)

相変わらず高い人気を保っている女子ツアーからみてみましょう。新規大会は「大東建託・いい部屋ネットレディス」(主催・大東建託KK)。開催コースは富士山麓、河口湖に近い林間コース、山梨・鳴沢GC。7月31日~8月2日の3日間で賞金総額は8000万円です。開催中止になるのは日医工女子オープン(日医工は下部のステップアップツアーで新規開催)。1増1減で試合数は変わりませんが、賞金をアップした試合が4試合。リゾートトラスト、NEC軽井沢72、ニトリの3試合が、いずれも1000万円増額の8000万円。米女子ツアーとの共催の「LPGAジャパンクラシック」(元ミズノクラシック)が、10万㌦増の130万米ドルへアップ。経済不況が長引くご時世で、トーナメント開催をやめるどころか、賞金をアップする企業があるのですから、女子プロツアーの人気度がうかがえます。

LPGAアワード表彰式で勢ぞろいした女子ツアー主力選手たち。前列左から4人目・樋口久子相談役。同5人目・小林浩美会長(ザ・キャピトルホテル東急)
LPGAアワード表彰式で勢ぞろいした女子ツアー主力選手たち。前列左から4人目・樋口久子相談役。同5人目・小林浩美会長(ザ・キャピトルホテル東急)

しかし、ひとつ驚かされたのは、16年間「ミズノクラシック」で親しまれてきた「ミズノ」が冠(特別協賛)から降りたことです。 小林浩美会長も「長年お世話になったのに、びっくりしました」と、残念さをにじませていましたが、とりあえずは「ミズノ」の冠が消えて「LPGAジャパンクラシック」と名称が変わりました。この試合を仕切っている毎日放送と協会が、11月の開催に向けて新しく特別協賛してもらえるスポンサーを探すことになりますが、どうなりますかー。 3月の第1週、恒例の開幕戦、ダイキンオーキッドレディス(沖縄・琉球GC)から、11月の最終週、LPGAツアー選手権リコー杯(宮崎CC)まで、びっしりと日程が詰まっている女子ツアーですが、7月の第1週、2週だけがオープン・ウイークになっています。

大勢のギャラリーで賑わう女子ツアー。
大勢のギャラリーで賑わう女子ツアー。

人気絶頂の女子だけに、まだまだ新規開催希望の企業があるのでは・・との情報もありますが、小林浩美会長は「沢山のオファーがあってうれしい限りです。試合数が増え、賞金額が増えるのは選手のモチベーションも高くなってうれしい限りです。いろいろな状況で、発表させていただいたような日程になりました。もっと開幕日を繰り上げるとか、最終戦をずらすとか、そういった枠組みを変更する気持ちはありません。試合が増えるのは選手にとって仕事のチャンスが増えるのですから、今後も増やせるものはさらに増やしていきたいと思っています」と語っています。 4日間大会は9試合と変わりませんでしたが「世界で戦える選手へレベルアップするためには3日間でなく4日間大会が望ましいです。現在まだ検討している大会もあります。オリンピックに向けても選手の質を上げていきたいし、ツアーの強化は常にテーマです。ステップアップツアーも2日間から3日間大会を増やし、ツアーの4日間への推奨は積極的に行っていきます。コースセッティングのバリエーションも増やして選手の対応力を強化していきたい。米ツアーでは4日間が主流ですし、世界に通用するツアーへ存在感を高めていきたい」と、自らの米ツアー経験からも4日間大会への移行とツアーの強化が重点課題であると小林会長は力を込めていました。

