遅まきながら09年の日本女子ゴルフツアーの開幕です。3月6日初日、沖縄・琉球GCで第22回目を迎えたダイキンオーキッドレディス。今年はプロアマ大会からずっと雨もようが続き、最終日の8日になってようやく太陽が顔を出すという悪天候。そんなコンディションの中で開幕戦を制したのは、大型プレヤーとして期待も大きいプロ4年目の三塚優子(24)でした。ツアーに参加した07年から毎年1勝を挙げている三塚は今年は開幕戦Vという幸先いいスタートで通算3勝目。今秋には米女子ツアーのQスクールにも挑戦する意気込みをみせています。
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一年中緑の絶えない沖縄のゴルフコースは南国ムードです。ガジュマルやホルト、椰子といった熱帯植物に囲まれた琉球GCは海岸線に近いこともあって海風が吹くのも名物のひとつ。その上連日の雨で今年の女子ツアーは開幕戦から厳しい試練に見舞われました。しかし三塚は3日間とも攻めのゴルフに徹してオーバーパーは叩かず、雨が続いた2日目には「雨具を着るのは私、嫌いだから」とレインウエアを脱ぎ捨ててノーボギーの6バーディー、66のベストスコア。これでトップに立つと、最終日はパープレーで逃げ切る(通算8アンダー)堂々たる今季初戦でした。2打差の2位に地元出身の上原彩子(25)が原江里菜(21)とともにつけましたが、及びませんでした。
172センチ(65キロ)の男子並みの長身から繰り出す三塚のドライバーは、日本の女子ツアーの中ではトップクラスです。平均で260ヤード、フォローのときや叩けば280ヤードも出るロングヒッターです。風雨の中でもノーボギーで一気に浮上した2日目などはその面目躍如たるところでした。米女子ツアー2勝の実績を持つ飛ばし屋、福嶋晃子や男子プロからも「飛距離が出るから向こうでやった方がいいといわれました」(三塚)と、自らも認める武器は長打力です。「時期は具体的には決めていませんけど、なるべく早いうちに力を試しに行ってみたいです」といっています。今年は開幕戦でいきなり勝ったこともあり「あとはガーンって、いくだけです」と自信と余裕ががぜん膨らむシーズンになりそう。早ければ今秋の米ツアーQスクール受験もあり得るでしょう。
08年の国内ツアーでの部門別では、イーグル数7、平均バーディー数3.4271でともに3位。ドライビングディスタンスは253.3ヤードで2位(1位はT・ダーディンの263.8=日本女子プロで計測)と、飛ばしの部門では三塚は常にトップグループにいます。
賞金も昨季8355万円余を稼ぎ出しランキング7位。32試合中、予選通過は28試合。10位以内は15試合。日本LPGAの新人賞に選ばれ、日本プロスポーツ新人賞も獲得する大暴れでした。
こうした活躍が認められ、今年はテーラーメイド アディダスゴルフとの総合用具契約が締結されました。同社の全面的なサポートを得る三塚の環境は素晴らしいシーズンになりそう。開幕戦ではさっそくテーラーメイドのニュードライバー「R9」(シャフト硬度S、長さ44.75インチ、ロフト角8.5度)とFWウッド、アイアン等を使用しての優勝でした。
三塚優子は茨城・水戸市生まれ。幼少のころはクラシックバレエと水泳に夢中だったそうですが、13歳から父親康輝さんのすすめでゴルフを始め、埼玉栄高3年の02年は埼玉県アマを制覇し世界ジュニアの舞台も経験しました。高校卒後の半年間は埼玉の名門・霞ヶ関CCで研修生となり、その後は茨城に帰って小林浩美の師匠・中島弘二プロのもとで2年間にわたりスイング改造を行いました。
体の大きい割には膝、肩、股関節などの故障に悩まされトレーニングジム通いを続けて体作りをしたそうです。07年に1勝、08年も1勝とプロ転向後順調な歩みを続けている三塚ですが、昨年は後半戦ではスタミナが切れる惜敗もあって、今年は1月中旬より、実家の水戸から筑波大に週3~4回通い、特に弱かった腹筋などを鍛えて体幹を強化する″いいトレーニング〝でオフを過ごしたのも効果的でした。今季大ブレークの予感のある24歳です。