石川遼(24)の4年目の米ツアー挑戦が再開されました。米ツアーの16年シーズンは、昨年10月から始まっていますが、これまで3試合に出て、予選落ち、50位、35位で年を越し、新年第1戦のソニーオープンinハワイ(ホノルル・ワイアラエCC)は予選は通過したものの3日目で通算イーブンの84位タイ。「3日目終了で70位タイ以内に入らないと最終ラウンドへ進めない」というPGAツアー規定(MDF)により3日目でカットされました。昨秋は帰国した日本で7戦して2勝。ボールもキャロウェイと新たに使用契約を結び、クラブ、ウエアも含め使用ギアすべてをキャロウェイ製品にまとめた総合契約で、石川遼は4年目の米ツアーをスタートさせました。
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石川はクラブ、ウエア、キャディーバッグ等のゴルフグッズの使用契約をキャロウェイと結んでいますが、ボールだけは一昨年までは他社と、昨年はどの社とも契約をしないフリーの立場をとっていました。「ボールだけはいろんなメーカーのものをテストしたかった」(石川)というのがその狙い。その1年を経て、今年はキャロウェイの新ボール「クロムツアー(CHROME TOUR)」への信頼度が高まったとしてボール契約もキャロウェイと交わしました。「クロムツアーは非常に柔らかく感じるのですが、その中にしっかりとした重みがあるボール。飛距離性能、スピン性能、打感とすべてのパフォーマンスが高いボール」(石川)と、お気に入りです。サドウェッジ(SW)に強いこだわりをもっている石川ですが、「一つのキーになる10~20ヤードのアプローチで、自分の思っている高さと距離、それに打感とスピードが一致しないとダメななんですが、今度のクロムツアーはその点でもすばらしいものがある。打感は柔らかいのですが、しっかりした打音がある。14本全部でテストしてきましたが、アイアンのスピン量、ドライバーの飛距離・・両方で納得できた。思った通りの球が出てくれる最高のボール。こんなボールに出会え、高い信頼感で向き合えるのは感動です。僕にとっては最後のボールですかね」(石川)と、高い評価を出しています。プロにとってボールとの相性は非常に大切なもの。「恩返しのためにも米ツアーで勝つことが今年の一番の目標です」とまで語っています。
その米ツアー挑戦は、今年で4年目を迎えます。プロが同一社の用具をすべて一つにして戦うのは「新たな一歩」。新年、ボール契約の会場で、今年のテーマを聞かれ、巨大なボールに「心」と、黒々とサインをしたためました。
石川遼のコメントです。
「″心”はすべてのキーです。去年は練習でできたことが、試合ではできなかった。自分のできることなのに、できないのです。出来得るパフォーマンスを、試合で100%発揮できるかどうかは、メンタル面が重要です。試合で1回しか打てない場面で、集中させてパフォーマンスを発揮するのは″心”です。試合の4日間、精神状態を高め技術を上げてパフォーマンスを100%発揮することが今年の重要なテーマです」
このオフはメンタルトレーニングに精を出し、その一環としてサッカー選手と会って話をしたり、正月には一緒に天皇杯決勝を観戦したりもしたとか。「いろんな人に会って刺激も受けたし充実したオフでした。人に会うこともメンタルトレーニングの一つ」と石川。また、プロには大切なボール契約を、納得の上で同じキャロウェイ社と結べたことは、精神的にも大きなウエートになるのでは・・。 24歳になって、ゴルフ以外にも視野を広げようとしている遼に、今年あたりは何かの変化が生まれるかもしれません。
16年の目標の一つに「リオ五輪にも出たい」と五輪への意欲もみせていますが、強化指定選手の申請は見送った遼です。リオ五輪、ゴルフは日本男子の出場枠は2人。石川は現在世界ランク103位で日本選手6番手の位置にいます。今後、確定する7月11日までに世界ランクを劇的に上げなければこの夢はかなえられません。「短期間でランクを上げる戦いは、モチベーションは高い」と石川は話していますが、それには米ツアーでの優勝争い(あるいは優勝)等の活躍が必要でしょう。
新年第1戦のハワイでは、いい小技を披露するなど随所にいいプレーも見せましたが、爆発的なスコアは出ませんでした。最終日に進めなかったのも悔やまれます。このあと1ヵ月は、カリフォルニア中心の西海岸での連戦になります。「出来れば3~4月までにシードを決めたい」(石川)と早期のブレークを狙っています。松山英樹を追って″4年目の変身”は成りますかどうか。