東北の飛ばし屋・酒井美紀(17)JGAアカデミック・アウォード高校の部最優秀賞!

JGAアカデミックゴルフアウォードの最優秀賞の盾を掲げる高校生の部・酒井美紀(左)と大学生の部・小林伸太郎(右)=東京京橋・JGAで
JGAアカデミックゴルフアウォードの最優秀賞の盾を掲げる高校生の部・酒井美紀(左)と大学生の部・小林伸太郎(右)=東京京橋・JGAで

 日本のゴルフを総括する日本ゴルフ協会(JGA)が毎年選出する「JGAアカデミック・ゴルフ・アウォード」の08年度表彰式が3月18日に東京・京橋の日本ゴルフ協会で行われました。これはゴルフ技術に加えて学業も両立させ、さらに人間性にも優れている学生ゴルファーを表彰するもので、過去には宮里藍(03年度)や諸見里しのぶ(04年度)らも最優秀賞に選ばれています。今回(08年度)受賞した最優秀賞は、高校生の部が酒井美紀(17=福島・東日本国際大付属昌平高2年)、大学生の部は小林伸太郎(22=宮城・東北福祉大4年)のご両人。他に優秀賞3人、奨励賞4人が表彰されました。パワフルな酒井は中学生のころから「東北に飛ばし屋あり」といわれた注目の女子選手で、高3になる今年、11月にはプロテスト予選を受験することを決めています。また一人強力な女子プロ予備軍の出現ですが、このアウォード、審査のために「作文を提出」というのもユニークです。

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柔軟な巨体から繰り出す酒井美紀のドライバーショットは、高校生離れの魅力がある。
柔軟な巨体から繰り出す酒井美紀のドライバーショットは、高校生離れの魅力がある。

 この賞は高校、大学とも2年生以上に資格があり、その学校長またはゴルフ部の監督あるいは部長らの推薦によって候補者が選ばれます。面白いのは、高校、大学生とも候補の生徒は作文(400づめ原稿用紙3枚程度)をJGAに提出することです。高校生のテーマは「ゴルフと私」。大学生は自由テーマです。
 酒井美紀の「ゴルフと私」の一部を紹介しましょう。
 「私がゴルフを始めたのは小学2年生の頃です。8歳違いの姉が父にゴルフを教わっていたのを見ていました。幼いころから私は姉が大好きでいつもついて歩いていました。その姉が気持ちよさそうにクラブを振り、ボールを遠くまで飛ばしているのを見ていて私も姉のようになりたいと思い、父にゴルフを教わりました・・」
 
 ☆その姉、美香さん(25)はかつてプロテストを2度受験したこともあるプロゴルファー志向だったのですが、いまはプロはあきらめ、自分に代わってプロを目指す妹・美紀のマネジャー役で常に付き添っている人です。

JGA安西孝之会長(左)から最優秀賞の盾を受ける酒井美紀(右)=JGAで
JGA安西孝之会長(左)から最優秀賞の盾を受ける酒井美紀(右)=JGAで

 「夢中になってクラブを振っていた私はだんだんボールが当たるようになり面白くなって、小学4年生のときに初めてジュニアの試合に出ました。スコアは108でした。優勝したのは私と同じ年の子で、そのとき初めて負けて悔しいと思いました」
 「私は、一つ事をいつまでも長くやっていることができません。いつも新しい練習法を考えて自分なりに練習してきました。父が考えたのは、できるだけ多くの試合に出て、試合の中で練習するということです。練習場での練習はもちろん大切ですが、実際にゴルフ場で芝に触れ、試合での緊張感を感じながらゴルフをする。試合の回数を重ねていくたびにゴルフがいままで以上に好きになりました。また色々な試合に出たことによって、年齢を問わずに県内外に多くの友達ができました。ゴルフをしていなかったらできない事だと思いました」

 ☆酒井美紀はその言葉通り中学生のころから試合を重ね、06年には中3、14歳で福島県ジュニアに優勝、東日本女子パブリックアマチュア選手権にもこの年優勝。同大会は08年の高2まで3連覇を果たしています。07年の高1では日本女子アマ選手権と日本ジュニア選手権でともに準優勝。JGAのナショナルチームのメンバーとして海外遠征も経験しています。

高校の部・最優秀賞受賞、自分の作文を朗読する酒井美紀(JGAで)
高校の部・最優秀賞受賞、自分の作文を朗読する酒井美紀(JGAで)

「日本女子オープンにも出場できましたし、プロのトーナメントにもいくつか出させていただき、プロの粘り強さや、いかにしてスコアに結びつけるか、コースの攻め方などを勉強しました。プロをまじかに見て感激し、私の将来の夢がはっきり見えてきました。私にとってゴルフは、たくさんの人との出会いと努力することの大切さ、感謝の気持ち、スポーツマンとしての心構えを教えてくれました。いままで当たり前のよういゴルフをしてきましたが、どんなときでも私を支えてくれる人がいるんだと思います」

 ☆福島・いわき市在住。父親正孝さん(55)はゴルフ練習場を経営。美紀さんはがっちりとした体格に恵まれ、中学生のころから飛ばし屋で評判でした。石川遼クンとは同い年の試合仲間「中学のころからいろいろな試合で一緒にやってきたので親しいです」(酒井)ということですが、石川遼も「美紀ちゃんはよく知ってます。よく飛ばすし凄いですよ」と言っていました。今年3月1日に行われたウインタージュニア選手権「石川遼カップ」の第1回優勝者になった美紀さんは、今年高校3年生。「大学進学とか迷わずプロを目指します!」と、来年のプロテスト受験のための予選会にこの秋挑戦します。ドライバーの飛距離は「240から50ヤード」(酒井)といっていますが、これからまだまだ飛距離は伸ばすでしょう。女子プロへの金の卵といったところです。

 大学生の部で最優秀賞を受賞した小林伸太郎は、佐野日大高3年の04年、日本ジュニアに優勝。東北福祉大4年の08年は、日本アマのメダリストでベスト8。朝日杯日本学生2位、日本学生4位などの戦績があります。

[08年度JGAアカデミック・アウォード受賞者]

●高校生の部(08年度の学年)

最優秀賞  酒井美紀(福島・東日本国際大昌平高2年)

優秀賞  儀保 和(沖縄・首里高3年) 
     森本 雄(宮城・東北高3年)
奨励賞  田村光正(兵庫・関西学院高2年)
     芳賀貴之(宮城・黒川高2年)

●大学生の部(同)

最優秀賞  小林伸太郎(宮城・東北福祉大4年)

優秀賞   新里菜苗(大阪・大阪学院大3年)

奨励賞   宮國雄一朗(山口・山口福祉文化大4年)
      東 香里(京都・同志社大2年) 

★JGAアカデミック・ゴルフ・アウォード過去の主な受賞者(高校生の部)

森田理香子(京都学園高3年・07年度最優秀賞)
若林舞衣子(開志学園高3年・06年度最優秀賞)
原江里菜(東北高3年・05年度最優秀賞)
諸見里しのぶ(おかやま山陽高3年・04年度最優秀賞)
宮里藍(東北高3年・03年度最優秀賞)
上原彩子(おかやま山陽高3年・01年度最優秀賞)