松山英樹、消された初日首位発進(米ツアー)!新型コロナウイルス・ショック、ゴルフ界も直撃!国内女子の開幕もいつに!?

コロナウイルス・ショックに泣いた松山英樹。米ツアー「ザ・プレーヤーズ選手権」初日「63」でトップに立ちながら、2日目から中止。17年のブリヂストン招待以来の米ツアー6勝目が幻に。

全世界を揺るがす新型コロナウイルスの蔓延。ゴルフ界の日程もずたずた引き裂かれて動揺をかくせません。国内女子ツアーの開幕戦、ダイキンオーキッド・レディス(沖縄・琉球=3月5~8日)が開催中止になったのをきっかけに雪崩のようにイベントがキャンセルされています。女子ツアーは2戦目の明治安田生命レディスヨコハマタイヤ(高知・土佐)に続き第3戦(Tポイント・ENEOS=鹿児島高牧)も中止決定。男子ツアーは、4月16日からの東建ホームメイト杯で国内開幕ですが、この開催も不透明のままです。一方米ツアーでも男女とも中止や延期が続発。ゴルフの祭典「マスターズ」(4月9~12日)までが『延期』を発表する事態に至りました。終わりのみえないコロナ騒動に揺れに揺れるゴルフ界の事情を探りました。

☆★    ☆★    ☆★

好調なショット、パットを取り戻してきた松山英樹。今後に期待がかかる。

海外男子で第5のメジャーといわれる高額賞金の「ザ・プレーヤーズ選手権」(3月12日~15日=フロリダ)。初日、コースレコードタイ「63」の快スコアを出した松山英樹がトップに立って沸きました。ところが初日が終わったところで主催者は突如「2日目からの大会中止」を告げたのです。松山には2017年8月のブリヂストン招待以来のツアー6勝目がちらついた矢先の中止発表。英樹を唖然(あぜん)とさせるニュースでしたが、米国にも感染拡大の波が急激に押し寄せてきた非常事態。米ツアーサイドは「あまりにも状況が刻一刻と変わってくる現状では、いったん止まることが正しいと判断した」と無情のコメント。大会前には、2日目以降とマスターズ前週のテキサス・オープンまでの5試合は無観客で試合を行うと、いったんは発表したばかりなのに、一転して中止。米ツアーはザ・プレーヤーズ選手権をふくめ4月2~5日のテキサスオープンまでの5試合を中止。続く「マスターズ」は『延期』(期日未定)という異常事態。全く先が見えない日程変更です。

今季は米ツアー4年目の畑岡奈紗。今季も好調な出足なのに3月はコロナ・ショックで米国で″足踏み″状態。

一方、海外女子は2月後半から3月初めのアジアシリーズ3戦がすでに中止。さらに米本土で3月10日からのファウンダース・カップ、起亜クラシックの2試合と4月第1週に予定されていた今季メジャー初戦「ANAインスピレーション」の3試合の延期も決定。出場を予定していた畑岡奈紗、鈴木愛、渋野日向子らの日本勢は、行き場を失って日程の調整にてんてこ舞いです。
海外では欧州ツアーとアジアンツアーでも例外ではありません。3月12~15日だったケニア・オープン(ケニア)のほか、共催大会のヒーロー・インディアン・オープン(3月19~22日、インド)、メイバンク選手権(4月16~19日、マレーシア)、ボルボ中国オープン(4月23~26日、中国)の延期が決まっています。

渋野日向子(左)と鈴木愛(右)。思わぬコロナウイルスの感染拡大にあい、試合日程がまだ定まらない(今年1月、契約先のPINGのクラブ発表会で)

