★石川遼クン、ジャパンゴルフツアー表彰式でも独壇場どこまで深いポテンシャル!?

喜び合う二人!最優秀新人賞島田トロフィーの石川遼(左)。最優秀選手賞の片山晋呉(右)。遼クンは上下黒のスーツに白のドレスシャツ。真っ白のスリッポンというカジュアル風の若者ファッションで決めていた。(ANAインターコンチネンタルホテル東京)
喜び合う二人!最優秀新人賞島田トロフィーの石川遼(左)。最優秀選手賞の片山晋呉(右)。遼クンは上下黒のスーツに白のドレスシャツ。真っ白のスリッポンというカジュアル風の若者ファッションで決めていた。(ANAインターコンチネンタルホテル東京)

 今年の男子プロゴルフツアーは今季25試合の全日程を終了し、日本ゴルフツアー機構(JGTO)は8日、都内のANAインターコンチネンタルホテル東京で今季の表彰式を行いました。史上最年少、17歳で賞金1億円を突破しランキング5位に入った石川遼クンは、最優秀新人賞の島田トロフィーを獲得したほか、ファンが選ぶ最も印象的だった選手に贈られるMIP賞と、ゴルフ記者が選ぶゴルフ記者賞に2年連続で選出されました。優勝、賞金ランキング、平均ストロークをポイント化して決める最優秀選手賞は、片山晋呉(35)が2年ぶりに受賞を果たしましたが、授賞式後のパーティーでもインタビューでも一番人気で盛り上げたのは、だれでもなく遼クンでした。世界ランキングも66位から62位に上がり、64位の今田竜二を抜き、片山晋呉(34位)に続く日本人2位となりました。

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 フェアウェイでのゴルフファッションにも注目を集める遼クンが、ホテルでの年間表彰式にはどんな衣装で!?とわくわくものでした。スポットライトを浴びて壇上に登場した遼クンは、カジュアルっぽい黒の上下スーツに黒いボタンがアクセントの白のシャツ。ノーネクタイで靴は真っ白のスリッポン。今年は選手のタキシード着用のドレスコードがはずされたため、それぞれの背広姿の選手がほとんどでしたが、ノーネクタイで白黒のカジュアルでまとめたセンスは、さすが若い遼クンの独壇場でした。

 

 

青木功JGTO特別顧問(左)から島田トロフィーを受ける石川遼(08年ツアー表彰式)
青木功JGTO特別顧問(左)から島田トロフィーを受ける石川遼(08年ツアー表彰式)

 表彰式のあとは青木功、杉原輝雄、中嶋常幸、尾崎直道、それに新たに加わった片山晋呉(倉本昌弘早退、尾崎将司は欠席)と、歴代の永久シード選手が壇上に勢ぞろいした「永久シード選手トーク」もありましたが、そのあとに行われた青木功と石川遼とのトークが一段と会場を盛り上げました。

 遼「シーズンはじめプロ宣言したときは、今年は15試合くらいかなと思っていたのに24試合にも出られました(1試合のみ欠場)。マイナビABC選手権で初優勝した翌週のレクサスに予選落ちを味わいました。辛かったけど、予選落ちする18番グりーンにも大勢のファンが待っていてくれて暖かい拍手をもらった。予選落ちでも最後まで最善をつくそうと思いました。4試合連続で予選落ちしたとき(5月)は一番苦しかったですね。落ちるのが苦しいのではなくて、応援してくれているファンに申し訳けなかったのです」

 

青木功プロ(右)とのトークショーで会場を盛り上げた石川遼(中)。左端は司会の女性アナ(ANAインターコンチネンタル東京)
青木功プロ(右)とのトークショーで会場を盛り上げた石川遼(中)。左端は司会の女性アナ(ANAインターコンチネンタル東京)

 青木『遼クンはことし3パットあるの?ないのじゃない?ホントにパットのセンスがあるよ』と″パットの名手から褒め上げられたパッティングは、年間平均パット数の部門で3位でした。平均パット数1.7615は、片山晋呉の1.7834(15位)を大きく上回る値打ちある数字です。バーディー率の3.83は2位。ドライビングディスタンス部門では290.37ヤードで7位(1位は津曲泰弦の296.08ヤード)。 遼クンはいいます。「スコアを作るうえで大事なパーオン率やパーセーブ率ができていません。でも、いまはもっとドライバーを飛ばしたいし、もっとたくさんバーディーもとりたい。今年成長したのはドライバー。一番練習したクラブですから。練習はうそをつかないなと思いました。緊張した中でもドライバーを持つと安心感がありました。バックスイングで右足にウエートがしっかり乗るようになったし、切り返しのタイミングも安定してきました。このオフもやることは一杯ありますが、ドライバーは一番練習すると思います。来年のドライバーはもっと楽しみです」

 

08ジャパンゴルフツアー年間表彰式。各部門で表彰されたプロ。前列左端・石川遼。左から3人目・片山晋呉。左端・小泉会長。右端・青木功。
08ジャパンゴルフツアー年間表彰式。各部門で表彰されたプロ。前列左端・石川遼。左から3人目・片山晋呉。左端・小泉会長。右端・青木功。

 さらに遼クン「今年はピンチのパーパットが入るようになった。粘れるようになったですね。ダブルボギーのあとのティーグラウンドでも、あせらなくなった。技術的にはまだまだですけど、1年間プロの中でやった経験を通して自分のゴルフ、考え方は大きくなれたかなと思います。精神面の成長はあったと感じます。それとアマ時代と違って居心地がよくなった。アマ時代は自分の成績のためにとか、自分の成長のことばかり考えていましたが、プロになってからほかの人やゴルフファン、またゴルフ産業にまで与える影響力はすごいのかなと感じています。より自覚をもってゴルフをしようと思えるようになりました。僕の力だけではゴルフ界を明るくはできないでしょうけど、頑張っていこうと思います。プロになってよかったです」

 

 

最優秀新人賞のトロフィーを抱えて満面笑顔。石川遼クン(表彰式で)
最優秀新人賞のトロフィーを抱えて満面笑顔。石川遼クン(表彰式で)

 50分間にもおよぶ記者会見で、ひとつひとつの質問にも丁寧に本音をとうとうと語った遼クン。最後に″追いかけるたくさんのメデイア、報道陣に何かいいたいことは?〝といわれて、椅子から立ち上がった遼クン「2年連続で記者賞をもらってありがとうございます。僕はなにもしていないのに、(バースデー撮影用などの)ケーキばかりもらってます。ゴルフがスポーツ新聞の一面に載るようになったし、日本シリーズの最終日は1万4千人ものギャラリーがコースに来てくれました。それは皆さんの力があってできること。決して僕だけの力ではありません。来シーズンも皆さんに頑張ってもらって、僕もゴルフを上達させて一緒に頑張っていきましょう!」と締めくくり、100人に近い報道陣から大きな拍手が起こっていました。

 いつもいわれますが、17歳、高校2年生が、聞かれるままに理路整然とここまで自分の思いを語れるのは凄いことです。石川遼のポテンシャルの深さ、幅広さは想像がつきません。来季のマスターズへの招待もかなり高い確率でありそうです。憧れのタイガー・ウッズと、もしオーガスタで一緒に回ったら、遼クンは何を吸収し、何を語るのでしょうか。待ち遠しいものがあります。