★“名物キャディー”とコンビ光る!今季2勝目“女王”へ突っ走る福嶋晃子

絶妙のコンビを組む″おしゃべりキャディー〝 大溝雅教さん(左)と福嶋晃子(右)
絶妙のコンビを組む″おしゃべりキャディー〝 大溝雅教さん(左)と福嶋晃子(右)

この6月で35歳になった福嶋晃子が、11年ぶり3度目の賞金女王へ走り始めました。戦国時代といわれた今年の女子プロツアーは、20日に終わったスタンレーレディス(静岡・東名CC)で19試合の前半戦を終了しましたが、最終日2打差を逆転して優勝した福嶋晃子の安定したゴルフが一際目につきました。今季2勝目を挙げたのは前週の不動裕理に続いて福嶋が2人目。今季16試合に出場して予選落ちもない福嶋は、賞金も7240万9166円でトップを独走中です。そのカゲには勝運強い″おしゃべりキャディー〝の存在が見逃せません。

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溝雅教キャディー(42)。昨年6月から福嶋晃子とタッグを組む専属キャディーです。昨年はベルーナ、NEC軽井沢72と晃子の2勝はすべてバッグを担ぎ、ことしは5月のワールドレディス・サロンパス杯に続いてのスタンレーと、専属タッグを組んでから早くも4勝をあげました。もちろん優勝は晃子の一際抜きん出たゴルフの腕前にあるのですが、大溝キャディーの強運は以前から実証済みなのです。かっては片山晋呉の専属として00年には片山の初賞金王への助っ人となりました。神経質な片山がプレッシャーに押し潰されないようにと、つとめて会話を絶やさず、しかも他愛のない世間話や時にはタイミングよく鼻歌も交えてぴりぴりする片山の神経をほぐし続けたのです。
  「僕はゴルフのアドバイスよりも選手が気分よくプレーできるようにするのが信条」という大溝さんです。コースに出れば孤立する選手をリラックスさせる役目は、キャディーしかいません。それが巧みなのが大溝さんの本領なのです。「冗談をいったりリラックスさせてくれて好きにプレーさせてくれる。ゴルフの幅が広がるのです。それに勝運をもった人」と、福嶋は大溝キャディーの″効用〝を認めています。

日本女子ツアーでは抜群の飛距離をみせる福嶋晃子のドライバーショット
日本女子ツアーでは抜群の飛距離をみせる福嶋晃子のドライバーショット

福嶋晃子のゴルフは、いまの日本女子ゴルフ界では一段抜きん出ている実力があります。
横峯さくらがいくら飛ばすといっても晃子の飛距離にはかないません。セカンドからのクラブも当然1番手も2番手も人とは違います。パットもうまいゴルファーで、99年に米ツアーに挑戦(6年間)したときは、いきなり年間2勝した実績があります。復帰した日本ではもっともっと勝っていい選手ですが、持病の腰痛や背中痛、足首痛など、体調の維持に悩まされていたからです。昨年5月から父親・久晃さんがプロ野球時代から親交のある元広島カープのトレーナー、種田博人さん(61)と契約を結び、筋力トレやストレッチを計画的に励行するなどして今年はシーズン始めから慢性的な腰痛も返上、全盛期の筋力や飛距離が戻ってきました。

 

話は大溝キャディーに戻りますが、片山晋呉に5勝をもたらしたあとは女子ツアーに転向、藤井かすみの好調時には長期契約で9勝。その後不動裕理に1勝。昨年はベルーナで福嶋晃子、次週の明治チョコレートで大山志保(福嶋晃子は欠場)と2週連続優勝をもたらしています。今季は福嶋の2勝で、キャディー通算20勝目をマークしました。
  大溝さんに福嶋晃子との相性を聞いてみると「他を圧する大型選手で頼もしい人です。飛ばしますが、曲げるのも珍しくないですよ。少々曲がるのはいつものことですから気にしません。それよりアッコの弱点は、メンタル面で気が弱いことですね。気持ちがよ過ぎる子なんですね。そこを僕がサポートしてあげたい」といっていました。

 

福嶋晃子の体調を劇変させた元広島カープの種田博人トレーナー
福嶋晃子の体調を劇変させた元広島カープの種田博人トレーナー

「キャディーの最多勝は佐野木計至さん(尾崎将司のキャディー)の33勝でしょう。2番手は僕で次が清水クン(重憲=谷口徹、上田桃子のキャディー)の15~6勝でしょうが、佐野木さんの記録にはまだまだです」というこの″おしゃべりキャディー〝は、北海道羽幌町出身で旭川龍谷高では内野手として野球部に在籍。卒業後は自動車のディーラーをしたあと、栃木・那須小川GCやアローエースGCの研修生を12年やりましたが、プロテスト受験にまでは至りませんでした。しかし、当時からパチンコ好きで明るくてひょうきん者。研修生仲間からの人望も厚かったようです。

 

 

米ツアーではタイガー・ウッズのスティーブ・ウィリアムズら有名で大金を稼ぐキャディーも少なくありませんが、息の合った眼力キャディーをとりこんだ福嶋晃子の後半戦は注目の的。今週24日からの高額賞金、カゴメ・フィランソロピーLPGA選手権(賞金総額1億3000万円、優勝2340万円=千葉・習志野CC)でも2人のコンビはお目見えします。注目です!