Daily Archives: 2021 年 2 月 1 日

「有観客開催」を宣言した米メジャーの「マスターズ」! 国内ツアーで先陣きれるか女子開幕戦「ダイキン・オーキッド」?!

大勢のギャラリーに見守られてショットする女子プロ。

「無観客試合」!!新型コロナウイルス拡大により昨年はこの言葉がスポーツ界を席巻しました。プロ野球はじめ大相撲からゴルフツアーまで各種スポーツイベントは、長い中止期間を経て、試合再開をしても「無観客」での開催がほとんどでした。で、やってみれば、無観客で行うプロスポーツがいかに味気無いか、改めて実感させられました。スポーツだけではありませんが、イベントを熱く盛り上げるのはやはり大勢の観衆。観客を入れない大会なんて興味は半減するとさえいえるでしょう。

 

今季の「有観客開催」を目指す日本女子プロ協会小林浩美会長。

withコロナ2年目に入る今シーズン。昨年男女ゴルフツアーでは1試合もなかった「有観客開催」。人気の高い女子ゴルフが「今年はギャラリーをなんとか入れたい」(小林浩美JLPGA会長)と、3月4日からの開幕戦「ダイキン・オーキッドレディス」(沖縄・琉球)はその先陣をきって「有観客開催」を目指しています。実現すれば女子では一昨年11月のツアー選手権リコー杯以来の「有観客」。ゴルフツアーに活気を呼び戻せる契機にもなるのですがー。

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女子ツアーで大入りのギャラリーで埋まったティーイングエリア。

どのイベントも、好き好んで「無観客」にしているわけではありません。終息が見通せない新型コロナウイルスの蔓延。ゴルフイベントの場合、競技そのものはオープンエアーで行うもので危険は少ないのですが、〝3密〝を避けるには難点も多いのです。大勢のギャラリーが集まれば最寄りの駅からの送迎バスの混雑。選手らのロッカールームやクラブハウス内の諸設備への出入り。コース内での飲食・売店用テント等の施設。人気選手への集中も避けられません。さらに裏方で働く何百人もの関係者。報道陣等・・。入場者に対しての厳重な感染症対策を施してもなお「もし感染者が出たら」の危惧が、スポンサー企業にも大きく降りかかってきます。昨季は次々と中止、延期、無観客開催・・が続き、開催された女子ツアーは、当初の37試合中すべて無観客の14戦。開幕戦は3ヶ月半遅れの6月でした(アース・モンダミンカップ)。収入の減少、盛り上がらない大会、人気のダウン等々、中止や無観客開催のダメージには女子プロゴルフ協会も頭を痛めました。競技数の激減を受けて20年と21年を合わせた統合シーズとする苦肉の策を打ち出しています。

ティーイングエリアを囲むギャラリー(選手は上田桃子)

そして「2年目」。新型コロナ旋風は静まりませんが、女子プロ協会は今季はギャラリーを入れる「有観客開催」に戻したい意向を強めています。すでに日程が発表された女子ツアーは、3月4日「ダイキン・オーキッドレディス」(沖縄・琉球)でスタートしますが、主催のダイキン工業も「有観客」を希望しているといわれ、今後沖縄県などの自治体はじめ関係各方面の意向も集約して女子プロ協会も有観客実現を目指すとしています。
女子ツアーの全般に関してのアナウンスはまだありませんが、開幕戦の「ダイキン・オーキッド」が有観客で開催を決行すれば、それが引き金となって後続大会も「有観客」に踏み切るスポンサーが戻ってくる可能性もあります。

現在11都府県に発令中の緊急事態宣言は、予定の2月7日解除が延長されそうな気配です。開幕第2戦の「明治安田生命レディス」(高知・土佐CC)は昨年暮れ、女子ツアー日程発表後に「無観客開催」を決めています。全体的にはまだまだ流動的ですが、世界的にもゴルフツアーに変化が見え始めました。今年は米男子ツアーのメジャー第1戦「マスターズ」(4月8日開幕)が「数を制限しながら観客を入れて行う」と1月12日に発表しました。昨年は4月から11月に延期したうえ無観客で行い、異例のマスターズとして盛り上がりに欠けました。今季は一転して従来通りの4月開催で有観客に戻すことを決め、オーガスタ・ナショナルのリドリー会長は「数を制限するのは残念だが、人々の安全を守ることが最も重要なこと」とコメントしています。また19年に女子大会として初めて同じオーガスタ・ナショナルGCで行われた「オーガスタ・ナショナル女子アマ選手権」も、今年は開催する方針と発表されました(昨年は中止)。コロナ禍に対抗して少しずつでも正常に戻す前向きな姿勢が感じられます。

男子ツアー、大勢のギャラリーで埋まったコース。これが無人になると寂しい(BSオープンの千葉・袖ヶ浦コース)

 

一方で国内のシニアツアーは、昨季は8試合開催され、うち5試合は「有観客」でした。今季は前半戦の5試合の日程が発表されており、シニアツアーを統括する日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長は「予防対策を最大限にするなど工夫次第では有観客は可能。スポンサーの意向も聞かなくてはならないが、可能である限りことしもギャラリーを入れていきたい」と、有観客を目指す意向を示しています。

 

 

ギャラリースタンドのファンに見守られて歩き出す石川遼(左)=千葉・袖ヶ浦コース

新型コロナウイルスの影響には大きな打撃を受けたゴルフ界です。男子ツアーなどは昨年、無観客で5試合(国内)しか開催できませんでした。今年の男子は現時点で24試合の日程が発表され、女子と同じく20年~21年と年をまたいだ統合シーズンとしています。青木功JGTO会長は「今年はギャラリーの前で選手がプレーできることを願っている」と、観客の動員を進める考えを示しています。一気に全面開放ではなくても、″3密〝を避けながらの限定人数を段階的に入れるなどの方策も注目されます。各ゴルフツアー、今年はどう変わるか、見守りましょう。

(了)