Daily Archives: 2020 年 9 月 23 日

超スーパーショット連発でプロ初勝利を呼び込んだ20歳ルーキー。古江彩佳の衝撃デビュー!!

笑顔 感動」と記した色紙を掲げ、プロでの活躍を誓った古江彩佳。(昨秋10月、プロ転向会見で)

ミレニアム世代・古江彩佳(あやか、20)のプロ初優勝は、超スーパーショットを連発した衝撃的なものでした。昨年10月富士通レディスで史上7人目のアマチュア優勝⇒即プロ転向を果たした古江。プロ転向10戦目(今季6戦目)のデサント東海クラシック(新南愛知CC美浜)。正規ラウンド18番、東浩子(28)とロングパットの応酬で決着がつかずに持ち込んだプレーオフ。1ホール目、東が7㍍に乗せたあと、古江のセカンドショット(114ヤード)は直接カップインかと思わせるきわどい1打でピンをかすめ、カップ20㌢に止まる過激過ぎるスーパーショット。バーディーパットを外した東を突き放し、これ以上ない派手なプロ初勝利(通算2勝目)。2000年生まれのミレニアム世代の代表格らしい″プロデビュー〝で、賞金ランクも6位に浮上。女子プロ界は、また一人若々しい勝負師を誕生させました。

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用具使用契約を結んだブリヂストンスポーツのクラブを前にした古江彩佳。(19年10月29日、都内で)

女子ゴルフの世界には「最強アズマ軍団」というグループがあります。1998年生まれの黄金世代が台頭し始めた2018年夏、成田美寿々、青木瀬令奈、葭葉ルミ、香妻琴乃ら同じ92年生まれの女子プロが結成した集まりで、東浩子(28)がキャプテンに祭り上げられた軍団がそれです。トシが経ち、いまや黄金世代からミレニアム世代(2000年生まれ)に移り、されらに2001年生まれ(19歳)の新世紀世代まで、女子プロ界は目を見張るような速さで″若さ〝が蹂躙(じゅうりん)する舞台となってきました。

いまや″昔の名前〝となりつつある「最強アズマ軍団」の名を、久々に思い出させてくれたツアー未勝利の東浩子。初日、2日目と60台を連発してミレニアム世代の古江と通算11アンダーでトップに並びました。片や昨年10月、富士通レディスでアマチュア優勝。プロテストは免除されてプロになったホヤホヤの古江です。プロ転向から10戦目を迎えたばかり。ぶれないドライバーが武器で、どのショットもあまり曲げない古江のゴルフですが、今回も3日間54ホールノーボギーで通した安定度抜群のゴルフをみせていました。

プレーオフの前、正規ラウンドを通算14アンダーで東と並んできた最終18番グリーン。古江はピンへ18㍍の遠い位置。東は7㍍にともに2オンしていました。ところが、先に打った古江のロングパットはスルスルとラインに乗り、ボールはなんと直接カップに消えたのです。18㍍を入れたバーディー。「あれで一瞬は勝ったかなと思いました」と振り返った古江。それを見た東は、外せば負け7㍍の背水のパットをこれまた入れ返したのです。まさに壮絶な一騎打ち。
18番、パー4を使ったプレーオフ1ホール目。東は先に第2打をピン7㍍に着実に2オン。古江の残りは114ヤード。ピッチングウエッジを手にしたコントロールショット。これがなんとカップの脇、3センチに着地。ピンをかすめて20㌢に止まるという超スパーショットとなったのです。ギャラリーのいない無観客開催でしたが、観衆がいたらコースには怒涛の歓声が渦巻いたことでしょう。東のバーディーパットは入らず、タップインした古江の会心の勝利でした。

古江彩佳とは兵庫・滝川二高時代の同期生・安田祐香。プロルーキーイヤーでの活躍が注目。

★プロ初勝利を挙げた古江彩佳のコメント。
「あのセカンドショットは手応えも当たりもよかったので、あとは池と風(アゲンスト)がどうきくかなと心配でした。でもあそこで完璧なくらいのショットができたので自分を褒めたいなと思いました。PWで30㌢なかったですね。正規ラウンド同点できた18番は、ティーショットをフェアウェイに置いてからが始まりだと思っていたのに、ラフにいっちゃった。で、セカンドは遠くに乗ってしまい(古江談=20ヤード)何やってるんだ、と思ってました。長いパットだったのでタッチ合わせてパーで、と思ってました。すごくいいラインに出たとは思ったのですが、カップに吸い込まれるように入ったので本当に嬉しかったです。正規の最終日は攻めたいけど守りも必要というのが邪魔して難しい。プレーオフは、攻めるしかないって思えたので、それがショットに生きたかなと思います。富士通でアマで勝ったときは、淡々とやれて取れるところでとれていたのですが、プロになると最終日の後半は緊張で体がちょっと動かないことがあった。そこがプロとして変わったとこかなと。(3日間ボギーなしだが)アプローチが寄ってくれたり、パターも3㍍くらいのパーパットもしっかり決められたのでボギーを打たなかった。次は大きなメジャー(日本女子オープン)なので頑張りたいが、まずは予選を通過してからですね。自分のプレーをして楽しくいければいいなと思っています。ミレニアム世代とかとかいわれますが、自分では全然考えていません。周りのことは考えず、自分が頑張るだけ。自分自身との戦いかなと思っています」

昨秋のプロテスト合格組の吉田優利。18年には日本女子アマと日本ジュニアの2冠を制したトップアマ。プロ初Vが待たれる。

プロ9年目の初優勝を逃がした東は「(古江さんは)若さだけじゃなく、全部そろっている」と称えましたが、アマチュアで勝ち、プロ1年目では早々と内容の濃い1勝を勝ち取った古江彩佳はただ者ではなさそう。ゴルフもうまいですが、しぶこに負けない笑顔をプレー中も絶やさないのも彩佳の魅力のひとつでしょう。
3日間54ホールボギーなしの優勝は史上8人目。現在ボギーなしは64ホール連続中で、次戦は日本女子オープン(10月1~4日、福岡ザ・クラシック)。申ジエが持つツアー記録「81ホール」の更新に期待がかかります。神戸市生まれ。滝川二高は安田祐香と同級生。JGAナショナルチームメンバー体験。19年春から六甲国際GCで研修生も。10月の富士通レディスでアマ優して即プロ転向。2000年生まれのミレニアム世代の代表格。絶やさない笑顔の裏には、若さに似あわない勝負度胸を秘めています。世代闘争のなか、賞金女王目指していける逸材といっていいでしょう。

(了)