中島啓太(23)・蝉川泰果(22)のライバル戦白熱!啓太、抜群の強さ光る!

男子ツアー新規大会「横浜ミナト・チャンピオンシップ」を制し、初代覇者のカップを受け取る中島啓太(横浜CC)

中島啓太(23)の凄さ・強さを見せつけた1戦でした。横浜カントリークラブで行われた男子ツアーの新規大会「横浜ミナト・チャンピオンシップ」(8.3~6)。中島は2打差の2位から出た最終日。1番でいきなりバーディー。2番も2mにつけたところで土砂降りの雷雨に見舞われて3時間22分の試合中断。ウエアを取り替えた再開直後にこの2mを決めて連続バーディー。これをきっかえに見せるわ見せるわ、ナイスショット&パットの連発。最後18番のパー3では同学年のライバル、蝉川泰果(22)に1打差と迫られましたが、15m近いロングパットを30mに寄せる離れ業。「66」で通算13アンダー。1打差を守り切って逆転のプロ2勝目(アマ時代と通算3勝目)。新規大会初代覇者に。優勝賞金2000万円を獲得して賞金王争いでもトップの金谷拓実と入れ替わり再び首位に返り咲きました。

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最終日、ダブルボギーを打ちながら「66」で中島追撃の手を緩めなかった蝉川泰果。
1打差及ばず2位。啓太・泰果時代の幕開け!

男子ツアーは13試合目。年間26試合の折り返し点です。神奈川の名門・横浜CCを舞台に、港湾企業「藤木」の創業100年を記念した肝いりで新規大会が参入しました。大会実現に尽力した丸山茂樹プロをアンバサダーにすえ、横浜CCでは2018年に開催した「日本オープン」以来のトーナメントとして脚光を浴びました。適度のアップダウンがあり、フェアウェイを囲む両脇には厄介なブッシュが潜むトリッキーなコースです。ブッシュに入れたボールが見つからず、今回も蝉川泰果や鈴木晃祐らがロストボールを犯して泣きました。パー5がアウト・インに1個ずつしかなく、最終18番に237ヤードのパー3があるのも選手には息の抜けないレイアウトです。最終日大接戦の末、蝉川泰果に1打差に迫られれて最終18番を迎えた中島啓太。ボギーは叩けない場面。軽い打ち下ろしのパー3。6Iのショットはグリーン左奥ギリギリにオンしてカップまでは約15m。一組前でホールアウトしていた蝉川もグリーンサイドで見守る息を飲むシーンでしたが、深呼吸一番、中島のパットは正確なラインを転がり、止まったのはカップ30cm手前。見事なタッチのパーで蝉川の追撃を許しませんでした。

会場の横浜CCは2018年の「日本オープン」で中島はアマチュアで出場、予選落ちを喫しています。16年にはコースの大改造を施し、2グリーンから1グリーンへとコースの顔も一変した横浜CCです。「あの頃はショットのスピンコントロールもうまくできず、傾斜のあるグリーンにもほんろうされた。5年前からはかなり成長した」という。

 

正確なショット、パットを駆使した中島啓太。3時間余の雨天中断にも負けず!

3時間22分の中断を経ても中島のパット、ショットは変わらなかった。6番で最後に曲がる7mを読み切り、8番ではまた7m。9番は見事なスピンショットで“OK”と連続バーディー。その8番ではトップを走っていた蝉川がブッシュに入れて痛恨のダブルボギーと対照的な展開で2位に2打差をつけて後半への折り返しでした。インでも13番ではカップインしそうなスピンショットで魅せる6個目のバーディーで3打差と、トップの座を固めました。

 

 

 

 

 

同学年の蝉川泰果(左)と中島啓太(右)。=22年12

「雨がすごくて長い一日でした。このコースはトリッキーで、差はあってもないようなもの。自分を信じて、スコアを伸ばすことだけを考えていた。暑さと雨・風でグリーンの芝生がフカフカして読むのが難しかった。最後、蝉川プロのような勝負強い選手から逃げ切れたのは自信になるし、うれしい。これから夏も秋も熱い試合が続くので、また優勝できるよう頑張ります。賞金レ―ス、今週は金谷さんがいなかったから」(中島)
蝉川を筆頭に、飛ばし屋の清水大成や、永野竜太郎、鈴木晃祐、稲森佑貴らの激しい追い上げを最後まで許さなかった中島啓太の心・技両面の強さが際立ちました。
今季6回目の最終日最終組で勝利をつかみ取った中島啓太。獲得賞金2000万円を上乗せして獲得賞金は8806万円でトップ返り咲き。今季13試合を終了し、中島の2勝のほか平田憲聖2勝。蝉川泰果1勝と2000年生まれだけで今季5勝。男子ツアーの若手群像の躍進がとまりません。

(了)