河村雅之(53)、キャディーの夫人と歓喜の抱擁!シニア4年目の最終戦で悲願の初勝利。

嬉しいシニア初Vの優勝トロフィーを抱えるキャディーを務めた寛子夫人(左)と河村雅之(右)=沖縄・かねひで喜瀬CC(写真提供:PGA)

コロナ禍で4月の開幕戦が12月の最終戦に延期されたシニアツアー「金秀シニア沖縄オープン」(沖縄・かねひで喜瀬CC)。シニア4年目の河村雅之(53)が、2日間競技ながら通算5アンダーでシニア初勝利。帯同キャディーを務める寛子夫人(45)と歓喜の抱擁を交わしました。今季予定された18試合のうち消化されたシニア大会は8試合。9月の日本シニアオープンを制した寺西明(54)が、獲得賞金1901万9464円で自身初の賞金王に輝きました。P・マークセン、T・ウィラチャンらタイ勢に独占されていた賞金王を5年ぶりに日本選手が奪回しました。

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初優勝の優勝トロフィーと河村雅之(かねひで喜瀬CC)

河村雅之。広島出身で広島工業大付属工高卒。19歳でプロテスト合格。94年には鈴木亨と組んでワールド杯にも出場。団体5位、個人10位になって自信を深めました。95年の東海クラシックでは中嶋常幸らに競り勝って初優勝。98年のNST新潟オープンでは2位に8打差をつけて優勝したこともあります。飛ばし屋ではありませんが、キレのいいアイアンショットを身につけ、いぶし銀のゴルファーとしてレギュラーツアー3勝。通算11度の賞金シードを保つトッププレーヤーでした。
2017年からシニア参戦。初勝利はすぐかと思われながら4年間、勝利から見放されていました。昨季のシニア賞金ランクは23位。今季は「ISPS HANDA コロナに喝!」(7月)が2位、太平洋クラブシニア(8月)3位と優勝圏内で戦い、ようやく最終戦で初優勝のご褒美に恵まれました。4年前に結婚した寛子さんがずっと試合には付き添い、帯同キャディーも務めてナイスプレーにはガッツポーズでプロを励ます日々でした。グリーン上ではラインの読みも夫以上に真剣でした。最終日、雨まじりの強風が吹き抜ける悪コンデイション。初日の2打リードがなくなり、同組の白潟英純に並ばれた直後の14番(パー3)。カラーから7~8㍍はあったスライスラインを夫人が読み切ってバーディーを仕留めました。これで再びリードを奪い返し、終盤も微妙なパットを決め続け、18番(パー5)はパーオンしながら3パットのボギーでヒヤリとしましたが、2打のリードを守って逃げ切りました。

河村雅之のショット(沖縄・金秀シニア)

「やっと女房に夢をかなえてあげることができた。二人三脚でシニアツアーを回り、帯同までやって、ラインもちゃんと読んでくれて助かってます。僕よりも優勝を待ち望んでましたから。ありがとうといいたいです。結婚する前、チャレンジツアーで担いでもらって優勝したことがあるんですけど、結婚してから勝てなくて、やっとプレゼントができました。(夫人は)性格が真面目なので、悪くなったとき一緒に落ち込んでしまうんです。でもとても明るい人なんですがね」(河村)。

河村は、日本シニアで逆目の芝から2度ほどムリなショットをして左肘を痛め、テーピングがいまだに取れません。「あれ以来、思うようなスイングができず、パットも調子悪かった」と、苦戦続きだった今季後半戦を振り返りつつ、パットの打ち方を微調整したりしてついに大きな″結果〝を生み出しました。この1勝ですべての苦しみも吹っ飛ぶでしょう。「来週も試合があればいいのになぁ。今夜は泡盛をしっかり飲みます」の一言に、河村雅之の苦悩のあとが滲み出ていました。

いぶし銀の″河村ゴルフ〝は、また来年に続くでしょう。53歳。勢力分布が大きくさま変わりしている国内シニア。まだ若い河村の稼ぎどきは、これからでしょう。
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◇シニア賞金王は日本勢5年ぶりの寺西明(54)!

日本シニアオープン優勝などで賞金ランキング1位。日本選手5年ぶりのシニア賞金王となった寺西明(沖縄・かねひで喜瀬CC)

無敵だったプラヤド・マークセンやそのあと台頭してきたタワン・ウィラチャンのタイ勢に蹂躙(じゅうりん)されていたシニアの賞金王は、2015年の室田淳以来5年ぶりに日本選手の手に戻りました。寺西明(54)。ゴルフを始めたのは、社会人になって仕事の付き合いで30歳から。関西のトップアマに登り詰め、2015年に49歳でプロテストを受験して8位で合格。16年シニアツアー最終予選会6位でツアー参戦。17年「いわき白露シニア」で初優勝するなどシニア3勝。今季は日本シニアオープン(兵庫・鳴尾)に初優勝。賞金1200万円を獲得するなどシニア通算4勝。今季は優勝1回のほかベストテン4回。機械部品の製造、電気製品の組み立てなどの会社経営と2足のわらじをはく社長さんです。
「日本シニアオープンに勝って、賞金王もらえて、素晴らしい1年になりました。コロナで試合数は少なかったですが・・。マークセンもみんな今年は来ていませんが、ひけをとらないバーディー数、パット数など安定していたので、それなりに頑張ったんじゃないかなと思います。嬉しいのは間違いないですけど、振り向くのは選手生命が終わるときだと思っています。去年、全英に出られたときに自分のゴルフの転換期というか、ゴルフへの考えが変わった気がします。世界はこんなんや、というのを感じました。まだまだ努力しないと、と思いました。来年は世界に行ける可能性があるなら全部行きます。仕事もありますけど、日の丸を背負って行くわけだから恥ずかしい結果はしたくない。賞金王とシニアオープン・チャンピオンという冠を持っていくので、参加するだけじゃなく優勝を狙う勢いで行きたいです」

コロナ禍で試合数は減りましたが、日本のシニア界も新しい息吹を感じる勢力分布になってきました!

(了)