この6月で35歳になった福嶋晃子が、11年ぶり3度目の賞金女王へ走り始めました。戦国時代といわれた今年の女子プロツアーは、20日に終わったスタンレーレディス(静岡・東名CC)で19試合の前半戦を終了しましたが、最終日2打差を逆転して優勝した福嶋晃子の安定したゴルフが一際目につきました。今季2勝目を挙げたのは前週の不動裕理に続いて福嶋が2人目。今季16試合に出場して予選落ちもない福嶋は、賞金も7240万9166円でトップを独走中です。そのカゲには勝運強い″おしゃべりキャディー〝の存在が見逃せません。
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PGAシニアツアーの「ファンケルクラシック」が今年も8月22日(金)~24日(日)の3日間、静岡・裾野カンツリー倶楽部で開催されます。その試合要項等が14日に発表されましたが、その席上8年間に渡ってこの試合をスポンサードしているファンケルの池森賢二名誉会長(71・大会会長)が「遼クンや桃子ちゃんだけでなく、シニアの試合をもっと報道して欲しい」と切々と訴えました。池森会長は今年に限らず毎年これをアピールし続けていますが、今年はその思いがますますヒートアップしたのでしょうか、ファンケルではトーナメント最終日に「マスコミ見学ツアー」と称して東京から裾野CCまで貸切バスを用意してメディアのひとたちの無料送迎を行うという異例のアイデアを発表して驚かせました。池森会長のゴルフを愛し、シニアツアーを盛り上げようとする長年の心意気には頭が下がる思いです。
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「シニアの元気は、日本の元気!」をスローガンに掲げて01年に池森会長が立ち上げたのが「ファンケル シニア クラシック」でした。01年といえばちょうどバブルがはじけて日本経済界は暗黒の真っ只中。隆盛時には26試合もあったシニアツアーは5試合に減ってひん死の状態。その時代に新設されたファンケルシニアはまさに救世主でした。当時から賞金総額6000万円(優勝1500万円)のビッグプライスでした。以来、毎年真夏の風物詩的な華やかなシニアトーナメントが富士山を背にした裾野CCで繰り広げられてきました。高橋勝成の第1回から3年連続優勝という話題もありましたが、04年に尾崎健夫、05年に中嶋常幸と室田淳の登場でシニアツアーはレギュラーツアーをそのまま持ち込んだような盛り上がりをみせてきました。池森会長は「元気溢れるシニア世代はもはや″シニア〝じゃない」と、第5回大会から大会名の″シニア〝を取り、「ファンケルクラシック」へ改称したほどです。毎年この試合は、06年室田淳と中嶋常幸の息詰まるプレーオフで室田淳が優勝するなど、なぜか白熱するのです。 レギュラーツアー顔負けの好試合が、かっての名選手たちによって演じられているのに、新聞、雑誌等の報道が「虫眼鏡でみるような小さなスペース」(池森会長)であることに同会長は頭を悩ませてきたのです。
池森会長は訴えます。
「この大会がスタートしたときは、シニアの苦しい時代でしたが、レギュラーで活躍された選手が次々とシニア世代になってシニアツアーは面白くなりました。中でも中嶋(常幸)プロが参加されてからはファンがグンと増えました。中嶋さんのファンを大事にするサービス精神には本当に感謝しています。さらにいまは湯原(信光)さんや渡辺(司)さん。また今年からは羽川(豊)さんもシニア世代になられました。本当にシニアツアーはいい技術もみせてくれるしホスピタリティーもあって楽しい。試合ももっと増やしたい思いでいっぱいです。それにつけても、こんなに盛り上がって面白いシニアツアーを新聞などのメディアがどうしてもっと大きく取り上げてくれないのでしょうか。石川遼クンや桃子さん、さくらさんが何かすると大きく飛びつくのにシニアには冷たい。私は、毎年声を大にしてこれをいい続けています」
全く同感の思いがしますが、ファンケルがそこで思いついたのが、今年実施する最終日の「マスコミ″見学〝バスツアー」です。何とかマスコミの人間をコースに引っ張り出して記事を書いてもらおうという切々たる思いが溢れています。午前7時30分に東京を出発する貸切無料バスは午前10時ごろに裾野CCに着き、大会後は19時ごろには東京に帰着予定になっています。参加できるのは原則的にマスコミとその家族の人、としていますが、車内では優勝者当てクイズなどの余興?も計画しているそうです。本当に報道が必要なら″他人〝に頼らなくても記者やカメラマンを派遣するのが通常のメディアです。果たして何人がこのファンケルの呼びかけに賛同して参加するでしょうか。見ものですが、「もっと世間の人にシニアの面白さを知ってもらいたい」という池森会長らの切なる願いだけは理解してあげたいものです。
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「ファンケルクラシック」は今年も賞金総額6000万円、優勝賞金1500万円でシニアツアーではビッグな大会です。大会期間に使う電力は、風力、水力など自然エネルギーで発電した「グリーン電力」を使用し、環境に配慮します。プロ選手の愛用品オークションなどいろいろなチャリティイベントを実施。集まった金は「ファンケルクラシック基金」を通じて、世界で食糧難に直面している人々支援のための活動をする団体に寄付することになっています。来場者にはファンケル商品のプレゼントもあります。ゴルフファンのみなさんも、今年こそ″面白いシニアツアー〝へ足を運んでみては・・。
大会の模様は、8月23日(土)、24日(日)、テレビ東京が系列全6局にて全国へTV中継します。
☆「ファンケルシニア」歴代優勝者
2001年 高橋勝成
02年 高橋勝成
03年 高橋勝成
04年 横島由一
05年 三好隆
06年 室田淳
07年 室田淳