Daily Archives: 2022 年 11 月 7 日

★だれも止められなかった“ムエタイ”仕込みのマークセン(タイ)! 6連続優勝に“白旗”の藤田寛之。迷える53歳。来季はどこへ行く?

“中年の星”藤田寛之。シニア3年、いぶし銀のゴルフもマークセンを止められず!

藤田寛之(53)、シニアの鬼・打倒マークセン成らず“白旗”です!6試合連続優勝を続けるプラヤド・マークセン(タイ)の4度目のシニア賞金王が決定です。シニアの残り試合は「2」となったこの週、藤田は「コスモヘルス・シニア」を諦め、レギュラーの「マイナビABC」を選びました。シニア3年目の今年、8月の「マルハン太平洋シニア」で2勝目を挙げて賞金ランクトップに立ち、初のシニア賞金王へと騒がれました。が、マークセン驚異の連続優勝にあってその夢は崩壊です。レギュラーでは23年間続いた連続シードを昨季失い、レギュラーから一歩後退した藤田ですが、シニア4年目を迎える来季の立ち位置はどうなるのか。53歳にして迷走?する“中年の星”です。

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今年8月、「マルハン太平洋シニア」でシニア2勝目を上げてカップを掲げる。今季は賞金王へ突っ走るかと思わせたが・・。

激しかった今季のシニア賞金王争い。8月の「マルハンカップ・太平洋クラブシニア」でシニア3年目の藤田が、2勝目を挙げた時は獲得賞金2433.5万円で賞金レース2位に水をあけ「海外シニアのメジャーにもいってみたい」(藤田)と、新たに広がる夢を語っていました。まさかのマークセンの大まくりが、このあとにやってきます。9月、「日本シニアオープン」でシニアツアー3年ぶり16勝目を挙げたマークセンに火がつきました。「日本プロシニア」「トラスト・佐世保シニア」「ISPSハンダ・やっぱり面白いシニア」「福岡シニア」と立て続けの5連勝。「福岡」の最終日、藤田と首位で並んでいた最終18番グリーン。カラーからの6㍍をパターで沈めたマークセンに対し、4㍍のバーディーパットを外して1打差逆転負けに泣いた藤田のショックは大きかったようです。シニアの賞金王を目指していた藤田が、ここで一転して“夢”が残るレギュラーへ切り替えました。

 

22年9月の「日本シニアオープン」。藤田寛之は2日目トップに立ちながら、ここでもマークセンの逆転劇で、2位に泣いた(滋賀・タラオCC)。

「福岡シニアは、自分の地元の試合だったし勝ちたかった。これで賞金王も厳しくなってきた。なので、残りは(レギュラーの)「マイナビABC」と「VISA(太平洋)」です。シニア最終戦の「いわさき白露」はまだ決めてないけれど、同週でぶつかっている「カシオワールド」もあるかなと思ってます」と、藤田は夢を捨てきれないレギュラーツアーへの思いを語っています。

大詰めにきたこの時点で、逆転されたマークセンとの賞金差は約1368万円。藤田に反撃の意欲が奪われたのです。シニア世代になってもレギュラーとの“かけもち”を続ける藤田ですが、昨季は23季続いてきたレギュラーの連続シードを落としました。レギュラー18勝のうち40歳を過ぎてから12勝を重ね、43歳で賞金王。マスターズにも初参戦した“中年の星”にも、トシとともに衰えが忍びよってきたのは隠せません。

19年には史上6人目の生涯獲得15億円を達成した男です。今年は「1シーズ適用の生涯獲得賞金ランク25位以内」の出場資格でレギュラーを戦ってきましたが、終盤の「マイナビABC」も結局予選落ち。マークセンの方はこの週の「コスモヘルス・シニア」でも6試合連続優勝を決める無敵の強さで、最終戦1試合を残して獲得賞金は1901万4966円。藤田との賞金差は、1908万4633円と広がりシニア4度目の賞金王は確定しました。若いころムエタイ(タイ式格闘技=両手、両脚、両膝など8箇所で相手と戦う)をやったり、“自転車タクシー”のバイトで鍛えた強靭な足腰は、56歳のいまも健在でゴルフに生きています。一方、藤田の今季レギュラーは、これまで15試合で賞金ランク109位。僅か281万余円しか稼いでいませんが、シニア賞金王の夢がなくなったいま、レギュラーの残り試合にかけようというプロゴルファーの執念です。

 

“無敵”のP・マークセン(タイ)旋風! 9月からの秋の陣、6試合連続優勝でシニア4度目の賞金王を決めた。(5連勝目の「福岡シニア」=福岡CC・和白=で)

★藤田寛之のシニア総括「だれも止められなかったマークセンですね。最後、福岡では谷口(徹)さんにお願いしたんですけどね(笑い)。レギュラーに出ながらシニアにも出て、自分がどっちなのか分からない状況のなかで「スターツ」に勝ててシニアの世界メジャーも見えるんじゃないかと思ったりした。「マルハン太平洋」で2勝目を挙げて、今度は賞金王、といわれるようになった。一方でレギュラーのシードも厳しいけど欲しいと、“迷走”しながらシニアが主戦場になっていたという感じですね。でもレギュラーの夢もまだ見たい。今季の成績は満足ですし、楽しみながらやれました」

53歳。揺らぐ藤田寛之の胸の内というところです。とはいっても、今季シニアの賞金王も取れなかったし、レギュラーのシード復活の巻き返しもいまのところ果たせていません。来年6月には54歳になる“中年の星”。さて、どこへ行くのでしょう。厳しい状況からみて、推薦出場できるレギュラー数試合と、あとはシニアツアーにより強いスタンスを置いて、いぶし銀の藤田ゴルフを絞りだして欲しいものです。

(了)