PGA会長は倉本昌弘氏から“九州のドン”吉村金八氏(69)へ。

倉本昌弘会長に代わり第12代PGA会長に選ばれた吉村金八氏(69)=写真提供:日本プロゴルフ協会

日本プロゴルフ協会(PGA)の新会長に“九州のドン”吉村金八氏(69)が決まりました!PGAは、4期8年間にわって会長を務めた倉本昌弘氏(66)の退任を受け、定時社員総会と臨時理事会を3月10日、東京・ベルサール秋葉原で行い、立候補した吉村金八氏と田中泰二郎氏(59)2人の一騎打ちとなった会長選は、100票中、過半数の61票をとった吉村氏が、新会長に選任されたものです。副会長には芹澤信雄氏(62)=ツアー担当=、明神正嗣氏(62)=ティーチングプロ担当=の2人が選ばれました。吉村氏はレギュラーツアー時代、飛ばし屋で豪快なゴルフを身上としたプロゴルファー。“キンパチ”の愛称で親しまれ九州オープン4勝やレギュラーツアーは通算6勝。高知出身ですが鹿児島に在住、現在も九州プロゴルフ協会の会長を務めるリーダーです。超5000人の会員を擁するPGAを束ねる吉村新体制の手腕に注目が集まっています。会長任期は2年。

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定時社員総会・臨時理事会で挨拶する吉村金八新会長(東京・秋葉原)

1952年生まれの吉村新会長は今月(3月)20日に70歳を迎えます。2017年からPGAの理事を務め、九州地区をまとめる“親分”といわれてきました。九州からのPGA会長は、最近では2003年から3年間務めた長田力氏以来です。九州地区プロゴルフ協会の会長としての実績もあります。会長就任後も「鹿児島を拠点に活動したい」と話していますが、PGA会長となれば多種多様の事業を統括・運営していかなければなりません。

プロゴルフ協会は「シニアツアー」とレギュラーの「日本プロ選手権」を統括・主管しています。シニアの試合数を減らさず増やしていくことには腐心しています。日本プロ選手権の冠スポンサー誘致も重要な案件です。この2つは“PGAの看板”ともなるものです。が、それにも増してPGAには重要な仕事があります。プロテスト運営などの資格認証はじめ競技管理・事業企画・ジュニア育成などPGA本来の事業です。5000人をゆうに超える会員を擁し、歴史あるPGAを発展させていく責務が会長にはあります。「全会員の資格を維持し、価値を高めることが大切な役割」とコメントしている吉村新会長。その先頭に立って、体を休めている間もありません。

吉村金八新会長(中央)をはさみ、芹澤信雄(右)、明神正嗣(左)両副会長。

ましてや今回は、倉本昌弘前会長時代にIT事業委託の失敗による約1300万円の損失問題をPGAが起こしたばかりです。倉本前会長の「任務懈怠(けたい)責任」は最終的に認定されませんでしたが、これに絡んで井上建夫前副会長が、副会長・理事職ともに辞任する“事件”でした。そうしたものも払拭していかなけばならない吉村新体制といえるでしょう。

吉村金八新会長のプレー写真。

 

 

 

<吉村新会長コメント>
「先輩方が築き上げてこられた事業を継承しつつ、組織の改善や制度の見直しをしていきます。(これまでの)いいところは進め、そうではないところは全員でアイデアを探して解決していく。さらなる飛躍につとめなければなりません。僕は調整型の人間なので、みんなの意見を大事にして進んでいきたい。会長職でこれからは忙しくなりますが、僕は(高知出身)回遊魚なので、忙しいのは平気。シニアの試合数も1試合でも増やす努力をし、コロナ禍による未曾有の危機を乗り越えてその先にゴルフ界の明るい未来を築きたい。みんなとともにゴルフの普及、発展に寄与してまいります」
一段と気を引き締めたコメントを出しています。

PGAシニアの試合会場(打つのは中嶋常幸プロ)

副会長には著名度の高い芹澤信雄氏(62)を起用しました。レギュラーツアー5勝。20年から理事を務めていますが、主にツアー担当で「みんなで手分けして力を合わせてツアーを盛り上げたい」と語っています。明神正嗣氏(みょうじん・まさつぐ、62)は主に事務方で資格認証やティーチング(TCP)などを担当します。

協会には理事に立候補できるのは70歳までという規約があるため、吉村会長の任期は2024年3月までの1期2年間のみとなります。限られた短い任期ではありますが、PGAが“吉村色”に変わっていくかどうか。期待と興味が集まっています。

(了)