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★「劇場型なんですよ。僕のゴルフは!」ー見せ場を演出して強敵・マークセンを潰した“ショットメーカー”深堀圭一郎。シニア2勝目!

強敵・マークセンをプレーオフで下し、うれしいシニア2勝目の優勝カップを掲げる深堀圭一郎(コマツオープン)提供:PGA

日本オープン含むレギュラーツアー8勝の深堀圭一郎(53)が、「コマツ・オープン」(石川・小松CC)で“シニアの鬼”マークセン(タイ)をプレーオフで下す堂々のシニア2勝目を挙げました。昨年7月、シニア初勝利(北海道ブルックス・モアサプライズ・カップ)の時も細川和彦をPOで下しており、シニア2勝ともプレーオフ勝ち。レギュラー時代から自他ともに許す名うてのショットメーカー。シニア4年目での“2勝”は遅すぎた春ともいえますが、1勝目は優勝賞金360万円の2日間大会。今回は優勝1200万円(3日大会)のビッグマネーで、手ごたえのあるシニア優勝です。次週は日本シニアオープン(滋賀・タラオCC)のメジャーを控えており、深堀ブームを巻き起こす絶好のお膳立てが整いました。

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プレーオフ2ホール目、約1㍍のウィ二ング・バーディーパットを沈めて感激のポーズを見せる深堀圭一郎。(コマツ・オープン)提供:日本プロゴルフ協会

3日間とも60台で回るハイレベルな深堀ゴルフでした。2日目からは強敵・マークセン、塚田好宣と3人トップの優勝争い。少しも息の抜けない小松コース。フェアウェイが狭いところもあれば、打ち上げ、打ち下ろしでトリッキーなホールもあります。コースマネージメントが最重要な丘陵コースでの戦いでした。ギャラリーサービスの一環として、ティーイングエリアを前に出し、ワンオンを狙わせるホールがあったりもしました(打ち下ろしの13番。387ヤード、パー4)。「1日だろうが3日間だろうが1番になるのは難しいのは身に染みているから」という深堀。小松CCは飛ばし屋というより、ショットの冴えを主武器とする深堀向きの舞台だったのかも。勝負のかかった最終18番(パー5)も、打ち下ろしから打ち上げていくうねりのある危険なホールで、見る者には面白い場面でしたが、深堀は本戦では第1打を3Wで安全第一。プレーオフになると「勝つか負けるか、もう行くしかない」(深堀)と、ドライバーを握って攻め、フェアウェイを捉えるなど見せ場を作りました。

ショットメーカーでなる深堀圭一郎。正確なショットを続けて強敵・マークセンをプレーオフで下した。

その18番ですが、本戦でマークセンと並んできた深堀は、2打目をグリーン右手前バンカーに入れ、ピンへは「40ヤード近かった」(深堀)という難しいバンカーショット。これを51度のウエッジで40㌢に寄せるスーパーショット。このホールお互いバーディーとしたマークセンを驚かせました。この18番、POの深堀は1ホール目13㍍に2オン。1.5㍍のバーディーパットを沈め、2ホール目はグリーン奥のエッジラフから1㍍に寄せてのバーディーパット。これもナイスセーブし、本戦から18番は3連続バーディーでしのいだ“しぶとさ”が大きな勝因でした。

見せ場といえばイーグル狙いの13番(パー4)もそうでした。軽い打ち下ろしで左サイドには池もあるトリッキーなホール。しかし『387ヤード』の設定は、ワンオンも可能なチャレンジングホール。3Wでグリーンを狙った深堀の第1打は、ワンオンこそできませんでしたが、グリーンエッジのラフ。カップまで6~7㍍のチップショットを見事にカップに沈めてイーグル。ギャラリーを喜ばせました。この1打が終盤の深堀に勢いもつけました。
次々と見せ場を作ってはスーパーショットを演出した深堀。特にアイアンの切れ味はさすがで「劇場型のゴルフなんですよ。僕のゴルフは」と、自らいって笑わせました。
そういえば、19年前の2003年10月。名門、栃木・日光CCでの日本オープンで勝ったときも、最終日5打差の5位からの劇的大逆転。深堀は10㍍以上のバーディーパットを3度も沈める“パットの奇跡”で9バーディー「64」。今野康晴下した思い出があります。今回も20年以上前に使っていたというセンターシャフトのパターを前試合から持ち出してきてパッティングの調子を上げてきたという。雨が多い最近は、重めのグリーンが多い中で「しっかり打てるパター」だとか。パターを替えた「マルハンカップ太平洋シニア」では、トップと1打差の2位タイと調子を上げ、今回ついに打倒・マークセンの快挙を成し遂げました。

深堀圭一郎とのプレーオフ2ホール目でショットを曲げ、バーディーを逸したマークセン(タイ)。19年以来のシニア16勝目を逸した(小松CC)

相手は一時は無敵を誇ったマークセン(56)。2016年に日本のシニアツアーに参戦し、3年連続圧倒的な強さで賞金王に君臨しました。ただコロナ禍で来日できなくなってから、その“強さ”にカゲリがみえてきました。昨年5月にようやく再来日しましたが、以来未勝利のまま。シニア15勝も残し“シニアの鬼”といわれたのもやや色あせた恰好です。コマツでは久々の優勝争いでしたが、深堀のしぶとい粘りに合い、プレーオフ2ホール目2オンを狙ったショットがグリーン左のカート道路へ。ドロップしての寄せがカップ5~6㍍もショート。バーディーパットも入らず、19年太平洋シニア以来の勝利は成りませんでした。

この10月9日で54歳を迎える深堀圭一郎ですが、シニアではまだまだ“若手”です。マークセンを下したシニア2勝目は、また新しい“自信”につながるでしょう。思ったところに思った球を打てるショットメーカー・深堀のゴルフが楽しめそう。さあ、次は日本シニアオープンの大舞台です!

(了)