★石川遼クン並みの″青木軍団〝故・島田幸作氏に捧げたエージシュートでの最年長優勝!

66歳の青木功。いまも変わらぬ独特のショットでファンを魅了した(鬼ノ城GC)
66歳の青木功。いまも変わらぬ独特のショットでファンを魅了した(鬼ノ城GC)

衰えを知らぬ″世界のアオキ〝です。11月9日、66歳70日になった青木功は、PGAシニアツアーの鬼ノ城シニアオープン(岡山・鬼ノ城GC)最終日、7バーディー、1ボギーの「66」をマーク、自分の年齢以下で回るエージシュートを達成。しかも青木ファミリーの弟子、渡辺司(51)との4ホールに及ぶプレーオフを制して、劇的なエージシュートVを果たしました。昨年10月の日本シニアオープンで初体験したエージシュートでの優勝に続く2度目の快挙。そのカゲには、盟友・日本ゴルフツアー機構前会長の島田幸作氏(享年64)への手向けの思いがあったのです。

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渡辺との1時間に及ぶ18番(パー5)4ホールのプレーオフを制した青木は、夕暮れ迫る18番グリーン上での表彰式で口を切りました。
 「みんなに悲しい話をするけど、トシは向こうが2つ下だけど、同期でプロになった島田幸作が亡くなった。その島田が、オレのことを″勝て!〝といって勝たしてくれたのだと思う。頑固な島田がいなくなったのは寂しいけど、追悼試合のようになってはなむけができてよかった」
 11月3日にガンで逝去され、すでに親族による密葬が終わっていた島田氏。大会前日の6日に知ったという青木は、勝った喜びをぐっと抑えて、しんみりとギャラリーや関係者に語りかけました。1964年プロ入りの同期生。激戦を演じた68年の日本プロ(島田優勝)はじめ、好ライバルとして長年戦ってきた仲間なのです。「だからこの試合は勝ちたかったのです」亡き″戦友〝への思いを優勝スピーチにこめて披露したのでした。

 

66歳70日で2度目のエージシュートVの青木功。優勝スピーチでは亡き盟友・島田幸作氏への追悼の言葉でギャラリーをしんみりさせた(鬼ノ城GC)
66歳70日で2度目のエージシュートVの青木功。優勝スピーチでは亡き盟友・島田幸作氏への追悼の言葉でギャラリーをしんみりさせた(鬼ノ城GC) "

66歳と70日でのエージシュートV。ちょうど1年前、07年10月の日本シニアオープン(くまもと中央)で、青木65歳58日の初体験エージシュートと、逆転Vを思い出します。そのときに作った国内シニアツアー最年長優勝記録を今回あっさりと自ら更新する日本シニアツアー最年長優勝記録でもあります。どこまで歩み続ければ気がすむのでしょうか。髪は白くなりましたが、″世界の技〝と闘志は衰えを知らないハスラー・青木功です。「世界的に見ても、これはギネス登録できるのではないかと、いま調査中です」と松井功PGA会長も話していました。

 青木は渡辺との″師弟プレーオフ〝を約1時間、4ホール戦って負けませんでした。だらだら登りの18番ホール(パー5)の繰り返し。お互いバーディーパットがどうしても決まらず、競技委員長は3ホール目に2段グリーンの上のカップ位置を、下の段、グリーン右サイドに切り替えました。さらに4ホール目からは日没もおそれて2台の乗用カートをフェアウェイ内に入れ、ショットのあとは二人それぞれのカートに乗っての進行を許しました。その4ホール目。まず青木のフェアウェイからの第3打は、ピン左1メートルピタリ。渡辺もフェアウェイからの65ヤード。こちらは低く出してピンそばへ持っていこうとしましたが、グリーン手前エッジに食われたボールはグリーンに乗っただけの5メートル。渡辺がこれを外したあと、青木は慎重にバーディーパットを沈めました。

 

鬼ノ城シニアオープンをプレーオフで制し、松井功PGA会長(右)から優勝カップを受け取る青木功(左)=鬼ノ城GC
鬼ノ城シニアオープンをプレーオフで制し、松井功PGA会長(右)から優勝カップを受け取る青木功(左)=鬼ノ城GC

2日目にトップタイに立ち、最終日は66を出して、並んでいた海老原清治、初見充宣を振り払ったのです。「14アンダーならオレの勝ちと思っていたのに、渡辺(前の組)が63とは驚いたよ。余計なことをするからみんなも帰れずに1時間も待たせちゃったよ」と、表彰式には選手全員が参加することになっているシニアツアーだけに、並んで座っていた渡辺にきつーいジョーク。しかし、青木は愛弟子を立てる言葉も忘れませんでした。「渡辺はさすがいま賞金ランク1位にいる選手だね。乗っているし試合運びもいい。力があるから63なんていうスコアが出せるんだ。今回はオレもいるんだぞというところをみせられたけど、渡辺も負けた悔しさを自分の糧にしていけば、賞金王もとれるのじゃないかな」
 弟子を思う親分の思いやりでもありました。

 

 

     

青木は秋の叙勲で紫綬褒章の受章が決まっています。04年世界ゴルフ殿堂入りしたのに続く大きな勲章です。そして2度目のエージシュートV。秋の色濃い岡山・鬼ノ城GCは連日ファンが詰めかけ、青木がトップに立った最終日は3,258人のギャラリーが集まりました。そのほとんどが青木功見たさのファン。青木の組だけ見ていると、まるで石川遼クン並みのギャラリーがついていました。青木にとって祝儀の多かった1年。いつまでたっても多彩なショットやパットでファンを楽しませる66歳のエンターテナー。「いまでも世界でオレが一番うまいと思ってやっているよ」―青木功のいまも変わらない口ぐせです。
《青木功の今季成績》

☆日本レギュラーツアー

日本オープン     予選落

☆日本シニアツアー

コマツ         50位タイ

富士フィルム      8位タイ

日本シニアオープン    12位タイ

鬼ノ城シニア      優勝

☆米チャンピオンズツアー(シニア)

12試合   賞金ランク 106位
       48,117ドル
     (約481万1700円)
 米シニア 今季ベストフィニッシュ
 リバーティミュチュアル・レジデンス   23位(尾崎直道と組んだチーム戦)