石川遼予選落ち。4人のうち頼るのはアラフォー・藤田寛之ただ一人とは・・

ただ一人予選を通過し、存在感を見せつけた藤田寛之。(ダイヤモンド・カップ=千葉ザ・カントリークラブ・ジャパン)
ただ一人予選を通過し、存在感を見せつけた藤田寛之。

 今年2つ目のメジャー、全米オープン(サンフランシスコ・オリンピッククラブ)で日本勢でただ一人予選を通過した43歳の藤田寛之が精一杯の存在感をみせてくれました。期待の石川遼はじめ谷口徹、高山忠洋の日本勢がそろって予選落ち。メジャーの厚い壁を改めて思い知らされた中で、藤田の粘りに粘っての決勝進出はさすがというところ。3年連続で全米オープンに出場、昨年の予選落ちのリベンジを果たした藤田。最終的には13オーバー、51位タイと上位にはいけませんでしたが、日本ツアー今季2勝の実力はダテではありませんでした・・が!

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初日15位と好発進したが、2日目に1打足りずに予選落ちの石川遼のドライバーショット。
初日15位と好発進したが、2日目に1打足りずに予選落ちの石川遼のドライバーショット。

 初日15位と好発進した石川遼が、2日目に一転して急降下。78もたたいて1打足りずに“まさか”の予選落ちの洗礼。世界のメジャーの難しさ。厚い壁。遼はマスターズに続いての予選落ちの悲哀を連続して味わいましたが、アラフォー藤田の頑張りは日本勢、せめてもの心の支えでした。初日、75で74位と背水の位置からスタートしましたが、2日目の71は藤田の意地を見せつけました。 難コースを相手にするだけに、予選カットがかかっている2日目などは余計アンダーパーを欲張れないのです。「とにかくパーをとることに集中した。ピンが狙えてもムリをせず、安全な方に打ってボギーを打たないようにした」(藤田)と、バーディーを狙うゴルフは我慢して、途中凌ぎに凌いで12ホール連続パー。安全なゴルフを心がけて1バーディー、2ボギーの71。これで順位を42位までに上げて予選を突破したのです。

 全米オープンの予選カットラインは、昨年まで上位60位に加えて「首位の選手から10打以内」という規定がありました。ところがこの規定が今年から変更になり、″首位から10打差まで〝の項目がなくなりました。決勝進出者が増えすぎて、決勝ラウンドの進行に時間がかかリ過ぎるというのがその理由。石川遼は2日間で9オーバー。トップの1アンダーからはちょうど10打差で、昨年までなら予選通過でした。新規則に泣かされた格好でしたが、藤田は2日間で6オーバー。8オーバーまでが決勝進出でしたから2打余裕をもって予選を通過したことになります。

昨年は世界4大メジャーに出場したが、4つとも予選落ちの苦汁を飲んだ。今年は予選は突破したが…、42歳・藤田寛之。(ダイヤモンド・カップ=千葉ザ・カントリークラブ・ジャパン)
昨年は世界4大メジャーに出場したが、4つとも予選落ちの苦汁を飲んだ。今年は予選は突破したが…、43歳・藤田寛之。

 日本勢4人で唯一の決勝ラウンドに進んだ藤田は「メジャーだからといってスーパーショットばかりを狙ってもダメ。自分のできること以上のことは望んでもできないのだから」と、ベテランのアラフォーらしく自分を信じる落ち着いたプレーで、一歩一歩前に進んでいったのです。「自分ひとりになったから、日本人のゴルフのよさをなんとか自分がみせたい」と、責任さえ感じての3日目。この16日が藤田の43歳の誕生日でした。「メジャーで誕生日を迎えられることがうれしいね。ずっと(毎年)きたいです」と、来年以降も見据えるベテランの意気。3日目からツーサム(2人組)になり欧州ツアーでの実力者、アダム・スコット(豪州)とのプレーでしたが、4番でフェアウェイとセミラフとの境目にあった第2打を引っ掛けてダブルボギーとしたのが痛恨でした。7番の短いパー4(288ヤード)では1オンを果たし、バーディー。後半に期待がかかりましたが、パターが不調で3ボギー。3つスコアを落とす3日目となって「パットが決めきれない。ラインが読みきれてない。それが僕の持ち味なのに・・」と、苦しげでした。バンカーの砂質、バウンドさせる地面の硬さ・u栫A複雑なグリーンの傾斜・・。メジャー独特の難設定のコースに苦戦し「ミスが確実にボギーになる。なるほどと思わせるワナだらけだから」と、メジャーのコース攻略が一筋縄ではいかないのを改めて実感したようです。

 最終日も47位から出て、あわよくば“(来季の出場権がもらえる)16位以内”を狙いましたが、ついにバーディーなし、2ボギーに1ダブルボギーをたたく74で、順位を51位に落として終戦となりました。

 「結局は消化不良だったが、(強い外国の選手と回って)向こうはマシンガン、こっちは槍をもって戦うような感じ。でも世界で戦っていくには、どう生きるかを考えていかなくては・・」
 海外のメジャーは何度も経験している藤田ですが、今回、4人全滅の“恥”だけは免れた“孤軍奮闘”で改めて世界の高いハードルを実感したのも事実です。石川遼とアマの松山英樹の2人が出場したマスターズは、石川遼予選落ち、松山英樹54位。全米オープンは4人出場で、ただ一人通った藤田が51位に終わった世界のメジャーを、もういちどよく考えましょう。7月には全英オープン、8月には全米プロとあと2つのメジャーが残っていますが、この2つもアラフォー・藤田寛之に頼らなければならない日本ツアーなのでしょうか?

 ◆今季全米OP・藤田寛之のデータ◆

   バーディー、ボギー、ダブルボギー
               
1R  3    6    1
2R  1    2    0
3R  2    3    1
FR  0    2    1
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計   6    13   3
ドライビングD     277.12ヤード
パット数     125    1.74
パーオン率   42/72  58.33%
サンドセーブ率 3/7    42.86%
FWヒット率   29/56  51.79%