「ゴルフの苦しさ知ってからの優勝は深い!」シード落ち危機から一気に21位へ!42歳・丸山大輔の復活劇

プロ20年目、42歳で復活V。嬉しい優勝カップを掲げる丸山大輔(ブリヂストンOP=千葉・袖ヶ浦CC)提供:JGTO
プロ20年目、42歳で復活V。嬉しい優勝カップを掲げる丸山大輔(ブリヂストンOP=千葉・袖ヶ浦CC)提供:JGTO

 42歳、シード落ちの恐怖に駆られながら戦ってきた中年男が、まさか、まさかの優勝で感涙にむせびました。「ゴルフの苦しさを知ってからの優勝。深~いものがありますね」・・。ゴルフ人生、山あり谷あり。不振に苦しんだ4年間に思いをはせたのは丸山大輔。プロ20年目にもう一度春がきた喜び。09年のパナソニックオープン以来、4年ぶりのツアー3勝目は、ゴルフがしたくて通った千葉県立泉高から約5キロ地点。地元、千葉・袖ヶ浦CCでのブリヂストンオープンでの出来事です。68位に低迷していた賞金ランクも、一気に21位にまで上げ、危機を脱出しました。勝負の世界はこれだからやめられませんー。

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大会3連覇をめざし、2日間首位を守った谷口徹だが、最終日にショットを乱して自滅。5打差の7位タイに終わった(千葉・袖ヶ浦CC)提供:JGTO
大会3連覇をめざし、2日間首位を守った谷口徹だが、最終日にショットを乱して自滅。5打差の7位タイに終わった(千葉・袖ヶ浦CC)提供:JGTO

 大会3連覇を狙う谷口徹、日本未勝利だが飛ばし屋の朴銀信(パク・ウンシン、韓国)と並んで、首位の最終日最終組。台風27号が残した強風で選手が苦しむ中、丸山は不調の″元凶〝ドライバーを封印し、ユーテリティークラブと好調なアイアンを駆使して丁寧なゴルフに徹しました。谷口に「大輔、こんなにパター上手かったか?」といわれたパターのタッチが上々だったのも、負けないゴルフでした。8番、左のカラーから5メートルのバーディーパットを決めて勢いに乗り、パー5の9番で2メートル、10番に回って4メートルを沈める3連続バーディー。並んでいた谷口が10番をボギーとし、ここで2打差の単独首位に立ちました。「あの3連続で流れが自分にきた」(丸山)と自ら認める中盤でのチャージ。バーディーの出やすい袖ヶ浦のバックナインでは、着実に4バーディー(2ボギー)を重ねて68。自滅した谷口を追いやり、2位には3打差をつけて通算10アンダーの圧勝でした。

 ☆丸山大輔の優勝コメント☆

不調のドライバーを封印。ユーテリティーでFWキープに努めた丸山大輔(千葉・袖ヶ浦CC)提供:JGTO
不調のドライバーを封印。ユーテリティーでFWキープに努めた丸山大輔(千葉・袖ヶ浦CC)提供:JGTO

「本当に嬉しいですね。最後の最後までまさか優勝できるとは思ってなかったです。アイアンはよかったんですが、ドライバーが不安で、バックナインでドライバーを使ったのは最後の18番だけです。でもドライバーを使うケースが少ないコースなのでラッキーでした。もう少しドライバーをしっかり打てるゴルフをしたいです。ここのところ優勝には縁がないし、今年は夏場特に苦しかった。フジサンケイ、ANA、パナソニックと自分の好きな3試合連続で予選落ちしたのが余計ショックでした。もう予選を通過できないんじゃないかという恐怖感さえありました。日本オープンの出場権もとれませんでした。同世代の選手と励まし合ってきたのが励みにはなりましたが、今週思いのほかいいゴルフができて不思議です」

 前週の日本オープンを制した親友の小林正則(37)には刺激を受けたそうです。同世代の野仲茂(43)には「我慢してやっていればいいこともあるよ」と、声をかけられたのも胸に響きました。毎年、シード落ちの線上でしのぎを削ってきたもの同士の励まし合い。「以前は、同世代でも敵と思っていたものが、40歳を過ぎると仲間ですね」と、笑う大輔です。

 今季もこれまで18試合で予選落ち9回。棄権1回。トップ10は日本ツアー選手権の10位1回のみ。05年のフジサンケイでプロ初優勝すると、その秋には米ツアーのQTに挑戦して7位で通過。翌06年は「ジ・インターナショナル」の3位はじめ、トップ10が4試合の活躍で米ツアーのシード権を確保する勢いのある選手でした。米ツアー2年目の07年はシード落ちして08年から再び日本ツアーに復帰した経験の持ち主です。日本ツアーではシード選手を続けてきましたが、今季は残り試合も少なってシード権のボーダーライン(70位)が気になる68位と低迷。そんなジリ貧の40歳エージに入ってから再び脚光を浴びるのですからゴルフ人生は分かりません。

今年のBSオープンは台風27号の影響を受けて雨の大会となった。3日目の土曜日は悪天候で中止。54ホール競技に短縮された(千葉・袖ヶ浦1番ティーグラウンド)
今年のBSオープンは台風27号の影響を受けて雨の大会となった。3日目の土曜日は悪天候で中止。54ホール競技に短縮された(千葉・袖ヶ浦1番ティーグラウンド)

 この勝利で、来季から2年間のシードを手にしました。「(シードボーダーラインの)70位しか見てなかったのに、優勝できて日本シリーズにも出られる。これで少しは楽になったので、もう少し攻撃的なゴルフができます」(丸山)。来季の米ツアー、WGCブリヂストン招待(7月31日~8月3日=オハイオ州ファイアストーンCC)への特別出場権も得ました「前にアメリカに行っているときは出られない試合でした。それまでにいいドライバーを打てるようにしてから行きたいですね」(丸山)。

 中学時代までは体操部にいた大輔。体を動かすことは苦にしません。ストレッチや体をいじめるトレーニングは、苦戦続きのころもずっと続けてきました。これもここへきて生きているのでしょう。苦しさを乗り越えて頂点に立った丸山大輔の40歳代は、明るい光が輝いています。青木功もジャンボ尾崎も中嶋常幸の先人たちも、40歳代で円熟したゴルフをファンに見せ続けたことを忘れていません。