主戦場はシニアの藤田寛之(53)と手嶋多一(54)が、男子レギュラーツアーの来季出場権を争う「ファイナルQT」(宮崎 トム・ワトソンGC)に挑戦しましたが、ここでも上位にいけず“敗戦”。来季は下部ツアー(ABEMAツアー)にも出場して「プロとして与えられたものは取りにいく」(藤田)と凄い意欲。手嶋も「来年もQTを目指します」と、予選会(QT)へのリベンジ宣言するなど、ともにレギュラー復活への執念をみせました。4日間のシビアな戦いで1位通過したのは、25歳のプロ7年目、篠優希(東京都出身、代々木高卒)で通算13アンダー。来季のレギュラーツアー全出場権と賞金200万円を獲得。ファイナル20位くらいの選手は、来季前半戦、何試合かへの出場が可能です(昨季の20位は今季14試合に出場)。また同じシニアで伊澤利光(54)はサードQTで落ち、ファイナルへ進めませんでした。
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国内の男子ツアー、来季の出場権を争う過酷な戦い。サードQTを勝ち抜いたものと、今季シード権を喪失した選手ら94人が争いました。26年ぶりのファイナルQTだった藤田です。初日71と1アンダー16位でスタートとした戦いは、容易なものではありませんでした。24年連続シードを昨季落とし、今季は1度だけ使える生涯獲得賞金上位者の資格でツアーに出ましたが、賞金ランク109位と振るわず、レギュラーへの出場権を失っていました。レギュラーでは通算18勝。シニアツアーでは今季2勝するなど、かってのマスターズ選手の貫禄を見せましたが、やはり53歳。飛ばし屋ぞろいの若者相手では荷が重いのも分かります。2日目75(46位)、3日目72(54位)と上位をうかがえません。「4アンダーを目指した」(藤田)という最終日も、やっと72のパープレーどまり。ズルズルと順位を落として、最終的に2オーバーの57位の終戦でした。
「苦しいゴルフが続き、スコアを伸ばせなかった。(最終日)4アンダーなんて、とてもそんな感じではなくて、イーブンパーが精いっぱいだった」と、海沿いの防風林に囲まれた狭いフェアウェイのワトソン・コースには完全“ハットオフ”。優勝した篠は最終日10バーディー、ボギーなしの「62」で大爆発。5打差を逆転したゴルフをみると、世代の交代を感じずにはいられませんでした。
多くの試合に出られるファイナル“上位20人”に入れず、来年は「シニア」、「推薦での数試合のレギュラー」に加えて「下部ツアー(ABEMA)」にもエントリーを考えているという。藤田が下部ツアーに出るとなれば、26年ぶり(1997年以来)のことです。
「少し時間をかけて自分のゴルフを見つめ直す必要がありそう。追い込まれた状況で見えてきて、そこで得るものもあるはずです。プロでありながら下部ツアーにも出られないプロはまだたくさんいます。試合に出られる機会があるだけありがたいことですから」と、藤田は自らを見つめます。
最終日、藤田と同スコアの72で回り、通算2オーバーで56位に終わった手嶋多一も、イーグルをとったかと思うとダブルボギーは2つ。林に打ち込んで左打ちしたのが3回と、さんざんなゴルフ。昨年も最終QTに出た(29位)手嶋ですが、「出られる試合があれば、どこでも行きたい。谷口(徹)さんや藤田クンも頑張っている。来年はファイナルQT、もう少し上位を目指したい」と、執念をみせて引き揚げました。日本オープン、日本シニアオープン覇者の冠もかなぐり捨てて、前を向いています。
300ヤード超を飛ばし、2ケタアンダーを楽々出してくる現代の若手陣。一方では、トシを重ねた自分のゴルフを見つめながら、50代になっても上を目指す執念の勝負師もいるのです。さて、来年は3つのツアー「シニア、レギュラー、下部ツアー」参戦をタ-ゲットにする男たちも、しっかりと見つめましょう。
(了)