“ドッキー”こと井戸木鴻樹(59)が、今年のシニアツアーに「喝」を入れ続けています。2ヵ月前のシニアツアーで8年ぶりの優勝を遂げて祝杯を挙げたばかり。今度は優勝賞金1200万円のビッグゲーム「コマツオープン」(石川・小松CC)を3日間17アンダーの逆転優勝。今季獲得賞金を1882.2万円として賞金ランク1位に躍り出ました。2013年には「全米プロシニア」で日本男子初の海外シニアメジャーを制覇。永久シード権を手にしている男が、国内シニアでも遅咲き?のスターダムへ。そして「できれば賞金王を狙いたい」と大きなのぞみを公言しました。
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2日目にはトップに立った井戸木。通算10アンダーで並んだ清水洋一と、最終日は激しい優勝争いでした。1番から3連続バーディーで優位に立った清水を追って、じわじわと粘り続ける井戸木。バックナイン勝負となった13番(パー4)。短いパー4で1打目をドライバーでグリーンオーバー(エッジ)させた飛ばし屋の清水。イーグルパットを2.5㍍オーバーさせながら、返しを入れてバーディー。これをみた井戸木は1.5㍍のバーディーパットを負けじと沈めます。清水15アンダー。井戸木14アンダー。残り5ホールの大勝負を分けたのは、パー3(186ヤード)の16番でした。「風に迷った」という井戸木の1打は、グリーン手前のバンカーへ。ワンオンさせた清水は奥10㍍。井戸木のバンカーからはピンへ20ヤード。
「ライはよかった。エッジギリギリに落として寄せた。転がせたのは7~8ヤード。うまく打てたね。あの1打は大きかった。奥に乗せていた清水をいやな気持ちにさせた」(井戸木)。
井戸木の狙い通り、グリーンギリギリに落としたボールは、スルスルと転がって真ん中からカップイン。お見事、バンカーからのバーディーは効果てきめんでした。
これを見た清水の第1パットは、2㍍弱ショート。パーパットもカップの淵(ふち)で止まる致命的な3パットボギーでした。
「第1パット、緩みました。傾斜はそんなに強くないと分かっていたんですが・・。パーパットはもっと緩みました。ああいうところで、悪いものが出てしまった」(清水)。
“バーディー・ボギー”で、一気の逆転です。井戸木15アンダーの単独首位。清水14アンダー。勢いに乗った井戸木は、残る2ホールも連続バーディー。上がり3ホールの3連発は強烈でした。18番(パー5)をバーディーとした清水ですが、それでも終盤に強さをみせた井戸木には2打足りませんでした。
シニアツアーは残り7試合。初の賞金王もさることながら、“もう一度アメリカへ”の夢を持ち続ける“ドッキー”のコメントです。
★「いい展開のゴルフができるようになってきた。清水が先に走っていたけど、3、4人でプレーオフの可能性もあると思っていた。でも最後まで自分のプレーができれば勝てると信念を持ってやっていた。1勝ならまぐれもあるけど、2勝すれば実力がついてきたと・・。アメリカに行きたい気持ちは十分ある。2勝して実力もついてきたのだろうから、アメリカに行っても胸を張ってみんなに顔を合わせられる。アメリカといっても、出られるのは全米プロシ二アと全米シニアオープンくらいかな。ずっとアメリカに行くわけではないよ。国内の賞金王も可能性が出てきたから、この勢いに乗っていきたい。でもまずはもっとドライバーを練習しないと・・」
夢を語りながらも「ショットが悪い」と反省の言葉を繰り返す井戸木サン。若い時から「ミスターフェアウェイ」といわれ、正確なショットが持ち味の井戸木です。レギュラーツアーではフェアウェイキープ率1位を7回もとり、いつも笑顔を絶やさずにフェアウェイを歩く姿に「ドッキーファン」は少なくありませんでした。ISPS半田晴久会長からの信頼も厚く、全米プロシニア優勝後からはISPSアンバサダー選手としていまに至っています。シニア入り当初から度重なる体の故障に悩まされましたが、59歳にして見せるいぶし銀の安定ゴルフ。“華麗なる復活”を遂げようとしている「ドッキー」に、幸いあれ!です!
(了)