今年の全日本パブリックアマ・チャンピオンは男女とも16歳!!

「全日本タイトルがつく大会で優勝できてうれしい」と、喜びの優勝カップを抱える保坂真由(埼玉・栄高2年=左)と、浅井光昭全日本パブリックゴルフ協会会長(右)
「全日本タイトルがつく大会で優勝できてうれしい」と、喜びの優勝カップを抱える保坂真由(埼玉・栄高2年=左)と、浅井光昭全日本パブリックゴルフ協会会長(右)

 今年の日本女子アマチュアゴルフ選手権は18歳の比嘉真美子(沖縄・本部高卒)が大会2連覇して話題を集めましたが、それに先立って行われた競技ゴルフの登竜門「全日本パブリックアマチュアゴルフ選手権大会」の本年度チャンピオンは、男子、女子ともに16歳の高校2年生が栄冠をつかみました。男女それぞれで別に開催された大会、全日本男子決勝(千葉・紫あやめ36)は、北村聡馬(三重・伊勢高2年)。全日本女子決勝(千葉・八千代ゴルフクラブ)は、保坂真由(埼玉・埼玉栄高2年)がNO1になりました。保坂はこのあと先週行われた日本女子アマでもベスト4に残り、3位決定戦に勝つ頑張りをみせました。ゴルフ界はどんどん若返りが進んで高校生チャンピオンはもう珍しくもありませんが、プロゴルフ界に数多くの先輩を送り出しているパブリックアマ選手権の歴史に、また新たな1ページが飾られました。

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今年の全日本女子パブリックアマを逆転で制した16歳・保坂真由。続く日本女子アマゴルフ選手権でも3位に入る健闘だった(千葉・八千代GC)
今年の全日本女子パブリックアマを逆転で制した16歳・保坂真由。続く日本女子アマゴルフ選手権でも3位に入る健闘だった(千葉・八千代GC)

 パブリックアマ選手権の女子は、46回目を迎えた男子よりも歴史は浅く、今回で第12回目を迎えた全日本大会です。歴史は浅くても、ここから巣立っていった女子プロは多士済々です。今年ルーキーで頑張っている酒井美紀(21)は平成22年の優勝者でパブリックの常連でした。平成20年、15歳で全日本チャンピオンになった青木瀬令奈(19)は、昨年のプロテストに一発合格。新人の今年は、5月のヨネックスレディスで初日首位タイに立つなどして5位フィニッシュ。話題を集めました。京都学園高時代の16歳で全日本女子を制した森田理香子(22)は、すでに一昨年に樋口久子IDC大塚家具でプロ初勝利を挙げ、いまやトップクラスのシード選手。まだ優勝はありませんが、綾田紘子(23)も期待の若手。全日本女子の第1回優勝者・宅島美香(26)は、アイドルプロとして人気を集めましたが、まだ優勝には届いていません。西木裕紀子(20)も歴代優勝者でプロ3年目です。

 今年、第12回全国大会を制した保坂真由は、やはり高2の初々しいプレーヤーです。「この大会に向けてドライバーをたくさん練習してきました。アイアンもよかったです。(最終日)18ホールでグリーンを外したのは1回だけ。いいプレーができました。最後まで優勝はわからないと思ってプレーしましたが、自分ならできる、と信じていました。緊張はしませんでしたが、最後のパットは優勝を意識して手が震えましたね」
 自信満々のプレー振りは、16歳とは思えぬ落ち着きもありました。初日は3つバーディーをとりながら5ボギーで2オーバー。1打差の2位タイにいましたが、2日目は午前中、2、5、7番と3つのバーディーで33。首位を奪ってターン。後半も1ボギーはあるものの12、14番で2つのバーディーを重ねて4アンダー、68のベストラウンド。初日の2オーバーも帳消しにしてなお2アンダーフィニッュと堂々たる逆転優勝でした。
 2日間で8バーディーはお見事。後半スタート前に鼻血を出すアクシデント。13番くらいまで止まらなかったそうですが、そのハンディにも動じない頑張り屋でした。パブリック選手権は2度目の挑戦で優勝を勝ち取りましたが、昨年は日本ジュニア(女子15歳~17歳)で14位タイ。日本女子アマでは決勝の32人に進出して、マッチプレー1回戦で敗退。先週行われた今年の日本女子アマでは、準決勝まで勝ち進み、優勝した比嘉真美子に破れはしましたが、3位決定戦には勝つなど、すばらしい進歩のあとをみせました。日本女子アマ3位もさることながら、パブリックアマ選手権での全日本優勝は、保坂真由さんを世に出す大きなきっかけになるかもしれません。
「全日本のタイトルがつく大会で優勝できてホントにうれしいです」と、喜びを体中で表現していた真由ちゃんが楽しみです。
    
