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ST・アンドルーズからバンカーレーキ(バンカーならしの熊手)を取り寄せた日本プロゴルフ協会。来年の日本プロ日清杯(北海道クラシックGC)のバンカーは難しいぞ!!

セント・アンドルーズから取り寄せたバンカーレーキをかざして説明するPGA倉本昌弘会長(北海道クラシックGC=15年8月31日)
セント・アンドルーズから取り寄せたバンカーレーキをかざして説明するPGA倉本昌弘会長(北海道クラシックGC=15年8月31日)

日本プロゴルフ協会(PGA)が、8月31日北海道・千歳郊外の北海道クラシックゴルフクラブで「PGAチャンピオンシップ・サミット2015」というイベントを開催しました。北海道クラシックは来年度の日本プロ日清カップの大会会場となるコースで、倉本昌弘会長以下関係者が集まり、その84回大会の開催概要、および第85回(2017年)は「沖縄・喜瀬カントリークラブ」、第86回(2018年)は千葉・房総カントリークラブ 、さらに第87回(2019年)は「鹿児島いぶすきゴルフクラブ」で日本プロを開催すると、4年先までの開催コースも発表され、各コースの代表者と倉本会長によるの調印式も行われました。その中で、来年開催の北海道クラシックでは″バンカーならし〝を荒い目のレーキを使用し「楽には脱出できないバンカー本来のトラップ(わな)にする」と倉本昌弘会長が強調して注目されました。

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「PGAチャンピオンシップ・サミット2015」で日本プロ選手権日清杯の大会詳細を発表するPGA倉本昌弘(北海道クラシックGC=15年8月)
「PGAチャンピオンシップ・サミット2015」で日本プロ選手権日清杯の大会詳細を発表するPGA倉本昌弘(北海道クラシックGC=15年8月)

新千歳空港から車で約30分、勇払郡安平(あびら)町早来の北海道クラシック。開場から24年。帝王ジャック・二クラウス設計、随所に池を配した雄大なアメリカンスタイルのコースです。すでにここでの来年第84回日本プロ日清杯の開催は決定していましたが、ほぼ1年前になる8月、現地北海道クラシックGCで大会概要についての発表会を開催したのです。PGAの倉本会長はじめ、植田浩史、井上建夫、坂井初敏副会長ら各理事。ゲストとして、日本プロの歴代開催コースである恵庭CC(第77回=09年)ゴールデンバレーGC(第82回=14年)太平洋クラブ・江南(第83回=15年)、来年度の北海道クラシックGCの代表者。さらにはこの日発表された沖縄・喜瀬CC(第85回=17年)、千葉・房総CC(第86回=18年)、鹿児島・いぶすきGC開聞(第87回=19年)の各開催コースの代表者が招かれました。広告代理店関係者やマスコミ関係者ら、合わせて約60人が集結。コース視察プレーのあと記者発表会を行う盛大なイベントになり、プロゴルフ協会の熱意のほどがうかがえました。

来年度の日本プロ日清カップが開催される北海道クラシックのコース管理スタッフとともに発表する倉本会長(右)と植田浩史副会長(左)=北海道クラシック
来年度の日本プロ日清カップが開催される北海道クラシックのコース管理スタッフとともに発表する倉本会長(右)と植田浩史副会長(左)=北海道クラシック

倉本会長は記者会見の冒頭「ここ北海道クラシックは、ジャック・二クラウスの設計で戦略性にも富んでいて素晴らしいコースです。コースの全景や芝生の状態などを皆さんに見ていただき、貴重な一日になったと思います。二クラウスが本格的なチャンピオンコースとして設計を手掛けているだけにわれわれのコースセッティングもやりがいがあります。ここは広いフェアウェイが特徴ですが、ピンポジションによっては非常にシビアな設定ができる。特にフェアウェイを狭くしたり、ラフを必要以上に伸ばしたりはしたくない。二クラウスの作った設計の意図はしっかりと残したセッティングにしたい」と来年度大会の基本姿勢を語りました。また、ここ2年間、日本プロは、数ホールでティーグラウンドを変えたりする手法を施してきましたが、何といっても来年の北海道クラシックで注目されるのは「バンカーです」と倉本会長は力説しました。

