Daily Archives: 2021 年 8 月 10 日

世界を驚かせた「稲見萠寧(いなみ・もね)」の銀メダル!N・コルダも L・コもハット・オフ!

初めてのオリンピック体験にも物おじせず、堂々のプレーで銀メダルをゲットした稲見萠寧。

やりました!日本勢メダルラッシュの東京五輪、女子ゴルフでも稲見萠寧(いなみ・もね=22)が、日本ゴルフ界初のメダル(銀)をゲットです。最終日5打差3位から出た稲見は9バーデイー、3ボギーの65で回り、通算16アンダー。優勝した世界ランキング1位のネリー・コルダ(23=米国)には1打及びませんでしたが、通算16アンダーで並んだリディア・コ(24=ニュージーランド)と銀メダルをかけたプレーオフ。1ホール目でこれを制し、シルバーメダルを獲得したものです。日本代表のもう一人の畑岡奈紗(22)は、フィリッピン代表で出た笹生優花(20)とともに通算10アンダー9位。4月にマスターズ優勝の松山英樹、6月の全米女子オープンをワン・ツー・フィニッシュした笹生優花、畑岡奈紗(22)らに続き、日本のゴルフ界を世界に輝かした快挙でした。(埼玉川越市・霞ヶ関CC東コース。6648ヤード、パー71=8月4~7日)

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世界で戦う畑岡奈紗。ショット、パットとも安定せず、後半追い上げたがメダルに6打及ばず9位に終わった。

最終日、稲見のバックナインは4日間のゴルフの縮図でした。12番から4連続バーディーで一気に首位をいくネリー・コルダ(23=米国代表)を追い上げます。1打差と迫った17番、2オンしたところで雷雲接近のホーンが鳴ります。約45分間の競技中断。再開した4㍍のバーデイーパットを沈めてついにトップのコルダを捉えます。「さあ、金メダル!」と夢のようなシーンが稲見の目前です。緊張感ただよう18番。稲見は第2打をグリーン手前に口を開ける大きなバンカーに落としました。しかも、上り傾斜に突き刺さるように止まっているボール。まだ距離のある難しい目玉ショットは、ピンに寄りません。6㍍強のパーパットを残して入らず、稲見の脳裏をかすめた金メダルは、一瞬のうちに1打差の2位に逆戻りです。

世界のトッププレーヤーの一人、リディア・コとの「銀メダルプレーオフ」にも負けなかった稲見萠寧。

「でも、がっかりという気持ちは少なかった。私のプレーオフの勝率は100%だから・・という気持ちが強かったから」と萠寧。すぐさま銀メダルをかけたプレーオフへと気持ちを切り替えたのはお見事でした。確かにツアーでは20年のスタンレー、21年は明治安田生命と富士フィルム・スタジオアリスとプレーオフは3戦3勝。元世界ランク1位、リオ五輪銀メダルの強敵、リディア・コとの一番勝負に、頭は切り替わっていました。18番(パー4)。コの第1打は右のクロスバンカーへ。壁が高くてグリーン手前まで出すのが精一杯。3打目のアプローチで2.5㍍に乗せたコ。対して稲見は、フェアウェイからピン左8㍍強に2オン。第1パットをOKに寄せてパー。コのパーパットはカップの右を抜けてパー成らず。1ホール目で稲見のプレーオフは「4戦“4勝”」で決着でした。
前週、銅メダルをかけた7人によるプレーオフで破れた男子の松山英樹から「男子は取れなかったから、女子で頑張ってメダルを取って!」と激励をもらっていた稲見サン。見事に勝負強さを発揮して期待に応えたのはさわやかでした。

フルスイングする稲見萠寧。東京五輪でもフェアウェイキープ率1位を争う安定感をみせた。

五輪のゴルフ代表選手は、世界ランキングにより原則1国2人でした。昨年末の日本勢(女子)5番手だった稲見です。今季の大ブレーク5勝で、渋野日向子を抜き、古江彩佳をかわしてグイグイと世界ランクを上昇させました。あっという間の世界ランク日本勢2位のポジションに座ったのでしたでした。
9歳でゴルフを始め「世界一になるには、世界で一番練習する」と、中学生のころから1日10時間もの打ち込みを休まず、腕を磨きました。父親、了(さとる)さん(42)に鍛えられてめきめき腕を上げました。東京・豊島区生まれですが、中学からは練習環境のいい千葉県内に引っ越したほど。高校生でナショナルチーム入り。18年にプロテスト合格。翌年にはツアー初優勝(センチュリー21)。練習で鍛えたアイアンショット、フェースコントロールの切れは抜群。プロ入り後、パッティングの精度がグンと高まったのも強い武器です。19年1勝、20年1勝、21年5勝でツアー通算7勝。まさに「練習はウソをつかない」を実践してきた萠寧です。昨年8月には海外メジャーAIG全英女子オープンに初参戦。海沿いリンクスコースで「人生最大の暴風雨」(稲見)を初体験。2日間14オーバーで予選落ちした経験は貴重だったといいます。

1学年上に渋野日向子らの「黄金世代」。下には古江彩佳らの「ミレニアム世代」。さらに下には笹生優花らの「新世紀世代」が控えます。その間にいる自分を「はざま世代」と名づけています。隆盛華々しい日本の女子プロの最先頭に躍り出た稲見です。
東京五輪でのものおじしない大活躍は、世界に「稲見萠寧」の名前を轟かせました。林間コースの霞ヶ浦で「フェアウェイキープNO1」を証明してみせた実績は強烈でした。「いなみ・もね」の名前だけでなく、日本の女子ゴルフを世界に広めた“金メダル”だったといえるでしょう。

(了)