ゴルフ界は新型コロナウイルスの感染拡大で女子ツアーも開幕できない事態に至っています。そんな中で男子ツアーを管理する 「日本ゴルフツアー機構」(JGTO)の会長、役員を改選する″社員総会〝が3月25日(水)に近づきました。青木功会長が2期4年の任期を終え今年で3期目に入りますが、 青木功執行部に不満を抱くツアープロたちが執行部不信任の″嘆願書〝をたずさえ、25日の総会に提出する構えで不穏な空気が漂っています。嘆願書に署名しているツアープロは、2年連続賞金王の今平周吾はじめ谷口徹、片山晋呉、藤田寛之、池田勇太、宮本勝昌(石川遼のサインはない)らのべテランから、今季選手会長に就任した時松隆光や重永亜斗夢、出水田大二郎、浅地洋佑らの若手プロ、さらに外国選手まで主力41人のサインがあることが確認されています。青木功会長自身は3期目へ意欲をみせていますが、果たして続投が成りますかどうか。一種、クーデターにも似たこの騒ぎ、低迷の続く男子ツアーに俄然、脚光が集まっています。
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男子ツアーの低迷は長く続いたままです。試合数をみても今季予定されている大会は25試合。37試合の女子ツアーに大きく差をつけられています。大会スポンサーが集まらないのです。今年も大会は減少傾向にあり、青木功会長になってからも試合増などの大きな進化はみられず、選手にとっては死活問題ともいえる長い暗黒時代です。
心あるプロの意識は辛辣です。嘆願書は「新しい3人の理事はJGTOの業務でほとんど機能していない。私たちはそのような理事のもとでは安心してプレーができない。青木功会長の英断をお願いしたい」ーといったもの。
問題とされる″3人の理事〝についても名前を挙げて追求しています。U専務理事(アメックス出身)。U理事(もとIMG)。M理事(青木功ゴルフ企画社員で青木会長が現役時代にキャディーとマネジャーを務めた)の3人。いずれも青木会長のシンパで、会長自身がJGTOに招聘した身内同然の人物です。
ことの起こりは前年度から始まっており、昨年3月の理事会では従来無給でボランティアだった理事職を有給にし、ツアー機構の定款変更を強行したとされます。U専務理事に関しては、下部ツアーのAbemaTVツアーから若手プロを選んで資金を投入。「イケメンプロジェクト」なる催しで女性ファンの獲得を狙ったがうまくいかず、失敗。選手会からクレームが上がる事態を招きました。UJ理事は選手等の映像利権をビジネス化しようと、これも資金や新しい人材を投入。M理事は今年から新規ツアーに参入した「ザ・トップ」の開催コースに関して不手際が指摘され、未だ″コース未定〝のまま・・等々、選手側のいう「業務が機能していない」事項が列挙されています。JGTOはトップダウンで選手が獲得した賞金の3パーセントが協会に入る仕組みになっています。選手会にしてみれば、選手が供出した資金が適正に使われていないとの思いがつのったとされます。
さて、注目の社員総会は当初3月13日に予定されていましたが、コロナショックで3月25日に変更されました。「嘆願書」は総会前に青木功会長に届けられ、全選手が出席する総会(欠席者は委任状提出=尾崎将司、尾崎直道はすでに委任状提出済みとか)にかけられます。社員(選手)資格を持つ選手会のツアープロは現在205人。その過半数(103人)が理事不信任とすれば、現執行部は崩壊します。その場合は解任要求された3人に代わり新たな理事リストを作成して社員総会の認否を問うことになります。新会長は新たに選ばれる理事会(18人)によって指名れることになります。青木功会長の3選が通るかどうか。いまのところ後任候補に乏しく、青木功会長の続投が有力視されていますが、「これではダメだ」と立ち上がった選手会が選ぶJGTOの新体制の行方が見ものです。
(了)