昨年、日本人女子選手の最少スコア、21アンダーで初優勝を遂げた原江里菜(21)が、フリーだったクラブ契約から一転、今年から横浜ゴムのPRGR(プロギア)とのクラブ使用契約を結びました。契約は複数年。プロギアとの契約プロには現在、谷原秀人、矢野東の男子両プロがいますが、女子プロでは10数年前の小林浩美、05年、06年の不動裕理以来、久々の大物プレーヤーとの契約です。横浜ゴムは全面的なサポートを約束しており、プロ入り3年目で初めてクラブの使用契約を結んだ原江里菜の今季の賞金女王獲りが現実味を帯びてきました。
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横浜ゴムは2月24日の発表会見にも力が入っていました。東京・芝のザ・プリンスパークタワー東京のボールルームに報道陣100人近くを集め、横浜ゴム㈱の南雲忠信社長じきじきの出席で発表会が行われました。原の所属は「マスターカード」、ウエアは「アッシュワース」ですが、それらを除くゴルフクラブ、キャディーバッグ、サンバイザー、キャップ等のグッズはすべてプロギアブランドを使用することになります。PRGRのロゴ入りキャップをかぶりニュークラブのセットを従えて発表会場に登場した原江里菜は、昨年日本人女子の最少スコア、21アンダーでプロ初勝利を挙げた貫禄でしょうか、堂々とした振る舞いでした。
千葉や沖縄で自主トレ、合宿を積んできた原は「体の方はもう出来上がっています」と明言した通り、筋肉が締まって大きくなり一段と力強さを感じさせました。沖縄では毎日砂浜を走り、野球のバット振りも日課にしたそうです。1月、日本エアロビクスセンターでは阪神タイガースの岩田稔投手やトライアスロンなど異種目の選手と合同キャンプをこなしフィジカル面の強化につとめました。昨年の後半戦は体力不足を実感したそうで、今年はまず真のアスリートを目指してのオフを過ごしたようです。
初めてのクラブ契約プロになった感想を原は話しました。
「ドライバーは、構えて左へはいかないような顔をしているのがいいです。私は、そう複雑でなく簡単な顔のクラブが好きなんです。プロギアには契約前の昨シーズン中からいくつも私の好みのクラブを作っていただきました。昨年5月からアイアンは使わせてもらっていました。フリーでいろんなクラブのいいとこ取りでいくのもいいかなと思っていたのですが、やはり自分に合ったクラブは契約プロにならないと作ってもらえないですから。ハイボールを打ちたい、飛距離アップもしたい、といった要望にプロギアは応えてくれました。これまでいろいろなクラブを使ってきましたが、本当に自分に合うクラブがようやく見つかりました。これで年間複数回の優勝を狙いたいし、特にメジャーに勝ちたいです」
原は愛知県豊田市出身。10歳のとき坂田信弘プロ主宰の坂田塾東海校に入ってゴルフを始めました。中3では日本ジュニア12~14歳の部で優勝。2歳年上の宮里藍の「おいでよ」の一言で宮城・東北高にゴルフ留学。宮里藍の父・優さんの指導を受けました。2年で全国高校選手権個人戦で優勝。3年で日本ジュニア15~17歳の部で優勝。世界ジュニア2位。05年日本ジュニアV。06年には東北福祉大に進学、日本女子学生に優勝。アマ時代は数々の実績を残しました。
06年秋、プロツアー最終予選会で43位に入り、07年1月に東北福祉大在学のままプロ転向。通信制に転籍して「女子大生プロ」に。ルーキーイヤーの07年、賞金ランク19位に入っていきなりシード選手。08年は8月のNEC軽井沢72で2日目に「63」を出すなど、通算21アンダーでプロ初優勝。賞金ランクは10位に躍進。プロ3年目の今年は早くも賞金女王を目指してのスタートラインにつこうとしています。
横浜ゴムは昨年から女子プロツアーの主催者として参入しています。今季も開幕第2戦の「ヨコハマタイヤPRGRレディス」(3月20~22日 高知・土佐CC)です。昨年は申智愛(韓国)が横峯さくらをプレーオフで破って通算4アンダーで勝ち、原江里菜は6オーバーで21位でした。今シーズンはホステスプロとしての登場となりますが「社長が契約プロ以外に優勝カップを渡したくないといっていますから、大会を盛り上げてぜひ勝ちたい。女子プロ界はこのところ盛り上がっていますけど、いつまでも変化がないとあきられるでしょう。強い選手がどんどん出てきて刺激することが必要です。私もその一人になりたいですね。開幕に向けては去年よりは調子が上がっています」と原。
PRGRのニュードライバーで「約10ヤードは飛距離が伸びた」という新兵器を引っ提げる花の21歳。戦国時代の女子プロツアーから抜け出て『江里菜の年』にできるでしょうか?
◆原江里菜が今季使用するPRGRの主なクラブ
ドライバー 「GN 502ツアー」
アイアン 「GN 502フォージド」
ウェッジ 「MTI」