さて、日本国内ツアーが問題です。すでに公式日程に入っている女子ツアーは開幕戦から3大会が流れ、まだ1試合も試合が行われていません。第4戦はアクサ・レディス(3月27~29日、宮崎・UMK)ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない限り、強行開催はムリだと思われます。特に観客の多い女子の試合では、コース最寄までの電車等。満員でピストン運行をする駅からゴルフ場へのギャラリーバス。コースではテントで飲食するギャラリー。物品等のショッピングでテントに集まる観客・・等々。また選手やスタッフ、ボランティアら関係者が1週間前後は宿泊する宿舎の環境も心配の種です。屋外競技のゴルフトーナメントでも危険はいっぱいなのです。

国内男子ツアーの幕開けは4月16日(東建)からで、まだ何のアナウンスもありませんが、2週前の下部ツアー「AbemaTVツアー」の開幕戦は中止を決定しました。「Novil Cup」(4月3~5日=徳島・Jクラシック)の主催者ノヴィルホールディングスと共催の日本ゴルフツアー機構は「パンデミック宣言(世界的大流行)や感染症対策専門家会議の見解を受け、事態の収束が見えない状況下で国内外から多くの関係者が集う大会を実施すべきではないと判断した」との説明。同じく女子の下部、ステップアップ・ツアーの開幕戦「rashink×RE SYU RYU/RKBレディス」(3月24~25日=福岡)も大会の延期を表明。プロツアーはズタズタ状態に陥っています。

今年から米ツアー参戦の河本結。思わぬコロナショックで米ツアーの日程が定まらず、出鼻をくじかれた。

プロツアーばかりではありません。アマチュアゴルフでも少なからず影響を受けています。タイで2月に開催予定だったアジアパシフィック女子アマ選手権は主催のR&Aが10月に延期を発表。国内でも全国高校ゴルフ選手権(春季)が、すでに中止。競技ゴルフではありませんが、全国で141コースを持つゴルフ場経営の大手、PGMグループでは、企業を主にしたコンペが1600件(今年2月以降)キャンセルされたといわれます。約11500組が消えたわけで、主催者としても大変な減収をかぶっています。
どこまでいけば先が見えてくるのでしょうか。感染国は世界110数ヵ国・地域以上に及び、米国トランプ大統領は国家非常事態を宣言(3月13日)。感染拡大の防止に向けて500億ドル(約5兆4000億円)の連邦資金を投入すると表明しました。もちろんゴルフ界だけではありません。各スポーツ団体のイベントに大きな影響を与えていますし、7~8月の東京五輪開催にもカゲを落とすのではと危惧されています。まさに世界の危機といえる事態です。

♯    ♯    ♯

人気絶頂、大入りの女子ツアーが今年も見られるのは、いつ?(昨年大入りだった日本女子オープン)

こうした現状にスケジュール作りに苦慮しているのが女子プロたちです。中でも東京五輪出場をめざし、世界ランクのポイントを上げていきたい渋野日向子(21)らは次々と中止や延期になるツアー日程に振り回されています。渋野は最初に予定していた米女子ツアーのタイ、シンガポールなどのアジアシリーズへの足止めを食い、次の国内ツアーの開幕戦から3試合も中止とあっては出る試合も見当たりません。照準を合わせていた米メジャー初戦のANAインスピレーション(カリフォルニア)も延期とあっては出場予定だった鈴木愛、河本結らも含めてどうにも動きがとれなくなりました。渋野は急きょ、欠場のつもりだった4月2日からの国内ヤマハレディス葛城(静岡)へのエントリーもできるような協会の配慮を受けましたが、この試合も開催できるかどうか。まだ不透明なのが現状です。
国内の開幕戦はいつのなるのか。また、米国を主戦場にしている畑岡奈紗(21)らは入国制限の事態をおそれ、予定を早めて3月早々に米国入りしました。しかし、米ツアーも3月後半から4月第1週のメジャー「ANAインスピレーション」まで大会延期が発表され、畑岡も試合がない状態が続いています。
内外のゴルフ界を震撼させた新型コロナウイルス旋風。終息を迎えるのはいつなのでしょうか? 未曾有の大ピンチです。

(了)