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 長い歴史に支えられてきた全日本パブリックアマ、男子の部チャンプは北村聡馬クン。

全日本パ選を制し、優勝カップを抱える北村聡馬(三重・伊勢高2年)
全日本パ選を制し、優勝カップを抱える北村聡馬(三重・伊勢高2年)

初日は70で2打差の4位タイでしたが、2日目、立ち上がりの1番でたたいた唯一のボギーを9番で取り返して前半をイーブン。首位には4打差がついていましたが、バックナインは3バーディーの32。17番まで同組でタイスコアだった上原吉貴が最終ホールをボギーとして、1打差の逆転勝利をモノにしました。70、68と連日のアンダーでトータル6アンダー。プロ並みのゴルフは素晴らしいものがありました。
 16歳と若い北村が長尺パターを駆使していたのも珍しいですが「長尺は中学3年のころから使っていました。前週の中部アマで右手のグリップを下から握っていたのを、プロのように上から手を添えるようにしたらよくなった」と嬉しそう。「それと2日間ともロングアイアンがよく打てました。前日の練習ラウンドで62(自己ベスト)が出たんです。林に入れないこと。フェアウェイにある立ち木の後ろには行かないように注意しました。前の週の中部アマで日本アマ出場資格をもらっていたので“5位くらいに入ればいい”くらいの気持ちでいきました。こんな大きな大会の優勝は初めてなので、とても嬉しいです」

16歳では珍しい長尺パターを駆使して優勝した北村聡馬(千葉・紫あやめ36)
16歳では珍しい長尺パターを駆使して優勝した北村聡馬(千葉・紫あやめ36)

紫あやめ36は、旧紫CCあやめコース。松林でセパレートされた戦略性の高いコース。1986年には男子の深堀圭一郎が東日本決勝で優勝。2004年には女子の若林舞衣子が、やはりこのコースで東日本女子決勝を勝ち取っています。
 全日本男子の歴代優勝者には、桑原克典、久保谷健一、星野英正、中西雅樹、石川裕貴、小黒貴志、永野竜太郎、中島徹、田中泰二郎、丸山茂樹、中嶋常幸ら、そうそうたるトッププロが名前を連ねています。今年のツアー新人でこれまで予選落ちは1回だけ。ほとんどの試合、上位で戦っている話題の川村昌弘(18)も、2010年のパ選チャンピオンです。まだプロにはなっていませんが、トップアマで名を売っている伊藤誠道(杉並学院高)も平成21年の最年少優勝者です。
 先日、日本パブリックゴルフ協会の創立50周年パーティに出席した中嶋常幸プロは「ゴルファーを育ててくれるこのパ選がなければ、いまの私はありませんでした。私は7冠とよく言われますが、パブリック優勝を入れた8冠が正しいんです」と、祝辞を述べていました。
 “全てのアマチュアゴルファーで、男女ともハンディキャップ20程度以上が望ましい”というのが、このパ選の参加資格。文字通り広く門戸を開けた競技ゴルフの登竜門となっているパブリック協会の競技は、ユニークです。北海道・青森、東日本、中部日本、西日本の4地区に別れ、各地区の予選から勝ち上がった人が、全日本決勝(5~6月)として戦います。
 今年も誕生した若きパブリック王者を見守りましょう!