”キンクミ”こと金田久美子(19)がまさかのプロ入りツアー3試合連続予選落ちを喫して涙にくれています。2月にプロデビューした男子のハワイ・パールオープン(予選落ち)から勘定すると、今年プレーした4試合すべてに予選通過ができていません。プロにはなったけれど、開幕1ヵ月、まだ賞金をもらっていないキンクミは「気持ちの問題。自信はなくしていません」とコメントでは気丈に話していますが、奔放な高校生活でとかく話題になった″悪役ぶり〝がすっかりカゲをひそめて優等生になっているのが気がかりです。今週の開幕4戦目はスタジオアリス女子オープン(10日から兵庫・花屋敷ゴルフ倶楽部よかわコース)ですが、開き直った″ヒール〝キンクミの積極ゴルフがみられるでしょうか―。
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予選落ち3連発も順位が悪すぎます。パールオープンの12オーバー、141位は別としても、開幕戦のダイキンオーキッドは76、76の8オーバーで88位。2戦目のヨコハマタイヤPRGRレディスは83、73の12オーバーで97位。3戦目のヤマハでは75、81の12オーバー、91位です。まるでアマチュアのスコアです。ダイキンでは1メートルのパットを5、6度外し、挙句は80センチから3パットしてダブルボギーにするなどパターが散々でした。プレー後、ロッカールームにこもって10分間も大泣きしたキンクミは「悔しいです。アプローチは寄らないし、パターが一つも入ってくれなかった」。
PRGRレディスを控えて暗くなるまで練習グリーンから離れず「1メートルが全然入らない。開幕前からこんな調子だったので・・」と、懸命の危機脱出に入れ込んでいましたがまたダメでした。「少しずつマシなゴルフができてきました。調子は悪くないんです。ツアーの生活に慣れてくれば大丈夫です」と、真面目な敗戦の弁。
3試合目は難コースで名高い葛城のヤマハレディス。大会前には3度もこのコースを回って下見。近くのナガシマスパーランドに出向いて絶叫コースターに乗り「大声を張りあげてすっきりしました」と、リフレッシュでストレス解消を図ったが、パッティングのカンは戻ってきませんでした。1番で1㍍のパットがカップに蹴られるダブルボギーでまたおかしくなりました。
3連続予選落ちは、アマ時代、03年から04年にやった自己ワーストタイ。「自信はなくしてないけれど、もっと練習が必要ということでしょう」と、3連続カット後のコメントでした。
ショットはまずまずなのに、パターを含めて細かいプレーが荒っぽいのです。19歳の細身の体で派手々々なファッションは相変わらずですが、関係者やメデイアへの対応もまともですっかりおとなしくなった優等生ぶりが目立ちます。アマチュア時代、茶髪にヘソピアス。惜しげもなくそのへそ出しショットを披露した度胸もカゲを潜めました。3月の開幕前にはナイキゴルフと用具使用の総合契約を結びました。クラブはもちろん、ボール、アパレル、キャディーバッグ、フットウエア等ナイキゴルフ製品をト-タルで使用する大型契約です。すっかり大人になった!キンクミです。
昨春高校を卒業した金田久美子は、夏のプロテストでまさかの不合格。11月末にプロ宣言し、12月のファイナルQTを受けトップ通過。うっぷんを晴らしました。今季のほとんどの試合出場権を得ています。ジュニア時代から数々の優勝経験もし、JGAのナショナルチーム育成部員として世界ジュニアでも大活躍してきたキンクミです。
アマチュア時代01年から08年まで、実に53試合の日本女子ツアーに推薦出場しています。08年ゴルフ5の2位(2打差11アンダー)を筆頭に、04年ゴルフ5、3位タイ、07年ベルーナは4位。06年ニチレイ4位タイ、04年リゾートトラスト6位タイなど、優勝争いもしくはトップテンに入った試合もかなりあります。
目標とする人は「タイガー・ウッズ」と臆せず話し、「19歳中にツアー初優勝したい」とも公言しています。昨年暮れのファイナルQTは葛城CCで行われ、そこで4日間6アンダーでトップ合格した金田久美子が、ヤマハでは2日間12オーバーで予選落ちするとは意外でしたが、やはりプロの舞台はそう甘くはないということでしょう。昨年7月のプロテスト(岐阜・岐阜関CC東コース)で1打足りずに不合格となり号泣、挫折感を味わったキンクミが、今度は本番のツアーでいきなり頭をガツーンと殴られたような3連続予選落ちです。再び洗礼をうけたキンクミの逆襲に期待です。