海外ゴルフのメジャー、「全米女子オープン」の出場3枠をかけた米国カリフォルニア地区での予選会で、ただ一人トライした日本勢、吉田優利(24)がトップ通過を果たす快挙です。吉田は昨年の全米女子オープンにも出場して予選落ちしており、リベンジを期す一戦。予選会は米国23会場とカナダ、日本、ドイツで36ホールストロークプレーの一日競技で5月20日までの間、実施されます。日本地区での予選会(千葉・房総CC)は、4月22日に行われ、5人がこれを突破。現時点で出場権を保持する日本勢は、過去最多だった昨年の22人に次ぐ20人。今季の「全米女子オープン」は優勝賞金が昨年の約3億円から倍増の約6億円(400万ドル)にアップしており、ビッグマネーを目指しての日本勢の奮闘が待たれます。本大会は5月30日から米ペンシルベニア州ランカスターCCで開催されます。
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今季から米国女子ツアーに参戦、日本を留守にしている吉田優利。これまでの成績は出場3戦で予選落ち2回と苦戦の格闘を続けています。その吉田、日本地区を見向きもせず米国カリフォルニアの予選会にトライしました。この会場では74人中、出場権は「3枠」の狭き門。第1ラウンド、7バーディー、1ボギーの「66」で滑りだした吉田は、第2ラウンドもその勢いに乗って10バーディー、2ボギーの「64」。トータル14アンダーの快スコアで2位には4打差をつける首位通過。見事に米ツアーメジャー切符を手にしました。帰国することもなく次は5月9日からの米ツアー「コグニザント・ファウンダーズ・カップ」(ニュージャージー州)に出場予定となっています。
吉田はプロ5年目で国内ツアー3勝。すでに米ツアーで活躍している古江彩佳や西村優菜らと同じ2000年生まれのミレニアム世代の一人です。22年当時は国内で2位が5回という惜敗を重ね、悔し涙を流したすえに昨季は「ワールドレデイス・サロンパス」で国内メジャー初優勝。今季はそのディフェンデング試合もスキップして米国に滞在。憧れの米ツアーに勝負をかけている様子がうかがえます。
ところで、今年の「全米女子オープン」は賞金が大幅にアップして話題です。賞金総額は昨年から100万ドル増で1200万ドル(約18億円)。優勝賞金は200万ドルから倍増の400万ドル(約6億円)。決勝進出全60選手の最低でも5万5000ドル(約825万円)を手にできます。米自動車ローン産業を手がけるアライ・ファイナンシャルの新しいパートナーを得たことによる増額とか。「全米女子OP」の名誉とともに、超ビッグマネーを狙って日本ツアーから参戦するプレーヤーが20人に及ぶのもうなづけます。会場となるランカスターCC(ペンシルベニア州)はアップダウンの多い難コース。2015年の前回大会では韓国の女子大生プロだったチョン・インジ(田仁智)が8アンダーで優勝していますが、日本からは大山志保が通算3アンダー、5位と健闘しました。鈴木愛(32位)、菊地絵理香(35位)、横峯さくら(47位)、森田遥(60位)らも参戦していますから、今回も出場予定の鈴木愛らには特に期待がかかります。
一方、今回の日本予選(36ホールストロークプレー)はアマチュアを含む117人が参加。規定の「5枠」をクリアしたのは、トップ通過の尾関彩美悠(あみゆ)はじめ河本結、藤田さいき、サイ・ペイイン(台湾)と、プレーオフを制した木村彩子の計5人。加えて過去10年の優勝者・笹生優花。前年トップ10入りの畑岡奈紗、古江彩佳。「AIG全英女子オープン」優勝の渋野日向子。前年米ツアー優勝の稲見萠寧。4月3日時点の世界ランキング75位以内に入った山下美夢有、岩井明愛、小祝さくら、西郷真央、岩井千怜、鈴木愛、桜井心那、西村優菜、神谷そら。前週ハワイでの予選会を突破した仁井優花ら。世界に門戸を広げている「全米女子オープン」は日本勢にも身近なメジャーとなって、昨年は22人、一昨年は15人とこのビッグゲームを経験した日本勢は増えています。21年には笹生優花が優勝して大きな話題を提供しました。それに続く“日本人女王”の誕生が待たれます。
(了)