10月はじめの富士フィルムシニアで米シニアツアー(チャンピオンズツアー)から一時帰国、2位に入った尾崎直道(52)が、この1試合だけでとんぼ帰りで米国へ戻り、身を削るようなシード獲得闘争を演じています。米シニアツアーのシード選手は、最終賞金ランキング30位以内。日本へ帰国したときの直道はランク29位でした。米シニアツアーまだ4試合を残していたため、直道は「30位以内」を確保するために再渡米したのです。来季はシニア4年目を迎える″ジョー・尾崎〝の背水の戦いを見守りましょう。
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帰国2日後に始まった富士フィルムシニア(千葉・平川CC)では、直道は時差ぼけとも戦いながらの奮戦でした。日本でのシニア参戦は、06年の日本シニアオープン以来の2試合目。06年5月にシニア入り(50歳)した直道は、すぐに米シニアへの挑戦を選び、シニアの舞台は米国で始まったのです。2試合ぶりの日本でのシニア、今年の富士フィルムでは青木功、渡辺司、室田淳、尾崎健夫、高橋勝成らのトップ選手と堂々と張り合い「久しぶりに昔ながらの日本のコースを回ったけど、こういうコースはボギーも出にくいが、バーディーも出ずらい」と、慎重なゴルフになったようですが、それでも3日間を終わってみると、優勝した渡辺司には8打差はつけられましたが、6アンダーで2位タイ。さすが米シニアツアーでもまれている選手の底力を発揮しました。
「チャンピオンズツアーに戻るから、それに向けて調子を上げておきたかった」といいながらも、本人はいまひとつ満足しないまま、週明けにはすぐ米国に戻りました。残り4試合のうち最初のコンステレーション・エナジー・シニアでは初日20位スタートから3日目には67を出して6位に上がり期待がかかりましたが、最終日は73と伸ばせずに通算1アンダーの18位に終わりました。この結果はランクを一つ落として30位になりました。まさに背水の陣です。残りは3試合です。
アドミニスタッフ・スモールビジネスクラシック(17~19日=テキサス)、AT&T選手権(24~26日=テキサス)、そしてチャールズ・シュワッブカップ(30~11月2日=カリフォルニア)の3試合です。もちろん日本のシニアオープン(23~26日=狭山)も捨てての大詰での勝負です。どのくらい稼げば30位以内をキープできるのかは、はっきりしませんが、いずれにしても残る3試合のうち一つは上位に食い込むことが必要でしょう。
直道は06年5月から米シニアに参戦、この年は15試合しか出られませんでしたが、トップ5に2度入るなどで賞金ランクは45位。「30位以内」のシードは取れませんでしたが、31位~50位までは準シードで条件つきの出場が可能なのです。この資格で07年は20試合に出場、ボーイング・クラシックでは7人によるプレーオフに進出、惜しくも敗れて2位タイに終わるなど健闘をみせました。その他にも東芝クラシック3位タイ、全米プロシニア4位など、10試合でトップ10入りする活躍で、賞金ランク19位でシード選手となり、約1億円のビッグマネーを稼ぎ出しました。
そして今季の米シニアはこれまで出場23試合ですべて決勝に進み、10位以内が2回。7月のディックスポーツグッズオープンでは初日63でトップに立つ(最終5位)などの頑張りをみせてきました。ここまでの部門別ではパッティングアベレージが10位(1.752)、ドライビングディスタンスは33位(274.6ヤード)などの健闘をみせていますが、賞金ランキングでは30位(59万783ドル)とボーダーラインぎりぎりのところにいるのが気になるところです。日本での1試合だけでとんぼ帰りした心境も察するに余りあるところです。持ち前の″まむしのジョー〝の本領を発揮しての2年連続シード権獲得を期待しましょう。
◆尾崎直道の米チャンピオンズツアー◆
06年 賞金ランク45位 賞金額39万8187ドル 試合数15
07年 賞金ランク119位 賞金額90万9770ドル 試合数20
08年 賞金ランク30位 賞金額59万783ドル 試合数23
(08年は10月12日現在)