役者がいない!男子ゴルフ低迷!日本オープン21年ぶりの平日予備日使用は、ギャラリー967人

プロ16年目。メジャー初制覇、ツアー3勝目で感極まる小林正則 (13年日本オープン、茨城GC)=提供JGA
プロ16年目。メジャー初制覇、ツアー3勝目で感極まる小林正則 (13年日本オープン、茨城GC)=提供JGA

 967人!!これ、何の数字でしょう?本年度日本一ゴルファーを決める日本最高峰の日本オープンゴルフの最終日のギャラリー数です。日曜日が悪天候でサスペンデッドとなり、平日、月曜日の予備日を使っての最終ラウンドは、92年大会(茨城・龍ヶ崎CC)以来の21年ぶり3度目の珍事。それにしても松山英樹も石川遼もいない日本オープンはなんともお寂しい最終日で、4日間トータルでも7709人(サスペンデッドは除く)と1万人を割れ込み、81年大会(岐阜・日本ラインGC東コース)以来、32年ぶりの1万人割れ。男子ゴルフの低迷を象徴するような結果となりました。2週間前に開催された日本女子オープンは、宮里藍、由香らの米ツアー組も参加して盛り上がりを見せ、最終日は1万4919人の大入り。4日間合計では3万3160人のギャラリーを動員、男子ゴルフとの格差をみせつけました。

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長身を生かし、大きな飛距離を飛ばすのが小林正則の武器だ(茨城GC東コース)=提供:JGA
長身を生かし、大きな飛距離を飛ばすのが小林正則の武器だ(茨城GC東コース)=提供:JGA

 季節外れの台風の連発で日本列島は大荒れ。秋の陣に入ったゴルフツアーもその余波を受けて泣きが入ります。日曜日(20日)の大雨で女子の富士通レディス(千葉・セブンハンドレッドクラブ)は最終ラウンド中止で2日目トップのイ・ナリ(韓国)の優勝。しかし男子のメジャー、日本オープン(茨城・茨城GC東コース)は、72ホール競技を前提としていて月曜日に予備日をとってありました。日曜日は雨中で出場64人のうち、24人がスタートしましたが、降雨がひどくなり午前10時30分にサスペンデッドが決定。残りは月曜日(21日)に持ち越されました。
3日目首位に立っていた小田孔明は、9アンダーで2位の小林正則に3打差をつけていました。人気のシード選手、片山晋呉が初日トップで3度目の日本オープン制覇か、と話題を集めましたが、スコアが伸びていかずに最後は優勝争いに食い込めませんでした。雨の日曜日、ギャラリー数は一応1430人と発表されましたが、午前中の試合中止ではどうにもなりません。

日本オープンが開催された茨城GC東コースの1番ティーグラウンド。スーパースター不在でちょっぴり寂しいメジャーになった。(提供=JGA)
日本オープンが開催された茨城GC東コースの1番ティーグラウンド。スーパースター不在でちょっぴり寂しいメジャーになった。(提供=JGA)

 雨模様の日が続いたせいばかりではないでしょう。舞台も、茨城・つくばみらい市にある茨城GCは、ロケーションも申し分のない日本オープンでした。なのに初日から1586人、2日目1874人、土曜日の3日目3238人・・とお寂しい限り。平日の月曜日は好天のファイナルとなりましたが、なんと967人はチトひどすぎませんか?
 役者がいない!!確かにそうです。67で回って逆転のプロ3勝目を挙げ、感激のメジャー初優勝した小林正則(37)。最後まで優勝争いを演じた小田孔明(35)は、ともに東京学館浦安高の後輩と先輩。お互い飛ばし屋で攻めまくるゴルフスタイルが身上。それなりの白熱戦を演じましたが、所詮はスタープレーヤーとはいえない二人。ギャラリー数が伸び悩んでいるのは、オープンだけではなく、通常のツアーもファンの目は厳し~い、というところです。

3日目、3打差をつけてトップに立ち、初メジャーVにかけたが、最終日スコアを2つ落とし、高校の先輩に無念の逆転負けを喫した小田孔明(茨城GC東コース)=提供:JGA
3日目、3打差をつけてトップに立ち、初メジャーVにかけたが、最終日スコアを2つ落とし、高校の先輩に無念の逆転負けを喫した小田孔明(茨城GC東コース)=提供:JGA

 今季飛ぶ鳥を落とす勢いで賞金王を確実にしている松山英樹。一時は男子ゴルフの危機を救った石川遼がともに米ツアーへ飛び立ってしまいました。あとをつなぐスーパースターのいない男子ゴルフは、またまた暗黒期を迎えようとしています。ピチピチとした若手が次々と出てくる女子ツアーに押されまくっている男子ゴルフです。しかも日本女子オープンにはほとんどの海外組が帰国して顔をそろえる女子はさすが。今年の日本女子オープンも一時帰国の宮里美香が、魅せるゴルフを展開して2度目のナショナルオープン制覇を成し遂げました。最終日1万5000人になんなんとするギャラリーを集めたのもうなずけるところです。男子の日本オープンも主催するJGA(日本ゴルフ協会)は、今季の賞金王を決定ずけているルーキー、松山英樹くらいはナショナルオープンには呼び戻す“工作”をしてほしかったという思いです。(註⇒松山英樹は疲労による胃炎を起こし、米ツアー第2戦を欠場して帰国中)。米ツアーは今年からシステムが変わり、10月に新シーズンの開幕を迎えました。米ツアーのライセンスを取得した松山は「一年目、向こうの開幕戦から出たい」と米ツアー優先の意向を示しました。シード権を落とし、“入れ替え戦”という地獄の4戦を戦って来季の出場権を取り戻した石川遼も、同じ理由で日本のナショナルオープンをけったのでした。

 旋風のように男子ゴルフに登場した石川遼のプロ2年目、09年の日本オープン(埼玉・武蔵CC豊岡コース)は、遼がプレーオフで小田龍一に敗れましたが、このときは4日間で大会史上最多の4万5515人のギャラリーを集め、最終日は1万7687人が詰めかけたのも、いまや夢のようです。天候に災いされた今年の日本オープンではありましたが、はからずも男子ゴルフの人気低下の深刻さを知らされた思いです。