圧倒的な強さで3度目の賞金女王になったアン・ソンジュ(韓国)のショット。
圧倒的な強さで3度目の賞金女王になったアン・ソンジュ(韓国)のショット。

これに関連して7月に行われるプロテストも、今年から3日間から4日間競技にすると発表しました。人気絶頂の女子ツアーですが、小林会長は、これで事足れりとするのではなく、まだまだ上方を目指した女子プロの発展を目指しているようです。 一方男子ツアーです。石川遼や松山英樹の米ツアー転出による人気低迷の中で、15年度はかろうじて復調の兆しがみえてきました。21年間続いた老舗トーナメント、つるやオープンと5年の実績があるTOSHIN GOLF TOURNAMENTの2試合が撤退しましたが、新たに国内では、日本シニアツアーや海外のゴルフ界に参画してきた国際スポーツ振興協会(半田晴久会長)の「ISPSハンダグローバルカップ」(山梨・ヴィンテージGC)、美容脱毛サロンのミュゼプラチナムを運営するジンコーポレーション主催の「ミュゼプラチナムオープン」(兵庫・ジャパンメモリアルGC)、賞金王の小田孔明や急成長の岩田寛。女子でも賞金ランク2位のイ・ボミ(韓国)らと契約する老舗クラブメーカーの本間ゴルフが、アコーディアゴルフと共催する「HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF」(茨城・石岡GC)の3試合が新設されました。減少する一方だった男子ツアーに久々の活気です。さらに海外ではマレーシアで開催されるバスコリー・クラシック(マレーシア・テンプラーパークCC)が新規に加わり、復活するタイランドオープンを含めて海外計3試合が、賞金ランク加算で日本ツアーに参画します。海外ツアーとの共同主管は、ワンアジアツアー2試合(タイランドOP、インドネシアPGA選手権)、アジアンツアーも2試合(バスコリー・クラシック、アジアパシフィックOPダイヤモンドカップ=大利根CC)の4試合で、海外開催は3試合となります。トータルして、14年の24試合から3試合増の27試合に増える勘定です。海外ツアーとの共同主管試合については、JGTOがグローバル化を目指してかねてから進めてきたプランで、今後も積極的に共同主管試合を組んでいく方針です。

2015年、久々に試合増の2015年男子ツアー日程を発表する山中博史理事(中央)=東京・溜池
2015年、久々に試合増の2015年男子ツアー日程を発表する山中博史理事(中央)=東京・溜池

14年度は海外との共催試合を3月に行い、国内第1戦の東建ホームメイト杯にさきがけての″開幕〝になっていましたが、15年は海外試合は6月以降に移動。従って東建ホームメイト杯が従来通りツアー開幕戦(4月16~19日)となります。試合増に伴い賞金総額も2億2386万円増加して34億7750万円。08年以来、7年ぶりに34億円超を回復しました。 また、女性向けの美容脱毛サロンを経営するミュゼプラチナムが、男子ツアーに参入してきたのも異例ですが、″男性への認知度アップ〝を目指しているというのも時代の流れでしょうか。14年から参入してきたダンロップ・スリクソン福島オープンは、賞金総額5000万円(優勝賞金1000万円)と小規模大会で注目を集めましたが、15年度も同じ規模での開催となります。「賞金は低くても新しい試合を増やして欲しいと選手会からもいわれています。賞金や運営コストもカットしてでも新しいスポンサーが出てきてくれればありがたい。また、試合のない1~3月の期間の使い方や、普段トーナメントの見られない地域での試合開催などは今後の課題です。ツアーですから、全国を回れるようにしたい。まあ、男子ツアーは人気がないという評判の中で、15年は若干数でも試合が増えたのはうれしい限りです」(JGTO山中博史理事)。

15年の男子ツアー初の賞金王になった小田孔明のショット(日本シリーズJT杯=東京よみうり)
15年の男子ツアー初の賞金王になった小田孔明のショット(日本シリーズJT杯=東京よみうり)

しかし、開催中止になった試合が2つもあり、さらに″撤退〝がうわさされているトーナメントもいくつかあります。21年も続いたつるやオープンは、15年は中止が決定していますが「16年はなんとか開催したいとスポンサーから聞いています」(山中理事)と、復活の意向があるそうです。また、TOSHINは「いまは開催申し込みはできないが、灯を消したくないので2月中をメドに事情がつけばこれまでと違う週にでも再検討したい」と、こちらも開催に未練を残しています。新旧織り交ぜて泣き笑いが交錯する男子ツアーです。スター不足と生きのいい若手の台頭が見られない現状が、スポンサーに二の足を踏ませていることは否めません。海外ツアーとの協力体制や、賞金額も落とした小規模試合など、新しい時代に即応した運営姿勢を強く打ち出していくことが男子ツアーには迫られているようです。