かわいい後輩に”容赦ない一撃”を見舞った小田孔明! 関西OPでツアー7勝目。

18番の逆転イーグルで今季初Vを挙げた小田孔明(関西OP。兵庫・六甲CC)=提供:JGTO
18番の逆転イーグルで今季初Vを挙げた小田孔明(関西OP。兵庫・六甲CC)=提供:JGTO

男子ツアー、関西オープン(22~25日、兵庫・六甲CC)で、またまた18番での逆転イーグルが飛び出し、小田孔明(35)がド肝を抜く今季初優勝を遂げました。今季は女子でも3月のアクサ・レディスで20歳の飛ばし屋、渡辺彩香(あやか)、5月のサイバーエージェント・レディスでは一ノ瀬優希(25)が、ともに18番のイーグルでとどめを刺す劇的な勝負が連発しました。天下獲りを目指す小田孔明の一発で、国内今季3度目の奇跡が起きたことになりますが、女子プロツアーは、10代のアマチュアなどがプロを脅かし、男子ツアーは3週間ぶりの試合でドラマがあり、盛り上がりをみせてきました。

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飛ばし屋小田孔明。スリークオーター気味に打つショットの正確さにも定評がある(関西OPで)=提供:JGTO
飛ばし屋小田孔明。スリークオーター気味に打つショットの正確さにも定評がある(関西OPで)=提供:JGTO

男子ツアーは新緑のいい時期に2週間も試合がなく、関西オープンは久々のトーナメントでした。毎年8月に行われていた関西オープンを5月開催に変更した第80回の記念大会。今季ツアー初出場の中嶋常幸はじめ、高橋勝成、水巻善典らのシニアも出場して記念大会に花を添えました。試合は、この1月に東北高ゴルフ部時代の1年先輩と結婚、秋にはパパになるビリケンこと藤本佳則(24)が3日連続で60台を出して3日目を終わって単独首位。2位に2打差、3位の小田には4打差をつけての最終日で″結婚祝賀V〝のムードがいっぱいでした。ところが勝負の世界はゲタをはくまで分かりません。1番の藤本のバーディーで5打差をつけられてスタートした小田が、前半で2つ伸ばし12番(パー4)では「22㍍。奇跡」(小田)の超ロングパットを沈めるバーディーで流れが変わってきました。「佳則(藤本)が急に緊張し始めてボギー、ボギー(15、16番)ときたときに、”ウ~ン”って感じでしたね・・」(小田)。

確かに、優勝に向かって走っている選手が、バックナインに入った終盤に、”ボギー、ボギー”をやっては、敵にスキをみせるというものです。この16番で13アンダーとなって二人は並びます。小田の過去6勝はすべて逃げ切りの優勝。「逆転で勝ったことはないから、結構他人事のようにして回ってました」と、なにかさめている小田には、理由がありました。 最終組で優勝を争った藤本佳則は、同じマネージメント事務所「JOYX」(ジョイックス)の後輩なのです。しかも、新婚初Vを目指す可愛い後輩には「勝たしてやりたい気持ちも少しあった」と、若者の面倒見のいい小田の仏心が、胸中に渦巻いていたようです。

小田と藤本は13アンダーで並んで迎えた18番(563ヤード、パー5)。「ドライバーはただ振りちぎっただけですよ。どこにいってもいいや、くらいの感じで。アゲンストだったし、合わせにいったら逆に曲がってしまうかな、フェアウェイも広いからいっとけ、という感じでね」(小田)。第2打は先に打つ小田の残りは248ヤード。「佳則の方が飛んでいたけど、自分は5番ウッドで打てるちょうどいい距離だったんですよ。いったれ、という感じでしたよ。もうそれしかないですよね。狙っていく距離でもないし・・」という小田の5Wは、見事なフェードの弾道を描いて、ピン1・5㍍についた″無情の一撃〝となったのです。この強烈な1打を見た藤本の第2打は、グリーン左に外れました。藤本はパーに終わり、イーグルパットを決めた小田は、今季4個目のイーグルで逆転の勝利を決めました。ツアー7勝目にして初めての逆転優勝。

同じマネージメント事務所の後輩、藤本佳則を土壇場の逆転で下した小田孔明のコメント。

「(藤本とは)同じグループ、同じマネージメント会社ですし、やりにくかったのは確かですね。去年のトーシンもそうでしたけど。でも勝負の世界なので勝てるときは勝つしかないという気持ちで回ってました。(18番の)佳則のアプローチは、入れてくるだろうという気持ちでいました。入れられたら自分がイーグルパットを入れ返せばいいんやと・・。きょうは出だしの佳則のバーディーで5打差でしたし、佳則がいくだろうと思っていました。ただ、簡単には捨てないようにして、自分は60台で回ろうとだけ考えてました。そんなに意気込んでいなかったからよかったんでしょう。追う立場だったから、佳則よりはたぶん気楽に回れたと思います。今年は考え方を変えて、試合を捨てないようにしています。優勝できないからあきらめるのではなくて、ちょっとずつでもいいから順位を上げていってトップテンに入れば、24試合全部終わったときに最終的に上位にいて、その中で優勝も何回かあれば、賞金王も見えてくるでしょう。賞金王を取る人は、年間に13~14試合はトップテンに入っているので、そのあたりが目標かなと思っています 」

ホンマとゴルフ用品契約した小田孔明(右)、は谷原秀人(左)、イ・ボミ(韓国=前)と並んで″ホンマの顔〝となった(用品使用契約発表で)
ホンマとゴルフ用品契約した小田孔明(右)、谷原秀人(左)、イ・ボミ(韓国=前)と並んで″ホンマの顔〝となった(用品使用契約発表で)

昨年の日本オープンは栄冠を目前にしながら小林正則にその座を奪われた悔しさを忘れられません。「今年はリベンジですね。賞金王と、この2つを獲って日本の頂点に立つのが最大の目標です」と、きっぱりと言い切る孔明です。開幕から4試合。3位、9位、5位、優勝と全部トップテン。最終日にはすべて60台で順位を上げている内容も充実しています。6月7日で36歳になる年男(午年)。名前の孔明は、三国志の諸葛孔明からとってゴルフの師でもある父親が名付けました。昨季は1勝でしたが、4年ぶり2度目の賞金1億円突破を果たしています。脂の乗り切った孔明の天下獲りは、いよいよ今年が″本番〝でしょうか。賞金ランク3位に上がってきました。