マスターズ出場は“意外な招待状”で決まった! 石川遼、うれしさのあまり?プエルトリコOP2位の快挙!

マスターズ出場、プエルトリコOP2位・・で一気にモチベーションの上がった石川遼。米ツアーのシード選手を目指しての米ツアー挑戦が続く!
マスターズ出場、プエルトリコOP2位・・で一気にモチベーションの上がった石川遼。米ツアーのシード選手を目指しての米ツアー挑戦が続く!

 最近さっぱりいい話のなかった石川遼(20)に、突然、降って湧いたような朗報があいつで飛び込んできました。世界ランキング50位の枠になかなか届かずやきもきしていたのに、6日、マスターズ委員会から「特別招待選手」としての招待状が舞い込んできました。と思うと、急遽出場したプエルトリコ・オープン(米ツアー)で、優勝スコアに2打足りなかったものの、米ツアー自己最高の単独2位に入る大奮闘(11日最終日)。今季出場した米ツアー5試合で、計58万2471ドル(約4660万円)を稼いだため来季米ツアーの「特別一時会員資格(テンポラリーメンバー)」の権利をゲットしました。マスターズまで1ヵ月足らずになったいま、“地獄から天国”へ一転した遼クン。ホントにいつも幸運の男ですー。

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やきもきしたマスターズ出場も、意外な「特別招待選手枠」で4年連続出場が決まった石川遼。ほっとしたのか、プエルトリコOPで2位の大健闘!
やきもきしたマスターズ出場も、意外な「特別招待選手枠」で4年連続出場が決まった石川遼。ほっとしたのか、プエルトリコOPで2位の大健闘!

 カリブ海に浮かぶ美しい島、米国自治領のプエルトリコ。そこに広がるプエルトリコ・リオグランデ・トランプ国際(7506ヤード、パー72)。米国を転戦中の石川は当初からこの試合に出る予定はありませんでした。しかし、これまで戦った4試合で成果は上がらず、マスターズまで残り2試合(トランジションズ、アーノルド・パーマー招待)となって「世界ランキング50位以内」に入るのが危なくなってきました。予定に入れていたWGCキャデラック選手権の資格も取れず、この週は“空き”に。そこで遼サイドが考えたのはキャデラックの“裏試合”であるプエルトリコ・オープンへの出場でした。普通でしたら、急に“出たい”といってもそう簡単には出場できません。そこでモノをいったのがIMGです。世界でも指折りのマネジメント会社で米ツアーにも太いパイプを持っているIMGから、海外でのサポートを受けている石川。また先ごろ石川と新規契約をしたナイキも、全面的なバックアップをしたといわれています。プエルトリコ・オープンへの突然出場もこうして決まりました。

 それと前後して舞い込んだマスターズの特別招待状。石川の気持ちは一変してプエルトリコ・オープンに臨んだのでした。“裏番組”とはいえ、コースはトム・カイト設計で、600ヤード超のパー5が2つもある7506ヤードのタフな舞台。しかし、ゴルフはいかにメンタルなスポーツであるかをみせつけるような、のびのびとした石川のプレーでした。初日70はまずまずでしたが、2日目にはアプローチとパターが冴え渡って67。リーダーボードを駆け上がりました(3位)。3日目も69で優勝争いに残り、最終日は首位に3打差で最終組から4組前でプレーしました。特に後半9ホールでは5バーディー、1ボギーの32。17、18番は連続バーディーでホールアウト。この時点では14アンダーの単独首位で色めきたちました。最終的にはあとからきたG・マクニール(米)が上がり3連続バーディーを奪って逆転V。石川は2打足りない2位となりましたが、充実感にはあふれてきました。

「(石川遼のマスターズ出場は)日本だけでなくアジアにも大会の関心が広がる」とマスターズ委員会。急転、出場がかなったことしのマスターズは特別な期待がかかる。 (昨冬12月の3ツアーズで裵相文(左)、池田勇太(右)と並んだ石川遼)
「(石川遼のマスターズ出場は)日本だけでなくアジアにも大会の関心が広がる」とマスターズ委員会。急転、出場がかなったことしのマスターズは特別な期待がかかる。 (昨冬12月の3ツアーズで裵相文(左)、池田勇太(右)と並んだ石川遼)

