女子ゴルフは古閑美保が今季最終戦でうれしい逆転初賞金女王です。Kochi黒潮CCでは男子ゴルフで石川遼クンが17歳のプロ1年目で1億円プレーヤーになりました。海の向こうでは男子の国・地域別対抗戦W杯で日本の谷口徹、今田竜二コンビは3位に入る好成績です。ゴルフ界は終盤を迎えて派手な話題で大賑わいです。そんな中でさらにもう一つ、PGAシニアツアーの今季最終戦も負けていない試合でした。Handa Cup フィランスロピーシニア(埼玉・おおむらさきGC、11月30日最終日)で、三好隆(57)が飯合肇(54)をプレーオフで下して優勝。ゲットした優勝賞金は3000万円。これはなんと、同じ週男子レギュラーツアー、カシオワールドの優勝賞金2800万円を上回るビッグプライスだったのです。プレーオフでは負けましたが、2位に入った飯合肇が、初のシニアツアー賞金王になりました。
◇ ◇
三好隆と飯合肇とがぶつかり合ったプレーオフは4ホールにおよびました。18番(パー5)の繰り返しで、2ホールはともにパー。初冬の日暮れは早く、3ホール目からピンの位置を右サイドから中央奥に切り替えて勝負を急ぎました。その3ホール目。飯合が3打目をカップ1メートル弱にぴたり、バーディーチャンスにつけました。
三好はカップ左奥8メートルに3オン。下りのパットになり、どうみても飯合の勝ちかと思えました。ところが、三好が難しい8メートルを見事に沈めたのです。「ワンカップ半の軽いスライスライン。気合が入っていたから入ったと思う。今年最高の思い出になるパットだった」と三好。簡単にバーディーをとった飯合とこのホール分かれて次の4ホール目に進みました。4ホール目は飯合がロングパットを寄せてパー。奥4メートルに乗せた三好はやはり下りの速いパットを波に乗って決める連続バーディー。約50分にわたったプレーオフ決戦を制しました。
「シャンク病で去年からずっと悩み通しだった。今年最後の大きな試合で勝ててこんなうれしいことはない。ビッグネームの飯合さんと渡り合えて勝てたのも思い出に残る試合になった」 三好は2年ぶりにツアー6勝目の嬉しさを体いっぱいに表していました。3000万円というビッグな賞金については「シニアツアーは第2のステージ。そのシニアツアーにこうした大きな試合を提供してもらえるのは、選手にとっても意義のあることです。感謝の気持ちで一杯です。これで年が越せます」と、感謝の念を込めて話していました。
優勝賞金3000万円というのは、PGA のシニアツアーの歴史の中でも最高の額です。今季も日本シニアオープンで総額8000万円の優勝1600万円。総額で1億円の富士フィルムシニアで優勝は2000万円でした。それらをはるかに上回る高額な賞金を提供したのはどんな人でしょうか。
半田晴久氏。同志社大経済学部卒で武蔵野音楽大特修科声楽専攻卒でもあります。有限責任中間法人の「国際スポーツ振興協会」の会長です。この協会では、スポーツによる社会貢献をテーマに、日本と海外でさまざまな活動を行っています。日本ではブラインドゴルフや障害者のためのスポーツ支援を行っています。半田氏はNPO法人の日本ブラインドゴルフ振興協会も創設し、自ら名誉会長をつとめています。他にも海外の多くの大学での過程を修了。文学博士でもあります。そうした中でゴルフにも深くかかわり、米国女子シニアゴルフ協会の会長もつとめ、日米選手を集めたの女子プロシニアゴルフ大会を日本で開催したこともあります。その半田氏が昨年から日本のシニアツアーへ進出し、昨年は第1回のHandaCupシニアを総額1億円、優勝賞金2500万円で開催しました。今年、第2回大会を開くに当たって総額を2000万円増額して1億2000万円、優勝賞金は3000万円という破格の大会となったのです。
半田晴久会長は「金がありあまっているからやるのではない。日本のゴルフ界に『スポーツによる社会貢献』の概念を深く浸透させたいがために、お金もかき集めてた大会を開催しています。来年度も1億円規模で開催します」と、ゴルフ界に対する意欲のほどを話しています。
この大会では賞金の10%を多くの福祉団体に寄附し、選手も一体となって「フィランスロピー精神」のもとチャリティ活動に協力しています。
今年のPGAシニアツアーは9試合。そのすべての日程がこのHanda Cup
で終わりました。渡辺司(51)が途中2試合連続で優勝するなどの爆発で賞金王レースを引っ張りましたが、秋の陣になって渡辺の足が鈍りました。しかも最終戦でビッグプライスの試合が組まれたため、最終戦まで賞金王やシード選手(30位まで)が決まりませんでした。結果、渡辺が13位タイに終わったことで、単独2位で1380万円を得た飯合肇(今季2勝)が逆転賞金王となりました。獲得賞金4627万5833円です。93年にはレギュラーツアーで賞金王になっている飯合はレギュラー、シニア両ツアーで賞金王に輝きました。
飯合肇は「最後の試合でプレーオフで負けたのは悔しい。でも目標にしていた賞金王がとれたので1年間頑張れたと思う」と、語っていました。
◆08年シニア賞金ランキングベスト10(円)
①飯合肇 46,275,833
②渡辺司 44,753,000
③三好隆 43,299,250
④室田淳 25,638,833
⑤尾崎健夫 24,316,600
⑥中嶋常幸 23,992,000
⑦中瀬寿 20,433,012
⑧高橋勝成 19,404,750
⑨丸山智弘 11,420,200
⑩佐藤剛平 11,210,200