成田空港で一般取材をシャットアウトした石川遼の“緊張度”。マスターズは4年間最悪成績で予選落ち!

大きな期待がかかった4年目のマスターズ。意外な惨敗に終わった石川遼のショックは隠せない!
大きな期待がかかった4年目のマスターズ。意外な惨敗に終わった石川遼のショックは隠せない!

 「20歳でマスターズ優勝!」の夢は、はかなく潰えた石川遼(20)が、今度は中学時代の同級生との婚約を明かして驚かせています。4年連続出場のチャンスをつかんで大いに期待されたマスターズは、フタをあけると散々なゴルフでした。初日の出足からつまずき、遼らしい切れのあるゴルフはカゲをひそめたまま。2日間76、77の通算9オーバーは、マスターズに出場した4年間で最も悪い成績での予選落ち。しっぽを巻いて帰国しました。オーガスタに滞在中、2週前のアーノルド・パーマー招待(フロリダ)から合流していた交際中の女性を随行担当記者連に現地で初めてお披露目。3月に婚約したことが明らかになりましたが、スポーツ紙(日刊スポーツ)にこれをすっぱ抜かれた石川サイドは態度を硬化させ、同紙と“取材拒否”騒動にまで広がっているとか。今週12日からの国内ツアー開幕(東建ホームメイト杯)を控えて、何か、騒々しい石川遼の周辺ですー。

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 ゴルファーなら、石川遼ならずとも憧れる夢舞台、マスターズ・トーナメント。世界ランキング50位から外れたのに、“特別招待枠”でオーガスタナショナルへ突然招かれた石川の思いはいかばかりだったかと、想像できます。胸膨らむ初日1番ティー。その第1打から大きく左へ曲げ、“ノーチャンス”といわれる左林に突っ込んだのはどうしたのでしょう。苦しいボギースタートに続いて、バーディーもしくはイーグルさえ狙えるチャンスホールの2番打ち下ろしパー5もボギーとは、信じられないフタあけでした。「1番バーディー、2番もバーディーのスタートを何度もイメージしてきました。スタートダッシュを決めたい」と、意気込んで語ったのは大会前日の遼でした。

オーガスタ、美しい池越えの15番ホール(パー5)
オーガスタ、美しい池越えの15番ホール(パー5)

 気負い過ぎたのでしょうか。4回も出ているマスターズなのに、あの数万人が集まるパトロンの怒涛のような歓声・視線には、体も心も硬直したのでしょうか。初日「76」で73位の出遅れは、もう地に足がつく位置ではありません。2日目は最低でもパープレーはしなければ予選は通らないという思いは、当然石川にはあったでしょう。いえ、きっとアンダーパーを狙って2日目のスタートラインに立ったに違いありません。その精神的な圧迫がまた逆目に出ます。初日失敗した1番で、また同じように左へ曲げて林へ。この左林は、グリーンを狙うには最悪なのです。リカバリーショットもグリーン左のギャラリースタンドに絡まるショット。くぼ地からの寄せは、2度もグリーンに乗ってから戻り落ち、5オン2パットのトリプルボギーです。これではもう落ち着いてゴルフはできません。流れはついに取り戻せず、「77」もたたいてマスターズ自己ワーストの予選落ちでした。

 昨年は20位と頑張って、次はトップテンへ、ときっと思ったでしょう。しかしオーガスタは、そう甘くはありません。フェアウェイは狭くはないのですが、距離もあり微妙にドッグレッグしている各ホール。池と風。毎日4万人が集まる大観衆。メジャーのわなはいたるところにひそんでいます。それらを全てクリアしたものにのみ、オーガスタの女神は微笑んでくれるのです。

終わった石川遼のコメント。

得意のはずなのに、初日、2日目と同じ1番で左林へ曲げて命取りになった石川遼のドライバーショット。
得意のはずなのに、初日、2日目と同じ1番で左林へ曲げて命取りになった石川遼のドライバーショット。

「去年終わってみて、自分のゴルフでも通用するかと思っていたが、いかに普通通りやるのが難しいかが分かってきた。この結果はいまの自分の実力なんでしょう。メジャーで優勝争いをするには、もう少し時間がかかるでしょうが、マスターズで勝つという夢だけは持ち続けていきたい」

 搾り出すように敗戦の弁を語った石川ですが、技術面では「グリーンに近づけば近づくほどアプローチとパターがうまくいかなかった」と、ショートゲームに精彩を欠いたことを挙げました。今春の米ツアー遠征は計8試合。プエルトリコオープン2位の奮闘はありましたが、予選落ち3回。マッチプレーは2回戦負け。何か奥歯にモノが挟まったような春シリーズでした。もちろん敗戦の中からは数多くの“勉強”もしたでしょう。得るものもあったはずです。しかし、メインイベントとしてきたマスターズでの予選落ちのショックは、隠しようもありません。一軒家を借り、父親はじめ弟や妹たちも呼んでキャディをやらせ、大会前日の「パー3コンテスト」も楽しんだりしました。自分のオフィースメンバーやトレーナー、メーカー等の“石川ファミリー”に守られた居心地のいいぬくぬくとした環境が、果たして遼クンのゴルフのために最善だったのかどうか。技術面以外にもいろいろ考えるところはあるようです。どちらかというと細身の石川遼の体は、20歳になったとはいえ、まだまだ発達の途上にあるような気もします。成長期にある体とスイングとのマッチングの難しさは、見逃しにはできません。あと数年経って、しっかりとした大人の体躯になったとき、遼のゴルフはより安定してくるのかもしれません。

オーガスタ、池の美しい名物パー3の16番ホール
オーガスタ、池の美しい名物パー3の16番ホール

 最終日。レフティー、B・ワトソン(米国)の感極まったプレーオフ勝ちを見届けるまでもなく、日曜午後に帰国した石川遼は成田空港で記者会見。中学時代の同級生(20)と4年越しの交際を実らせ、婚約を済ませたことを正式に告白しました。前日に日刊スポーツにすっぱ抜かれたせいなのかどうか、必要以上にぴりぴりした石川サイドは「案内を出したメディア以外は入室お断り」と関係者がその場を取り仕切り、雑誌社等の取材者を会見場からシャットアウトする異例の態度をみせました。婚約を発表しながら「プライベートですから」と、結婚に関するスケジュールとか、お相手の写真とかは一切受け付けないかたくなな態度を続けています。

 いよいよ今週12日からは国内ツアーが始まります。石川遼への注目度は一層高まると思われますが、そんな中で遼クンが気持ちを落ち着けた開幕を迎えれるかどうか。また、米ツアーで推薦等の出場試合の制限がない「特別一時会員」の権利を得たことから、来季のシード権をとれる賞金ランク125位以内を目指したいという遼クンです。「例年よりは米ツアーの試合数を増やしたい。できれば8月の全米プロまでに(125位以内を)クリアしたい」と、前半戦での第2次米国遠征も行う方針を明らかにしています。

 期待が大きかったマスターズでの最悪予選落ち。“婚約騒動”と、周辺まで騒々しい石川遼は、いったいどんなゴルフを引っさげて、どこへいくのでしょう? 注目度は続きます!