世界アマランク1位の中島啓太(21)が、来春のマスターズ出場権を獲得するビッグニュースです!男子ゴルフの「アジア太平洋アマチュア選手権」が、アラブ首長国連邦のドバイクリーク・ゴルフ&ヨットクラブ(パー71)で行われ、中島啓太は通算14アンダーで並んだ香港のコ・タイチ(許龍一)とのプレーオフを2ール目のバーディーで制し、日本人アマ3人目の快挙達成。来年4月の海外メジャー、マスターズ(米国)切符を手にしました。すでに全米オープン、全英オープンの出場権は取得済みの中島には、来年はまさに「大きな1年になる」ことになりました。
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随所に大小のクリークとバンカーを配したプレッシャーのかかるクリーククラブ。プレーオフ1ホール目は、中島が右のクロスバンカーに入れてピンチでしたが、巧みなショットでピン8㍍に運び、ともにパーの分け。2ホール目、今度はコが同じ右のクロスバンカーにつかまり、2打目をグリーン左のクリークに落とす致命傷。フェアウェイキープからピン奥6㍍に乗せた中島はパーでも勝ちでしたが、このバーディーパットを強気に決め、右こぶしを握りしめるガッツポーズで締めくくりました。グリーンサイドに駆け寄った仲間からのウォーターシャワーを頭から浴び、びしょ濡れになりながら涙を何度も拭う中島が印象的でした。アマチュア最後の年となるはずのうれしい「アジア太平洋アマ」の制覇。夢にも見続けたマスターズ出場がこの瞬間実現したのです。この試合はアジア・パシフィックゴルフ連盟が主催し、オーガスタナショナルGCとR&Aが共催して2009年から開催されているアマチュアのビッグ大会の一つです。
難コースでの4日間は、中島にとって決して楽な展開ではありませんでした。単独1位に立った第3ラウンドでは、最終18番で左のクリーク(レッドペナルティーエリア)に打ち込みながら、救済後の3打目をピン手前5㍍につけてパーセーブ。思わずガッツポーズが出たほどでした。8番(パー3)では3パット。10番(パー5)でも1㍍のバーディーパットがカップをなめ「もっとよく読めばよかった」と天を仰ぎました。しかし、ラフから砲台グリーンの傾斜にクッションさせて1㍍につける絶妙なアプローチ(3番)や「一番難しい左からのアゲンスト。完璧に打てた」という230ヤードの第2打3番アイアンショット。見事にグリーンを捉えて2パットのバーディー(13番パー5)とするなど「コース上では恐れを知らない男」といわれる通りの強気の攻めもみせて難コースを征服しました。
その3日目の夜には、昨年10月に受けたアマチュア年間世界一の称号である「マコーマックメダル」の授与式に出席。オーガスタナショナルGCチェアマンやR&Aキャプテンはじめ出場選手が見守る中で、練習してきた英語スピーチを堂々と披露しました。松山英樹、金谷拓実の2先輩がたどった足跡をそのまま受け継いでいく中島啓太。最終日の優勝スピーチでも「世界アマランク1位として重圧は少し感じましたが、十分に楽しめた最高の1週間でした。英樹さん、拓実さんに続くことができて誇らしく感じます。とても名誉なことで興奮している。次は来年マスターズでローアマがとれるよう、十分な準備をしていきたい」と、素晴らしいメッセージを語りました。
9月の国内ツアー「パナソニック・オープン」で日本ツアー史上5人目のアマチュア優勝している中島は、帰国後は日本ツアー最終戦のメジャー「ゴルフ日本シリーズJTカップ」(12月2~5日・東京よみうりCC)へ向けて次なる準備に入ることになります。
埼玉・加須市生まれ。代々木高から現在日体大3年。これまでオーストラリアアマ選手権(18年)、アジア大会個人&団体金メダル(18年)、日本アマ選手権(21年)各優勝・・とアマチュアの主だったタイトルを総なめ。今年8月にトライした全米アマチュア選手権(オークモントCC)では、手痛い予選落ちの洗礼体験も。来シーズン末、アマチュアのすべての大会を終えたあと、暮れには注目の“啓太のプロ入り”が実現するでしょう。
(了)