Daily Archives: 2021 年 5 月 31 日

石川遼(29)、「全米オープン」日本予選をトップ通過で6度目の挑戦。松山英樹に続き今年こそ何かを起こすか?!

「全米OP日本予選」1、2位で通過した石川遼(右)と浅地洋佑(左)。嬉しいメジャー挑戦切符獲得だ(ザ・ロイヤルGC=茨城)提供:JGA。

6月17日開幕の「全米オープンゴルフ」の日本予選で石川遼(29)と浅地洋佑(28)の上位2人が本戦への出場権を獲得。話題を盛り上げています。この最終予選は5月24日、ザ・ロイヤルゴルフクラブ(茨城県)で出場14人による1日36ホール競技で2枠を争い、石川が67、67の通算10アンダーでトップ通過。浅地が68、68の通算8アンダーで2位に入りビッグチャンスをつかみました。石川は昨年5年ぶりに全米に出場して予選を通過、51位に終わっていますが「予選でも1位通過は嬉しい」と、2年連続6度目の全米OP挑戦に興奮気味です。浅地は19年の全英OPに続きメジャー2度目の切符。東京・杉並学院高で石川の2年後輩で“杉並学院コンビ”の全米出場には「感慨深いものがある。出るからには4日間を戦いたい」と、決意をのぞかせています。今年の会場は米カリフォルニア州サンディエゴのトーリーパインズGCサウスコース。2008年大会で、左膝の手術から復活したタイガー・ウッズが本戦18番のバーディーでロッコ・ミーディエート(米)に追いつき、翌月曜日のプレーオフ(18ホール)19ホール目でタイガーが死闘を制した名コース。日本選手ではほかに松山英樹が出場しますが、6月7日時点での世界ランキング60位以内にも出場権が与えられます。

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日本予選で36ホールを67、67の通算10アンダーで1位になった石川遼(ザ・ロイヤルGC)提供:JGA

コロナウイルス拡大の影響もあり、今回の日本地区最終予選出場者は14人にとどまりました。仮に全米にトライしても、コロナ禍の渡航は帰国前後の困難が伴います。帰国後、2週間は自主隔離の公算が強いのです。それにもめげず、挑戦意欲をあらわにした石川遼。かつては米国で戦った経験者だけに「全米オープン」の魅力を知り尽くしているのでしょう。5年ぶりに出場した昨年は最終的には18オーバーの51位に終わっています。

★今年日本予選をトップ通過した石川遼のコメント

「トーリーパインズはいままで3~4回プレーしていて好きなコースの一つです。全米オープンのセッティングでまた回れるのは凄く楽しみです。PGAツアーの時のセッティングと全米オープンのセッティングは全然違う。今回もものすごいセッティングになると思いますね。攻略法なんて行ってみないと分からないです。去年もそうでしたが、全米オープンでは学ぶところが沢山ある。難しいコースになればなるほどふるいにかけられていく世界です。そうした中で勝ち残っていくには何が必要なのか。自分のゴルフに生かす材料がたくさんあります。だから今年も出たいと思っていた。予選は36ホールという短期戦だったけど、1位通過というのはやっぱりうれしいですね。全米までは日本でよく調整し、気持ちを切り替えて自分のできることに集中して落ち着いた気分で行けるようにしたいです」
2008年、タイガー・ウッズのトーリーパインズの死闘も「テレビで見ていてよく覚えていますよ」と遼クン。今からワクワクの表情をみせています。

昨年に続き6回目の全米OP挑戦の石川遼。30歳を目前にして今度こそ!の意気込み。

今年第121回大会を迎える全米オープンの舞台、トーリーパインズは、サンディエゴ近郊の太平洋に面した断崖にそって1957年に開場した名門コース。難度が高いのがサウスコースで、PGAツアーでは最長距離の全長7698ヤード、パー72。春にはファーマーズ・インシュランスOPが行われるコースで、今年1月にはパトリック・リード(米)が通算14アンダーで優勝しています(松山英樹は1オーバーで53位。小平智は予選落ち)。
今春の石川、米ツアーはハワイ(1月)とフロリダ(3月)で、2試合“武者修行”しましたが、2試合とも予選落ちを味わいました。国内ではいいゴルフを見せるのに、海外に出るとどうも実力を発揮できません。09年には18歳で史上最年少の賞金王に君臨。2013年から米国ツアーに主戦場を移しました。米ツアーでは2位を2度経験しながら、未勝利のまま16年には腰の故障で半年近く戦列を離脱。17年秋から国内を主戦場に復帰。19年には再度腰痛に苦しめられながらも、日本プロ、ゴルフ日本シリーズJT杯など年間3勝する劇的な復活さえみせました。日本ツアーでは通算17勝。いったんは米ツアーから撤退した石川ですが「夢は米ツアーで勝つこと」と、いまも米国での夢は捨てていません。
再び巡ってきた全米オープンの大舞台。しかも「大好き」というトーリーパインズでの大勝負です。この9月には30歳を迎え、厳しいトレーニングなどで一回り以上も太った最近の遼クンが、どんな結果を出してくれるか。見ものです。

米国へ行けば、同い年の松山英樹と劇的だった4月のマスターズ以来、初めての再会も待っています。
「そうですね。現時点では彼に置いていかれてる“差”を感じてます。でもその方がモチベーションも上がります。英樹はメジャーで勝てる力を持っていてマスターズに勝ったのは、もの凄いこと。その“差”がどれくらいあるかは目で見えるものではないですけど、コツコツ差を縮めていくしかないと思ってます」

“会ってどんな話しをしたいかって?”
「さあ、シカトされなければいいレベルかな(笑)。ゆっくり話せるかどうか。自分は自分ですし、タイミングが合えばという感じですね」(遼)。

「全米OP日本予選」好調なゴルフで2位に入った浅地洋佑(ザ・ロイヤルGC=茨城)提供:JGA

一方、全米OP初出場の浅地は、日本予選会で石川に次いで2位通過。36ホールを68、68の通算8アンダーで回りました。その日が28歳の誕生日だったという嬉しい一日でした。「きょう、こんなにいいプレーができるとは思ってなかったのでうれしい」と、短期決戦を勝ち抜いて満面の笑みでした。19年にダイヤモンド・カップでプロ初優勝し、ANAオープンでも5人プレーオフを制して年間2勝。その年に全英オープンに初出場。予選も通る経験もしました。「全英で体験したメジャーの雰囲気に魅了された。メジャーにまた出たいという気持ちがずっとあった」(浅地)。今度は全米オープンの晴れ舞台に初出場の自分が立つのは格別です。

19年の全英OPを経験した浅地洋佑。今度は初挑戦の全米OPが舞台。“杉並学院高コンビ”で燃える!

「ものすごい厳しいセッティングで手も足も出ないようなコースかもしれないけど、行くからには自分のゴルフを貫いて4日間戦いたいです」とキッパリ。コロナ禍で帰国後は自主隔離などで試合が制限されるでしょうが「せっかくのチャンスをもらったらには、行かないと後悔しそうなので」と意欲をみせています。高校の先輩・石川遼と一緒にメジャー出場できるのも「感慨深いです」。トーリーパインズの全米オープンは、2008年のタイガー・ウッズの劇的勝利をやはり「テレビに釘付けで見ていた。15歳くらいのときだった」という浅地。夢の舞台が現実に。失うもののない浅地のチャレンジを見守りましょう。

(了)