石川遼にも薗田俊輔にも負けなかった杉並学院高3年! 浅地洋佑17歳の”光る小技”

1メートル68の小柄ながら正確なショットを飛ばす浅地洋佑(杉並学院高3年)。その小技は評判だ。
1メートル68の小柄ながら正確なショットを飛ばす浅地洋佑(杉並学院高3年)。その小技は評判だ。

 女子ツアーのフジサンケイ・レディスでは21歳の”キンクミ”こと金田久美子が、5打差を逆転したツアー初優勝で驚かせましたが、男子ツアーのつるやオープンではアマチュアの浅地洋佑(17=東京・杉並学院高3年)が4日間通算10アンダーで石川遼と同じ15位タイに入る大金星をまたも挙げました(薗田俊輔は予選落ち)。杉並学院高で石川遼の2年後輩の浅地は、昨年5月のダイヤモンド・カップでも2日目には2位に浮上するなどで、石川遼(32位)、薗田俊輔(15位)ら先輩連を尻目に、通算7アンダー9位タイに入って話題を集めた男です。168センチの小兵ですが、遼も舌を巻く抜群の小技を身につけている技巧派プレヤー。高校卒業を待って来季のプロ転向を目指す17歳は、8月から始まるツアー出場予選会(QT)にも挑戦する予定です。またまた杉並学園高からの”金の卵”は、どこまで羽ばたくのでしょうー。
 
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昨年5月のダイヤモンド・カップ9位に続き先週のつるやOPでは石川遼と並ぶ15位タイ。一段と17歳・浅地洋佑(左)の名が鮮明に!
昨年5月のダイヤモンド・カップ9位に続き先週のつるやOPでは石川遼と並ぶ15位タイ。一段と17歳・浅地洋佑(左)の名が鮮明に!

 杉並学院高は薗田俊輔あたりから次々と素質十分なゴルファーが育ってきます。薗田の2年後輩の石川遼、その2年後輩の浅地洋佑。昨年の日本学生で優勝した桜井勝之(明大3年)も遼の1年先輩で杉並学院高出身です。 浅地洋佑の名前は08年、杉並学院中3年で日本ジュニア(男子12歳~14歳の部)を通算5アンダーで制したころから知られていました。プロツアーには昨年まで11試合に出場して7試合で予選を通過。昨年のダイヤモンド・カップではチップイン・イーグルやら、林の中から出した106ヤードを20センチにぴたり寄せてピンチを凌いだり、プロ転向した遼も一目置く小技で見せ場を作りました。今年のつるやオープンでも2日目には1番、3番で第2打を相次いで50センチにつけるバーディーラッシュの発進。6番(パー5)から8番まで3ホール連続バーディーにするなど、2Rは8バーディーを奪って「65」。22位から一気に4位に浮上して優勝争いに頭を突っ込んできました。
 
 3日目は激しい風雨に見舞われて5時間30分の長い競技中断の末、浅地も3ホールを残す日没サスペンデッド。スコアを一つ落としました。最終日は午前6時30分からスタートの第3Rの再開が霧で1時間遅れ。浅地は2日目に残した3ホールをパーで凌ぎ、組み替えなしで8時30分にスタートした最終ラウンドも雷雨で2時間以上中断がある中、耐えに耐えました。高校生のアマチュアには慣れない日程に11番までにスコアを一つ落とす苦しい展開も、15番から3連続バーディーの執念をみせて巻き返しました。「69」と2つ伸ばしてトータル10アンダー。最後18番は3メートルのパーパットを残しましたが「どうしても2桁アンダーで終わりたかった。意地で入れました。石川先輩と同じ結果で満足です」と、見事「10アンダー」のフィニッシュを果たして15位。アマで決勝ラウンドに進んでいたのは一人だけだったのでベストアマにも輝きました。4日間合計で21個のバーディーをマークしたのも高校生離れの”技あり”でした。
 

浅地洋佑のドライバーは280ヤード!飛距離では石川遼にかなわないが、その小技は遼を凌ぐとも・・。
浅地洋佑のドライバーは280ヤード!飛距離では石川遼にかなわないが、その小技は遼を凌ぐとも・・。

 アマチュアでは”トップアマ”の仲間入りしている浅地洋佑ですが、昨年10月に埼玉・霞ヶ関CCで行われたアジア・アマチュア選手権では10人の日本代表選手に選ばれ、「マスターズ出場権」をかけて最終日は優勝した松山英樹(19)=東北福祉大=と同組で回りましたが、松山に6打及ばず3位でした。その松山がマスターズで予選をクリアして27位、ベストアマに選ばれました。この結果には「一緒に戦ってきた人が(マスターズで)あれだけできたのは”自分もできるんじゃないか”という気持ちになった」と、大きな自信にもなったようです。 この1月には約1ヵ月、豪州で自主合宿。1日150球のショット練習とラウンドで鍛えました。その後はグアムでもラウンド中心の練習を積むなど、来年のプロ転向を踏まえてすでに”プロ仕様”の練習や、玄米食を採り入れた食生活に切り替えて体調維持に留意しているそうです。
 
 小学生のころから浅地を知っていて練習も共にした石川が「当時から同世代の選手と比べると群を抜いていた。小さなアプローチでも、ただ普通に打っているのは見たことがない。バックスピンをかけたり、高いボールを出したりいろんなことをやっていた」と絶賛する小技を、浅地は身につけています。石川はさらに「物おじしない」のも浅地の特徴といっていますが、確かに、昨年のダイヤモンド・カップにしろ今回のつるやオープンにしろプロに混じっても動じない浅地の”オーラ”が光っていました。
 
 ドライバーの飛距離が280ヤードくらいで浅地の悩みの種のようですが、300ヤード飛ばせなくてもそれは決して欠陥ではありません。飛ぶ人は必ずといっていいほど曲がります。曲がらない280ヤードのドライブは、むしろ大きな”武器”と考えるべきです。小兵でもぴりりと辛いというのはそうしたことです。石川遼の存在について「自分と比べられる人じゃない」と謙遜する浅地クンですが、来年からはその遼とも同じフィールドで戦うようになる浅地洋佑です。つるやオープンでも4日間で21バーディーを奪った”腕”を信じていけば「小さな大選手」になれる可能性を秘めた金の卵です。プロ顔負けのゴルフを引っさげ、高1でツアー優勝した石川に次ぐ史上2人目の高校生優勝を果たせば、すぐにプロに転向できます。
 その夢も抱えた浅地クンの次のプロの試合は、とおとうみ浜松オープン(5月19日~22日、グランディ浜名湖GC)の予定です。