女子ゴルフの人気者、″しぶこ〝こと渋野日向子(21)の今季第2戦は、海外挑戦が有力になってきました。国内初戦のアース・モンダミンで不覚の予選落ちを喫したしぶこは、国内第2戦以降の日程が不透明なこともあり、昨年メジャー制覇を果たしたAIG全英女子オープン(8月20~23日スコットランド・ロイヤルトルーンGC)にターゲットを絞ったようです。しかもその前週にあるスコットランド女子オープン(8月13~16日ルネサンスクラブ)への推薦出場も強く希望しており、主催者からOKが出れば8月早々にも英国へ飛ぶ計画を進めています。国内女子はその間、NEC軽井沢72(8月14日から)の予定がありますが、開催されたとしても英国優先で、国内には9月までお目見えしないことになりそう。今季メジャー初戦、全英連覇へ、いよいよ集中力を高めるしぶこです。海外メジャーの日程は、ANAインスピレーションは4月から9月へ、全米女子プロは6月から10月へ、全米女子OPは6月から12月に延期されています。7月のエビアン選手権は中止となりました。
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AIG全英女子オープンなど、海外の試合日程が予定通り開催されるのかどうか、その可否は最終決定していませんでしたが、先週7日、英国の主催者から「予定通り開催する」と正式発表がありました。スコットランド女子OP、AIG全英女子OPどちらも無観客で行われることも決まりました。昨年、日本人42年ぶりのメジャー制覇を果たしたしぶこは「もちろん今年も行きたいと思っていた。大会2連覇のチャンスは私にしかないのだから、ずっと前向きに挑戦を考えてきました。国内の試合も大事ですが、やっぱり米ツアー(全英女子オープンも入る)で戦いたい思いは強いです」(しぶこ)と胸中を語っています。「21年からは米ツアー参戦したい」とのかねてからの思いは変わっていないしぶこさん。今年は米女子ツアーが予選会(QT)の中止を発表。しぶこのモチベーションにかげりが見えていたのですが、目先にある全英女子へのチャンスはどうしてもモノにしたというところです。
今年のAIG全英女子は、スコットランド西海岸にあるロイヤル・トルーンGCが舞台。昨年しぶこが勝った英ミルトンキーンズ・ウォバーンGCがやや内陸にある″北海道的なコース〝だったのに比べ、ロイヤルトルーンは海沿いのスコットランド特有の風も吹くリンクスコース。男子の全英オープンが開催されるローテーションに入っているゴルフ場で日本人にはなかなか手ごわいコースです。1982年の全英オープン、倉本昌弘(現PGA会長)が4日間通算2アンダーで日本人最高の4位に入ったことで知られています。海沿いに展開するコースで強い風は当然のように吹き荒れます。うねりのある硬いフェアウェイ。切り立った壁のあるバンカーが数多く点在するのでも有名です。低い弾道が求められ、ランを使ったアプローチなど日本選手は通常はあまり用いないショットが有効になります。どちらかというと弾道の高い渋野日向子のゴルフが通用するかどうか。見ものです。
全英女子(8.20~23)の前週には同じスコットランドで「スコットランド女子オープン」(8.13~16)があります。全英の前哨戦としてしぶこはこの試合で小手調べをしたい意向です。しかし、出場資格を持っていないのでこんご主催者推薦を得られるかどうかです。その方向で下工作を進めているようですが、出場が可能になれば、いい″練習ラウンド〝になるでしょう。英国ではコロナ対策として、出場選手は英国入国時に14日間の自主隔離が必要とされていますが、全英女子OPに関してはそれが免除される特別措置がとられる予定。しぶこにとってはうれしい優遇ですが、いずれにしても出場が決まれば早目の現地入りとなるでしょう。日本国内のツアーとの掛け持ちは不可能な日程です。
コロナウイルス拡大の影響で今季のゴルフ界は世界的に大きな打撃を受けています。日本国内の女子ゴルフは、開幕から16試合が連続全滅。6月最終週にアース・モンダミンでやっと開幕しましたが、そのあともまた6試合がすでに中止。女子ツアーは全37試合のうち現在22戦の中止が発表されています。
2月下旬から中止が続いている米女子ツアーも、7月31日開幕の新規大会「ドライブ・オン選手権(オハイオ)」が再開試合になりそうです。この試合、無観客で約5ヵ月ぶりにツアー再スタートすると発表されています。荒れ狂うコロナ旋風を縫って、日本のしぶこが海外でどこまで頑張れるか。シーズンも後半に入ろうかというゴルフトーナメントに、やっと脚光です。
(了)