 “裏試合”の舞台は寂しいものだったようです。2日目石川が3位に浮上したときも記者会見場は「米国人1人、地元紙2人、日本人記者4人の少人数で、椅子を輪にした談笑会のような“裏試合”ならではの光景」(在米・舩越園子記者のデイリースポーツ紙)だったそうです。出場選手には、09年のマスターズチャンピオンのA・カブレラらはいましたが、石川の世界ランキング53位が最上位でした。しかし、“裏”でも何でも、この試合も米ツアー。単独2位で獲得した賞金は37万8000ドル。これは大きな収穫でした。米ツアー5試合での合計58万2471ドルは、前年米賞金ランク150位相当の41万ドル(約3280万円)を大きく超えたため、「テンポラリーメンバー(特別一時会員)」の権利を得たのです。この資格は、米ツアーメンバー外の選手に課せられている“年間12試合”という出場制限を取り払われ、無制限に試合に出られる制度です。

 テンポラリーメンバーになれたことは石川にとってうれしい出来事です。今季ソニーオープン・イン・ハワイから出場している石川は、プエルトリコを終わってすでに5試合を消化。このあとマスターズを含めて3試合に出ますから、ここで8試合を使ってしまいます。全英、全米などメジャーを含めて今後も米ツアーに出場したい石川には“12試合”では足りなかったのです。石川はシーズンを終わって「賞金ランク125位以内」に入る正規のシード選手を目指しています。遼クンの今後の歩む道を急激に変えるかもしれない単独2位でした。

石川遼のコメント:
「上がり4ホールで3バーディーは凄くいい経験になった。前半悪かったのに、後半に盛り返せて、まさか上位で粘れるとは思わなかった。米ツアーで優勝争いは夢みたいな経験だった。優勝に近づけたと思うし、次のチャンスでは勝ちたい。初めてのプエルトリコでのプレーだったけど、ギャラリーがあたたかく応援してくれた。ドライバーだけだと予選は通過できない。今週よかったショートゲームの調子を維持していきたい」

 マスターズまで、残る試合は今週15日からの「トランジションズ選手権」と22日からの「アーノルド・パーマー招待」と、ともにフロリダでの2試合です。石川にしてみれば、この2試合でも成績を挙げて、“実力”でマスターズに出場できる「世界ランキング50位以内」に意地でも入りたいでしょう。一気にリラックスできたメンタル面からすれば、それも不可能ではありません。
     
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 石川は09年に特別招待でマスターズ初出場して以来4年連続出場となりますが、昨年も日本ツアーで0勝に終わり、世界ランキングも3月末までに“50位”に入れなかったのに、世界で2、3人にしか出さない特別招待状がよくもきたものです。
 それにはマスターズ委員会の大きな舵取りの転換が感じとれます。
 近年、アジア重視の傾向が強く、08年には中国、インド、タイの3選手を招待しています。09年からはアジア・アマチュア選手権の優勝者には出場権を与えるようになりました。今年は日本勢でアマチュアの松山英樹が2年連続出場を決めていますが、プロに出場者がなく、久しぶりの“プロの出場ゼロ”になるかが懸念されていました。
 マスターズ委員会の英断に驚かされましたが、同委員会は「(石川遼の出場によって)日本だけでなくアジアにも大会の関心が広がる」と、大会の“広告効果”を狙っていることを匂わせています。プエルトリコ・オープンの会場では欧米選手やメディアから「なぜ、イシカワ?」との声もあがっていたそうですが、石川遼は「日本やアジアに対するマスターズ委員会の激励だと僕は思います。その代表に僕が選ばれたのでしょう」と、語っていました。

 いずれにせよ、石川遼の出場が決まった今年のマスターズは、日本にとっても万々歳です。ファンも楽しめるし、試合を中継するTBSの喜びもひとしおです。大会は3週間後の4月5日開幕ですー。