鳴り物入りで昨年10月にプロ転向、いきなり「ダンロップフェニックス」でプロ初優勝するスーパーデビューを果たした金谷拓実(東北福祉大4年、この春卒業予定)。1月には米ツアーの「ソニー・オープン(ハワイ)」で海外デビューし、続けて2月には欧州ツアーの「ドバイ・デザートクラシック」(ドバイ)、「サウジ国際」(サウジアラビア)と3戦を戦い終えましたが、予選落ち、9位、53位とホロ苦いプロの洗礼を浴びました。
欧州ツアーを主戦場にし今季もシード権を持っている川村昌弘(27)も、ドバイでは予選落ちのあと、サウジでは最終日に崩れて通算2アンダー50位のフィニッシュでした。
海外に出ると苦戦を強いられる日本勢ですが、「ドバイ・デザート」でトップ10入りした金谷拓実は、世界ランクで19ポイント・アップを果たし、石川遼、星野陸也を抜き日本勢3番手に躍進です。スーパールーキー金谷への期待度は、今後も衰える気配はありません。
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2年前のアマチュア時代に金谷が米ツアーデビューを飾ったソニー・オープン(ハワイ)では、プロになった今年も1打及ばず予選落ち。ハワイでの2日目最終9番パー5は、決めれば予選通過だった約6㍍ のイーグルパットが約30㌢届かずに天を仰ぎました。その苦い経験を「次の試合で生かしたい」と語って欧州ツアーに臨んだ金谷でした。アラブ首長国連邦、エミレーツGC(パー72)での欧州初戦の「ドバイ・デザートC」は、川村昌弘の予選落ちを見やりながら2日目の金谷は3バーディー、ボギーなしの69を出し、トータル5アンダーと伸ばしてトップと5打差の19位と好位置につけました。3日目に72と伸ばせず足踏みしたのが痛かったですが、最終日は5バーディー、2ボギーの69と盛り返して9位まで順位を上げて締めくくったのはさすがでした。プロとして初参戦した欧州ツアー初戦で、いきなりトップ10入りを果たし、2戦目の「サウジ国際」に向けて弾みをつけました。
「ドバイデザート」が終わった1月31日付の男子ゴルフ世界ランキングが発表され、ドバイで9位に入った金谷は前週の124位から105位に浮上。日本勢では前週の5番手から3番手に躍進しました。日本勢は松山英樹が米ツアーのファーマーズ・インシュアランスで53位に終わり、2ランクダウンして23位。2番手の今平周吾が1ランクアップで76位。金谷に抜かれて4番手となった石川遼が108位。同じく抜かれた星野陸也が5番手の118位(13ランクダウン)で続いています。金谷は昨年10月のプロ転向時、世界ランクは243位でした。11月の「ダンロップフェニックス」優勝で123位に上げ新年を迎えていました。1月には主催者推薦で出場している欧州ツアー、ドバイ9位で19ポイントアップの105位へと大飛躍を果たしたのです。東京五輪への代表は、6月末時点で上位2人が決定しますが、ここへきて金谷拓実ががぜん上位に食い込んできて予断を許さなくなりました。
で、2戦目の「サウジ国際」(サウジアラビア・ロイヤルグリーンズクラブ、パー70)は世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(米)が断然の強さをみせ、通算15アンダーで2019年に続き2度目の優勝。通算13アンダーの2位タイにはジャスティン・ローズ(英)、12位タイにはセルヒオ・ガルシア(スぺイン)、18位タイには昨年の全米オープン覇者のブライソン・デシャンボー(米)ら世界のそうそうたるトッププレーヤーが顔をそろえたビッグイベント。それらに交じって初日は金谷拓実が4バーディー、1ボギーの67で17位スタート。川村昌弘は66で10位と好発進。慣れない海外のコースで日本勢の意気を示したのですが、2人とも最終日に72(金谷)、73(川村)とスコアを落とし順位を大きく50台に落としたのは残念でした。しかし、負けた試合で得るものはまた大きいでしょう。
国内男子の開幕は4月15日からの「東建ホームメイト杯」と、まだ遠い先です。このシーズンオフ、金谷の動向が気になります。海外遠征も含めた残る約2ヵ月。また一段プロらしくなっていく金谷拓実から目を離せません。
(了)