開幕目前、救急3回目で胆石発見。胆のう摘出手術をはね返せるか、福嶋晃子!6年ぶりの全米女子オープン出場

胆石手術を乗り越え、飛ばし屋・晃子に安定性が加わるか。6年ぶり出場の全米女子オープンに期待がかかる。
胆石手術を乗り越え、飛ばし屋・晃子に安定性が加わるか。6年ぶり出場の全米女子オープンに期待がかかる。

 今年プロ18年目を迎えた福嶋晃子(35)が、開幕を半月に控えた2月18日、胆石のため胆のう摘出手術を救急病院で行っているのが分かり、周囲を驚かせています。内視鏡による手術でしたが、「おたふく豆大とパチンコ玉大の2個の石があった」(父親・久晃さん)ということで、術後は順調です。しかし、3月6日からの国内開幕戦、ダイキンオーキッドレディスは欠場することが決まり、予定通りなら第2戦のヨコハマタイヤPRGRレディス(3月20日から高知・土佐CC)で戦列に復帰します。今年は6年ぶりに全米女子オープンにも出場する晃子に注目ですが・・。

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 この事実は2月26日、東京・白金台のNECのゲストハウス「泉華荘」で行われた恒例の福嶋晃子激励会で明らかにされました。会に先立って会見した福嶋は、「今年は横浜の自宅付近で続けてきた合宿も順調で、ゴルフの調子もよったんです。今年は6年ぶりに全米女子オープンに出場できるのですごく楽しみ」などと、シーズンへの意気込みを話している途中で、突然「実は先週、胆石の手術をしたのです・・」と衝撃の告白を自らしたのです。2月17日に腹痛を訴え救急で入院、胆石とわかって翌18日には即手術を行ったというのです。最後の仕上げで宮崎キャンプへの出発が間近だったのですが、それもキャンセル。それからまだ1週間しか経っていない激励会でした。手術後は点滴を施してすぐ退院できたそうですが、まだ1週間しかたっていない当日はさすがに、顔色もいまひとつ冴えませんでした。トレーニングももちろん中断して″球打ち〝も控えている現状では、3月6日の開幕戦の出場はちょっとムリと判断したようです。

関係者に囲まれ激励会の鏡開きをする福嶋晃子(中央)=東京・白金台″泉華荘〝
関係者に囲まれ激励会の鏡開きをする福嶋晃子(中央)=東京・白金台″泉華荘〝

 どうしてこう突然の発病になったのでしょう。実は昨年後半から福嶋は何度も″腹痛〝に悩まされていました。「胃痛だと思い込んでいたのです。今年に入ってからもその腹痛で2度救急で病院に飛び込み、今回3度目の救急でやっと胆石と分かって・・」(晃子)ということです。手術は切開ではなく3箇所に穴を開けてそこから取り出す内視鏡手術。石は3センチと1センチほどの2個でしたが、小さい方の石が胆管に詰まって痛みを発していたようです。聞けば晃子は父親、母親ともに胆石の経験があるそうです。

 突然の胆石手術に踏み切った福嶋晃子のコメントです。
 「去年後半、何度か胃が痛かったのも胆石だったみたいです。(切開でなく)内視鏡ですんだのでよかったと思ってます。腹痛の原因も分かったし、手術後はすっきりしましたので一安心です。1週間はバタバタしましたけど、3月から練習も再開して(遅れを)取り戻します。開幕戦だけは休んで第2戦からは出るつもりです。今年のオフはずっと調子がよかったし、スイングの改良もしました。トップでヘッドが頭の方へ入っていた角度を、垂れても真っ直ぐに落ちるようにしました。スイングプレーンを外さないトップだと思います。去年はドライバーのミスが多かった。ドライバー次第でその週が決まっていたので、その改善です。アイアンはトップまでヘッドの意識がしっかり持てるのに、長いドライバーになるとそれがなくなっていたのです」

「ファイティング スピリット 2009」のスローガンの前でシーズンへの気勢を上げる福嶋晃子(東京・白金台)
「ファイティング スピリット 2009」のスローガンの前でシーズンへの気勢を上げる福嶋晃子(東京・白金台)

 昨シーズン、出場30試合の予選通過率は100%。前半で順調に2勝しながら、後半戦はついに勝ち星なし。体調の悪さもあったのでしょうが「はがゆい試合が多すぎた」(晃子)のを大きな反省材料としています。今年はスタートの出遅れはいたし方ないとしても、円熟味を増したゴルフは賞金女王獲りが期待されているのです。「1年間を通して、とにかく健康でいたい」という晃子の願いを込めて、今年からトレーナーも一新しました。昨年までの元広島カープのトレーナーから、10代のころからみてもらっていた清水康嗣さん(52)=17年間、浦和レッズのトレーナー=と再契約しました。マネージメント会社の「サニーサイドアップ」とも契約を終了、父親・久晃さんが社長の「インタープレイス」がマネージメントをすることになっています。3年前からクラブなどサポートしてもらっているテーラーメイド社のロゴ入りキャップ、キャディーバッグを今年から使用することにもなっています。

LPGAのティーチングプロのライセンスをとった妹・浩子(左)と並んで、09年の決意を語る福嶋晃子(右)
LPGAのティーチングプロのライセンスをとった妹・浩子(左)と並んで、09年の決意を語る福嶋晃子(右)

 国内通算23勝の福嶋は、史上7人目の永久シードへあと7勝に迫っていることもありますが、今シーズンは全米女子オープンへの出場が決まっています。日本選手の出場資格が「賞金ランク上位3位」から「上位5位まで」に変更され、昨季国内賞金4位の福嶋にも出場権が与えられたのです。98年秋の米女子ツアーQT5位で通過、99年から米ツアーに本格参戦、1年目に2勝して賞金ランク15位に入った実績のある晃子です。04年半ばで5年間の米ツアーから撤退しましたが、全米女子オープンは03年以来6年ぶりの出場になります。舞台はペンシルべニア州ピッツバーグ郊外のソーコンバレーCCオールドコース(7月9日~12日)です。「米ツアーにいたころよりゴルフもよくなっているのでホントに楽しみ」と、夢の膨らむ晃子ですが、胆のうを摘出したため「脂ものは摂り過ぎないよう注意してます」と食生活の改善にも迫られています。とんだアクシデントの出遅れをはね返して、ベテラン35歳、どこまで奮起できるでしょうか?