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T・ウィラチャン(54)再来日初戦で完全優勝!タイの“刺客”再びシニアツアー席巻か?!

再来日初戦シニアツアーで優勝したタワン・ウィラチャン(タイ)=写真提供:すべてPGA

昨年のコロナ禍でタイにとどまっていた“刺客”2人が2季ぶりに来日すると、いきなりシニアツアーで大暴れです。その名はタワン・ウィラチャン(54)とプラヤド・マークセン(55)。2人で争った優勝を制したのはウィラチャンの方。怖い、怖いシニア賞金王(2019年)が、帰ってきた今季も、またシニアツアーを蹂躙(じゅうりん)しそう。シニア第3戦「すまいーだカップ・シニア」は6月3~5日、栃木・イーストウッドCCで行われ、初日から首位のウィラチャンは3日間トップを譲らず、最終日は急追してきた僚友・マークセンも突き放して来日初戦で通算13アンダーの完全優勝。優勝賞金1000万円を獲得しました。日本シニア通算4勝目です。この2人で稼いだシニアツアーの勝ち星は計19勝(ウィラチャン4勝、マークセン15勝)。日本期待のシニアルーキー丸山大輔、細川和彦、宮瀬博文らも、勝負になりませんでした。

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タイ勢のリーダー格、P・マークセン。来日初戦でウィラチャンと優勝争いで2位。今季も強そうだ。

国内シニアツアーは今季第3戦が行われましたが、マークセン、ウィラチャンは4月25日に来日。2週間の自主隔離をホテルで過ごしました。「その間は寝て、食べて、後はパターの練習ばかりしてました」(ウィラチャン)という。5月13日からのレギュラーツアー「ダイヤモンドカップ」(神奈川・相模原GC)に出て小手調べ。外でクラブを振ったときは「アイアンが重たく感じて、コースを歩くのも辛かった」(ウィラチャン)というほどで、相当体もなまっていたようです。日本に来られなかった昨年は、タイでシニアの試合に出ていたが「優勝しても30万円くらいで、もうお金がないヨ」と苦笑するウィラチャン。ダイヤモンド・カップは2日間7オーバーで116位でマークセンともども予選落ち。おまけに木の下にいったボールの処理で、木の根っ子を直接打ってしまい左手首を痛めたという。そのあとは愛知県の豊田市にいて練習ラウンドなどで徐々に復調してきたそうですが、まだまだ完調での試合出場ではなかったのでしょう。今週の練習ラウンドでは打球が左、右にばらついていい状態ではなかったのです。

国内のシニアルーキー、丸山大輔。タイ勢と優勝争いまでいったが、ウィラチャン、マークセンに敗れ3位。

それでいて「すまい~だ」の初日には「自分でも信じられなかった」64をマーク、いきなり単独首位に立ったのですから驚きです。2日目にはマークセンと日本のシニアルーキー、丸山大輔が4打差の2位に急追してきて最終日を迎えました。ウィラチャンは2、3番でティーショットをミスして連続ボギー。7番パー3では9Iをダフって池ポチャ。3人(ウィラチャン・マークセン・丸山」大輔)が8アンダーでトップに並ぶなど前半崩れて大苦戦でした。「もう自分に怒ってました。今日は優勝できないなと思ってました。でも気持ちを落ち着かせようと、痛めていた左手首にスプレーかけて冷やしたりした。気持ちを切り替えたら8番パー5で2オンしてバーディーが取れた。優勝を意識するのをやめたら、パターもよくなってきたんです」
後半は10番で再びリードを奪い返すと、ボギーなしで4つのバーディーと調子を取り戻し2打差で逃げ切りました。

正確なショットと安定したパットでシニアでは抜群の強さを見せるウィラチャン

苦戦しながらも後半は盛り返すウィラチャンの底力。欧州シニアツアーでは2勝。06年にはアジアンツアーの賞金王にもなっています。2019年には4738万8525円を稼いで国内シニア賞金王に君臨しました。マークセンには飛距離で劣りますが、正確なショットとパターのうまさは定評のあるところ。日本のシニアツアーでは抜群の強さをみせ、昨年はコロナ禍で日本を留守にしたブランクも関係なく、“賞金王”の強さをそのままに舞い戻ってきました。
「お金がなくなったから今年は日本のシーズンが終わる12月まで日本で頑張るよ」ー。
強さでは実績のある僚友・マークセン(16、17、18年3年連続国内賞金王)と手を携えて日本のシニアツアーにどっかりと座るウィラチャンは不気味です。シニアツアーは帰ってきた2人から目を離せません。

(了)