さくら、久々シーズン冒頭での初優勝! これで賞金女王が獲れなかったら・・

米メジャーから帰国第1戦で国内初勝利した横峯さくら。久々、シーズン4試合目の早咲きVで賞金女王への期待が高まる。
米メジャーから帰国第1戦で国内初勝利した横峯さくら。久々、シーズン4試合目の早咲きVで賞金女王への期待が高まる。

 横峯さくら(23)が珍しくシーズン4試合目(出場3試合目)で早々と初優勝しました。昨季はツアー37戦中、あとのない36戦目にようやく初Vを果たすなど、いつもは遅咲きのさくらが、今年はシーズン冒頭、スタジオアリス女子オープン(4月12日最終日)での優勝です。いままでの控えめな発言を捨てて「念願の賞金女王になるための1勝です。こんない早く勝てるとは思ってなかったのに・・」と、プロ6年目にしての初女王獲りを公言しました。23歳4ヵ月の女子歴代2番の年少でのツアー通算10勝目というのも快ペースで、今季のさくらの大暴れを予感させる今季のスタートです。これでマネークイーンになれなかったら・・。

    ◇        ◇

 さくらの優勝は、トップを走っていた全美貞と宮里藍二人の″自滅〝にもよるラッキーなものでした。初日からトップに立っていた宮里藍は最終日後半になって脱落、全の方は14番を終わって2位に4打差をつける独走ムード。実力のある全の楽勝かにみえた試合でしたが、その全が大詰の15番と18番でまさかの相次ぐボギー。先に上がって「帰り支度をしていた」横峯に並ばれてしまったのです。プレーオフは池越えで難しい18番(パー4)。1ホール目はともにパーンのあと、2ホール目、パーの横峯に対して全がボギーにして決着がつきました。最後は、昨季3戦目のPRGRレディスでウインニングパットを外して泣いた同じ50センチのパーパットを慎重に沈めました。右こぶしを握り締めるガッツポーズを3度繰り返したさくらは、よほどうれしかったのでしょう。昨年はこのミスパットを引きずって最後の最後11月まで優勝にそっぽを向かれただけに、そんな自分へのリベンジでもあったのでしょう。

石川遼(左)と顔合わせした横峯さくら(右)=昨年12月の3ツアーズで=
石川遼(左)と顔合わせした横峯さくら(右)=昨年12月の3ツアーズで=

 さくらのプレーオフは9回目で、これでやっと3勝6敗。その苦手意識も今回は吹き払いました。全とのプレーオフは2戦2勝(もう一つは05年ミヤギテレビ杯ダンロップ)と相性がいいようです。昨年はシーズンはじめの50センチのウインニングパットを外した大ポカが尾を引きましたが、さくらは大体が遅咲き派。毎年夏以降の初勝利がほとんどでした。それも賞金女王がとれない一つの要因でした。プロ初優勝だった05年のライフカードレディス(4月15~17日)で春先の勝利が一度ありましたが、今年はそれを久々に更新する4月12日の最早咲き優勝でうれしい出来事でした。

 さくらは前週4月5日に終わった米ツアーのメジャー、クラフト・ナビスコ選手権では出場した6人の日本選手のうちの最上位の25位。そこから帰国したばかりの試合にも即国内初勝利につなげたのは、今季のさくらの好調さがうかがえます。

 「プレーオフ最後の50センチのパーパットは昨年までなら外していたたと思う。今年は自分の中で成長した部分がある。プレーオフは予想してなかったけれど、やるからには勝ちたいという気持ちで戦えました」と勝利のコメント。今年は自己啓発の書籍を読み、新たな考えで何事でも前向きに表現していくと話しています。プロ入り6年目。23歳120日での10勝到達は、宮里藍の20歳133日に次ぐ史上2番目のスピード達成です。
 もともと国内の女子では1、2の飛距離を誇り、その勝負強さでは指折りの選手です。今年、早々と挙げた1勝の意味は限りなく大きそう。女子プロ界は、次世代の有望若手が次々と下から頭をもたげているのが現状です。まだ賞金女王を獲っていないさくらはもうおちおちしていられません。いいスタートを切った今年、もしこれで賞金女王がとれなかったら、新勢力に飲み込まれてしまう危険さえ感じます。注目しましょう。