今季もまた外国勢にかき回されるのか日本勢!?国内開幕戦、4打差を追いつきながらPOで勝てない近藤共弘

最終日「65」で追い上げ、金庚泰との4打差からPOに持ち込んだ近藤共弘。POでは3ホール目に自滅して打倒・キム・キョンテ成らず!  
最終日「65」で追い上げ、金庚泰との4打差からPOに持ち込んだ近藤共弘。POでは3ホール目に自滅して打倒・キム・キョンテ成らず!

2016年の男子ツアーもやっぱり外国勢?!国内開幕戦、東建ホームメイト杯(三重・東建多度CC名古屋)は、昨年の賞金王・金庚泰(キム・キョンテ=29、韓国)が、通算13アンダーで追いすがる近藤共弘(38)をプレーオフ3ホール目に下し、早々と今季1勝を挙げました。昨季は金庚泰が5勝して2度目の賞金王に輝くなど、海外勢が全25試合のうち13勝と圧勝。今季もすでに行われた海外ツアーとの共催2試合で外国勢が勝ち、国内開幕戦でも金庚泰の勝利で、3試合連続海外勢に勝利をさらわれています。今季、男子ツアーは全26試合。今後どこまで日本勢の巻き返しが期待できるのか。五輪イヤーでもあり注目度が高まります!

☆     ★     ☆

38歳、近藤共弘の頑張りはまさに悲壮でした。折しも九州熊本地方では大地震が勃発。熊本空港CCで予定されていた女子ツアー(KKT杯バンテリンレディス)は開催中止でした。男子ツアーで熊本・益城町出身の永野竜太郎(27)と熊本市出身の重永亜斗夢(27)が″熊本に勇気を!〝とばかり3位(永野)、4位(重永)と奮闘したのも凄かったですが、逃げるキョンテを猛追、4打差をはねかえしてプレーオフにまで持ち込んだ近藤のゴルフは鬼気迫るものがありました。

近藤は大詰、15番からの4ホールで3バーディー。16番(パー3)のロングパットを3パットボギーにしたあと、17番(パー5)も2オンしながら4㍍のイーグルパットをものにできずバーディーどまり。連続しての逸機にもめげず、最終18番では10㍍のバーディーパットをズバリ決めるフィニッシュで「65」。ついにスタート時のキョンテとの4打差を追いつきました。後のない最終ホールでみせた勝負師らしい近藤の強気のパットは、キョンテをして「あれが入るとは思わなかった」と言わしめた恐怖の一撃でした。

逆に18番、1.5㍍のパーパットを外し3パットボギーにして上がったキョンテを、プレーオフでは近藤が一気に押しつぶさなくてはいけない勢いの試合でした。ピン位置が変わったプレーオフ3ホール目。今季はドライバーの不調を訴えてきたキョンテは、このホール、常用してきた3Wも捨てて5Wを握りました。安全の上にも安全を目指すキョンテはようやくフェアウェイを捉えましたが、2打目のショットはピンに遠く10㍍。近藤にはチャンスでしたが、近藤の2打目は右に押し出してグリーン右、バンカー脇のラフ。難しい寄せはカップを2㍍オーバー。入れなければ負けのパーパットは打ちきれず、ボールは力なくカップの右にそれました。2パットパーのキョンテの勝ちです。

14年11月のHEIWA・PGM選手権以来の7勝目を逃がした近藤。
「残念ですね。3ホール目のセカンド、右からの風だったし、右からフック目の持ち球でと思ったのが、ダウンヒルの分、クラブが届かず右にすっぽ抜けた。アプローチはライも悪く落とし場所もなく、イメージを出しづらい状況だった。そのあとのパター(2㍍)も読めなかった」

本調子でないながらもPOで早くも今季初Vを勝ち取った賞金王・金庚泰(キム・キョンテ)=いずれも三重・東建多度CC名古屋=提供:JGTO
本調子でないながらもPOで早くも今季初Vを勝ち取った賞金王・金庚泰(キム・キョンテ)=いずれも三重・東建多度CC名古屋=提供:JGTO

打倒・キョンテの絶好の好機を逃がした近藤。4打差を追いつき何としても勝ちたかった1戦だけにいま一つの粘り腰がほしかったと悔いが残ります。日本ツアー参戦9年目。2度の賞金王を誇る最強のキョンテは、今季もすでに海外4戦をこなして日本国内ツアーに乗り込んできましたが、ドライバーの不振に悩み、この試合もほとんどのホール、ドライバーを置いて3Wでティーショットを続けていました。「悪い中でここまでやれたのは頑張ったと思います」(キョンテ)
決して好調とはいえない中で追いつかれても冷静な判断を誤らず、ドライバーに頼らなかった試合運びはさすが。ツアー通算11勝の実力をみせつけました。

近藤がキョンテのしぶとさをこう語りました。
「今日はドライバーをほとんど使わずスプーン(3W)で打っていた。相当調子は悪そうな感じだった。徹底してドライバーでは打たなかった。僕なら、ちょっとでも前に行きたいと(ドライバーで)打ってしまう。そこは僕らと全然違って、気持ちが強い。ぶれないところが強さだと思った。勉強になりました。これまでキョンテとは優勝争いはしたことがなくて、今回直接見られて、だから強いんだなと感じた。参考にしていきたいです。思ったよりもキョンテの調子が悪くて、僕が思ったよりもよかったのでもつれたのですが・・」

最終日は8個のバーディー(2ボギー)を奪って追いつきながら、結局はキョンテに勝てなかった近藤には、何か最近の日本勢の″弱さ〝がだぶってきます。もっと貪欲に、そして冷静な判断力を駆使してゴルフと向き合ってほしいものです。リオ五輪イヤーの今年は、7月11日時点の世界ランキングを基に日本代表が決定されます。日本勢は基本的には2枠。米ツアーの上位で戦う松山英樹は現在世界ランク13位で日本最上位。2番手は50位以内にはだれもおらず、78位に片山晋呉、99位に池田勇太が続いています。111位の岩田寛、115位の藤本佳則、117位の宮里優作・・と2番手争いは混とんとしていますが、「世界ランク50位以内にだれもいない日本勢(松山英樹を除く)は寂しいし、人気面でも影響している」(石川遼)ーこのコメントを、いま一度かみしめてみる必要がありそうな日本勢です。

(了)