相次ぐスロープレーでペナルティー。開幕8戦7度の予選落ち”キンクミ”

練習場で必死に打ち込む金田久美子(ワールドレディス=茨城GC)
練習場で必死に打ち込む金田久美子(ワールドレディス=茨城GC)

 ”キンクミ”こと女子プロ界の異色ルーキー、金田久美子(19)が思わぬスタート戦線での苦戦で悩んでいます。今年最初の公式戦「ワールドレディス・サロンパス杯」(茨城・茨城GC)は10日、諸見里しのぶ(22)が史上2番目の若さで、07年の日本女子オープンに続く国内メジャー2勝目を挙げて終わりましたが、注目の″キンクミ〝は11オーバー(80、75)と冴えないスコアでまたも2日間で予選落ちでした。プロデビューした今年、これで開幕から8戦して7度の予選カット。おまけに初日には、2週前のフジサンケイレディスに続き2度目の「遅延プレー」による1打罰を科せられるなど、さんざんなゴルフしかできないのはどうしてでしょう?

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 競技委員から呼び止められて「1打罰」を告げられた金田は、もう泣かんばかりでした。「今週こそ!」と今年初のメジャー大会に臨んだのに、初日2番で早くも「遅い!」と警告を受け、8番では前の組との間隔が1ホール以上あき9番を終わったところで競技委員からペナルティーを宣告されたのです。規則では自分の打つ順番がきてから1打に要する時間は平均30秒としています。それを大幅に超えた金田に制裁が科せられたのですが、フジサンケイでも初日、11番までに前の組と1ホール以上あき、「警告」から「ペナルティー」となったばかり。さらに3週前のライフカードレディスでも「警告」を受けている″キンクミ〝。競技委員からもスロープレーの″要注意人物〝としてマークされていたことも確かです。

キャディーも心配そうに金田の打球の行方を追っていた(茨城GC)
キャディーも心配そうに金田の打球の行方を追っていた(茨城GC)

 金田のスロープレーは前々から評判で「プロになったらこれでは通用しない」と関係者の間では懸念されていたことなのです。警告を受けると、ティーショットを打ったあとは小走りで2打目の位置に移動したりもしていますが、それよりも自分のボールの所にきてから打つまでの動作、クラブ選び、素振り、アドレスからの打つまでの時間などで時間をとり過ぎるのが問題になるところです。こうしたところでスローリズムが身につくとなかなか治りにくいものですが、意識してもっと素早い所作で決断よく打つ訓練が必要でしょう。スコアが上がらない上にこんなことで神経を使っていたらますますいいプレーはできません。男子の片山晋呉が、日大のアマチュア時代からアドレスなどに時間をかけ″スロープレー〝で評判でしたが、いまでは随分と改善されて男子のトッププロにのし上がっているのをお手本にするべきでしょう。

 アマチュア時代はロープ外でついていた知人からアドバイスを受けたことを申告せずに「失格」の烙印をおされたり、「グリーン上でマークしたところより前にボールをプレースしている」といったルール問題で2打罰を受けたこともあります。高校時代は破廉恥な行状が話題となったり、″ヘソピアス〝をフィニッシュで見せびらかせたりと、とかく話題にはこと欠かない″キンクミ〝です。しかし、10代の若さでものおじしない度胸は、プロ向きとの期待を背負ってのプロ入りでした(昨年12月のQTでトップ通過)。ところが開幕戦のダイキンオーキッドでショットがぶれた上、1メートル前後のパットを5、6度外し、80センチから3パットしてダブルボギーにしたりして予選落ち。これをきっかけに8戦して予選を通過したのは5戦目のライフカードレディス1試合だけ。この試合は最終日のベストスコア67をマークして9位に入る健闘でペースを取り戻すかと思われましたが、このあとはまた3試合予選落ちで浮上してきません。プロになって獲得した賞金は、このときの143万5000円のみです。

満足のいかないショットが続き笑顔が出ない"キンクミ"(茨城GC)
満足のいかないショットが続き笑顔が出ない

 細い体ですが、それを目いっぱいに使って振るショットは飛距離も平均以上に出ます。プロになってからそのスイングを少しずつ改善しようとしているのがうまくいかないようです。ワールドレディス・サロンパス杯でも2日目、再度の雷雨で試合が中断されスタートの遅かった金田は、待ち時間の間もコーチで父親の弘吉さん(65)が付っきりで打ち込んでいました。「新しいことにも取り組んでいるのですが、前のスイングに戻そうとしても分からなくなった」と金田はスイングの悩みを打ち明けています。「コースに出てしまうと、スイングがおかしくなっても自分ではどこをどうすればいいのか分からないんですね。人に言われると気がつくのですが・・」と弘吉さんも苦悩の表情で話していました。

父親・弘吉さん(右)とキャディー(左)に見守られて打ち込む金田久美子(ワールドレディスで=茨城GC練習場)
父親・弘吉さん(右)とキャディー(左)に見守られて打ち込む金田久美子(ワールドレディスで=茨城GC練習場)

 3歳のころからクラブを握り、弘吉さんの英才教育をうけて育った金田。8歳で世界ジュニア10歳以下の部で優勝、この大会年齢別で計5回優勝するなどの戦績を残し、JGAのナ ショナルチーム(育成部員)のメンバーにもなった″天才少女〝です。ひとつのきっかけをつかめば本来の勝負強さを発揮すると思われますが、出足につまずいたいま、プロの壁をいやというほど味わっているようです。前年QT(予選会)1位通過者として今年はほとんどの試合に出られます。まだ19歳の若さ。一刻も早く自分を取り戻してほしいものです。
★今季、金田久美子の成績

ダイキンオーキッド  予選落ち+8
ヨコハマタイヤPRGR  予選落ち+12
ヤマハ        予選落ち+12
スタジオアリス    予選落ち+12
ライフカード     9位  +3
フジサンケイ     予選落ち+9
クリスタルガイザー  予選落ち+4
ワールドレディス   予選落ち+11
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