 

来年7月に日本プロ日清カップが開催される北海道クラシックGC
来年7月に日本プロ日清カップが開催される北海道クラシックGC

バンカーは本来、ハザードとしての存在するもので、その難易度が勝敗のキーポイントとなってもおかしくはない。倉本会長は「大会会長として私は、バンカーはあくまでもバンカーでなければならないと思っています。最近の日本のツアーでは、歯と歯が狭いバンカーレーキ(砂をならす熊手)できれいに砂をならしている。特にレーキの上側でならせば、歯が立たずに砂が真っ平らになる。これではバンカーでなくなります。ラフに入れるより、バンカーに入った方が簡単だという状況があります。私は、バンカーに入れたら1打損とまではいいませんが、0.5ストロークのペナルティは確実に課せられるバンカーであってほしいと思う。レーキの歯で作り出す波型は見た目で美しいですが、その波状の起伏次第でバンカー脱出の難易度が違ってくるのです」と、訴えます。

ジャック・二クラウスが主宰する米ツアーのメモリアル・トーナメント(米ミュアフィールド・ビレッジGC)がそうだし、今年開催された全英オープン(セント・アンドルーズ)も、バンカーは歯と歯の幅が広いレーキを使っているので、ならした後の波型は、間隔が広くて深い。その″谷間〝にボールが入ると、脱出するには高度なテクニックを要します。倉本会長は、今年7月の全英オープンで使用されたのと同じレーキをセント・アンドルーズから取り寄せて出席者に示し、これと同型のものを来年の北海道クラシックで使用すると明言しました。しかも「ならす方向をグリーン方向にせず、グリーンには直角になるようにならしてもらう」(倉本会長)といっていますから、バンカーの難度は一段と増すでしょう。「バンカーが少しペナルティになった方が、選手個々のショットの難易度も高まり、ゲームの戦略性という面でも面白味が増すと思っています」(倉本会長)。

 

北海道クラシックのコース
北海道クラシックのコース

通常のトーナメントでやっているように各組のキャディーがバンカーをならすのではなく、大会では1組に一人、バンカー専門にならす″バンカーキーパー〝を付けて、マニュアル通りに整備をしてもらう計画。そのために大会期間中、各日40人のボランティアを募集予定(詳細は来年1月に発表)という新しい試みに挑戦します。ただ、マニュアルをしっかり厳しく設定しないと、ボランティアの個人差によってならし方に格差ができてしまいます。そうなると選手に不公平になる恐れがあります。その辺りを徹底することが必要になってくるでしょう。この新しい試み、″見もの〝というところでしょう。

次に、2017年大会が決定した沖縄・喜瀬CCについてですが、このコースは07年に日本プロが当地で開催されました。17年は2度目の大会となりますが、当時から話題になった海風、海水、高温に強い芝、バミューダ種の「シーショアパスパラム」を日本で初めて導入したコースなのです。16年に行われるオリンピック・ゴルフと同じものですが、この喜瀬で前回勝ったのが伊澤利光。倉本会長は「伊澤選手は、マスターズ4位(01年)やゴルフワールドカップでの優勝経験(02年)を持っているプロ。バミューダ種の芝でゴルフの技術を磨くということが、いま世界レベルのコースに慣れる主流だと思う。こういう芝を征服した強い選手こそが、(伊澤のように)世界でも通用するということです」と、喜瀬コースを絶賛しています。同コースのオーナー、呉屋守将・金秀グループ会長も「10年目にまたメジャーを開催できるのは感慨深い。ヤシの木とオーシャンビューを楽しみにぜひコースにお越しいただけたら嬉しい」と、話していました。コースではすでにメジャー開催に向けて緊張感が生まれ、整備にとりかかっているということです。

日本プロゴルフ協会が主催する唯一のツアーが「日本プロゴルフ選手権」。現在、冠になっている日清食品とPGAとの提携契約期限は、いまのところ2017年まで。18年以降、日清が契約継続を行うかどうかは未定。従って「日清カップ」の名称がいまつけられるのは17年大会の喜瀬まで。房総CCといぶすきGCは現時点では「日清カップ」の名称はつけられません。