ゴルフクラブの進化はとどまるところを知りません。08年1月1日からはSLEルールの完全施行でドライバーフェースの反発係数上限が抑えられましたが、各メーカーはひるみません。それまでの高反発に代わる数々の新技術を開発してルール適合クラブを次々と発表してきました。人気ドライバーのひとつ、「インプレス(inpres)」を毎年世に送ってきたヤマハもその例にもれません。11月下旬の発売以来、早くも話題を集めている7代目の「インプレス X」をさっそくコースに出て試打してみました。
◇ ◇
ヤマハといえば藤田寛之プロの所属で知られていますが、今シーズンから谷口徹が新たにスタッフに加わりました。二人のプロの意見が随所に採り入れられた「インプレスX」は、誕生以来7年目になります。ドライバーは、新たに「r.p.m.コンセプト」(モーターなどの毎分回転数を表すrevolutions perminuteに由来)が採用され、重心を低くして飛びに不可欠な最適スピン量を生み出すヘッドの回転数をコントロールしています。
さらに注目は、ドライバーフェースのスイートエリアを大幅に拡大している点です。08年モデルで採用した「X-マルチフェース」をさらに進化させた「3Xマルチーフェース」です。08年モデルではフェース裏側に大きめのⅩ型リブがひとつだったのですが、4分割だったそのフェースを3個のやや小さいXリブでさらに細分化してこまかくいえば10分割したことになります。トゥ・ヒールを薄くして軽量化したこの「3X-マルチフェース」の反発エリアは約4%拡大したといいます。
「毎年ドライバーには改良を加えていますが、05年までは1円玉程度だったスイートエリアは、06年には500円玉ほどに。今回の09年モデルは500円玉4個分にまで広がっています」(土田厚志ゴルフ事業推進部マネジャー)と、分かりやすい説明をしています。″点〝だったスイートエリアは、いまやほぼフェース全面にまでも広がっているのです。「r.p.m.設計と相まって、テストでも前年モデルより5ヤードは確実に飛距離を伸ばしています」(土田マネジャー)とのことです。
試打のドライバーは快適でした。460cm3ヘッドは本格的なデザインで構えやすい。打球音は高くなく締まった音で耳に障りません。打ちやすく振れて、落ち際でもうひとつ伸びる感覚がありました。
ニュードライバーには、機能と感性で選べる3種類があります。
しっかり打てる上級者向きの「4.6V」 。
たたいても引っかかりにくいストレートフェースの「4.6DタイプS」。
高弾道でドローボールが楽に打てる「4.6D」。
それぞれ打ってみましたが、私はストレートフェースの「4.6DタイプS」が一番気に入りました。ストレートフェースなので、構えたときからわずかにフェースが見えて安心感があります。思い切ってインパクトしても、左に曲がる危険なボールは全く出ませんでした。「V」よりはシャローフェースでやさしさを求めているのも気に入りました。一日中つきあっても安心なドライバーという印象でした。
<価格>
「4.6V」が92,400円(税込)
「4.6DタイプS」と「4.6D」が77,700円(税込)