日本に先駆けて、米女子ツアーも1月28日からのピュアシルク・バハマLPGAクラシック(バハマ)で2016年の開幕です。日本女子では宮里美香、宮里藍、横峯さくら、野村敏京、上原彩子の5人が今季のシード権を確保。米ツアーに挑戦しますが、いまひとり目を離せないのが、18歳で米下部ツアー(シメトラツアー)に一人トライする18歳の永井花奈(かな)です。今春、東京・日出高を卒業するホヤホヤの若手ゴルファー。アマチュア時代はプロツアーにもたびたび出場してその素質のよさは折り紙つきでした。昨冬12月はじめ、米女子ツアーの最終予選会に挑戦したが139位に終わり、優先出場権は逃がしました。しかし、下部ツアーのシメトラツアーにはほぼ出場できる見込みで、2月から始まる開幕に臨みます。いきなり米国で武者修行しながら、日本のプロテスト(7月)のトップ合格を目指します。卒業を前にして本間ゴルフと製品使用契約を結び、同日(1月8日)プロ転向宣言も行いました。2016年、期待の新星といえます。
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本間ゴルフ恒例の「ニューイヤーズ・パーティー」(1月8日、ザ・リッツカールトン東京)に出席した永井は壇上、大勢の報道陣を前に「初めまして!永井花奈です」と、初々しい挨拶をしました。木戸愛とともに今年新たに「TEAM HONMA」に加わり、同じく本間ゴルフとの契約プロ、賞金女王のイ・ボミ(韓国)らの仲間入りをしました。高校卒業後は日本のツアーでプレーする意向ですが、7月のプロテストまでは出場試合が限られるため、米最終予選会に挑戦。最終日、5R目に進めず、一気に米女子ツアーへの登場はできませんでしたが、4Rまで進んだことでシメトラツアーにはほぼ出場できる見込みです。高卒後、直接米ツアーを目指したあたりは、7年前(09年)の宮里美香を思い出させます。今季、シード権を失った有村智恵もシメトラツアーに専念することになっていて、この二人がプレーする今季の米下部ツアーも見逃せません。
本間ゴルフのパーティーで、今年の抱負を求められた花奈は、色紙に「1勝と合格!(シメトラツアーと日本のプロテスト)」と、決意を書きしるしました。18歳の大きな夢を抱いて新たな道を進みます。14年の日本女子オープンで歴代日本人アマ最高位の3位に輝いたのをはじめ、15年はTポイント・レディス、KKT杯バンテリン・レディス、サイバーエージェント・レディス、スタンレー・レディスの4試合でローアマチュア。これまでの活躍ではすでにプロで戦える実力をみせてきました。155㌢とさほど大柄ではないが、バランスのいいスイングで曲げないショットが武器。高校2年の春からは週3回はジムに通って体づくりにも専念しました。その効果でしょうか、昨年あたりは課題のドライバーの飛距離も10ヤード近く伸びたそうです。18歳の体は、まだまだ成長する年齢ですから、今後プロとして鍛えていけば、さらに″大人の体”に成長していくと思われます。
東京・大井町駅近くの人気ラーメン店の一人娘。幼い時からゴルフに興味を持ち、東京品川・伊藤学園中3年で出場した12年ヨネックス・レディスでは14歳でベストアマに輝いて非凡なところをみせています。14年のバンテリンレディスでアマチュア優勝した勝みなみは、1級下でナショナルチームの仲間でした。
永井花奈が今季トライする米シメトラツアーには、13年の日本女子アマ覇者の森田遥(19)=高松中央高、昨春卒=が、プロ転向を宣言して昨季1年間参戦しました。やはり本間ゴルフの契約選手である森田は、米女子ツアー志向で永井が選んだのと同じシメトラツアーでは全22試合に出場。全部で予選を通過。5月のシメトラ・クラシックでプレーオフを制して初優勝。全米女子オープンにも出場(60位)。しかし、シメトラで優勝した後、メンタル面で悩み賞金ランクは11位。ランク10位までに与えられる今季のLPGAツアー出場権は惜しくも獲得できませんでした。
森田と同じ道を今年歩む永井は、どんな結果を出すでしょうか。米国で経験を積んだあと、今年7月26~29日(山口・周南CC)の日本ツアープロテストも永井は受験します。プロテストにトップ合格すれば、ツアー後半の大半で出場権が得られます。積極的に行動を起こす永井の意欲は驚くほどですが、日米両ツアーで″二兎〝を追うのは気持ちの持って生き方が難しいのでは、とも思えます。しかし、若い力で突き進む永井花奈のゴルフ人生を見守りましょう。