Daily Archives: 2021 年 6 月 14 日

松山英樹に続いた笹生優花(19)の「新世界」。世界ランク40位から一気に9位へ。 米ツアー賞金ランクも1位。“米女王”への道、一直線か!?

プロ2年目、19歳で全米女子OPを制した笹生優花。

女子ゴルフの“最高峰”、全米女子オープンを史上最年少で制した笹生優花(さそう・ゆうか、19)が投じた波紋の広がり。後を絶ちません。その後発表された世界ランキングは、前週の40位から31ランクも上げて一気に9位に上昇。プレーオフで戦ったランク10位の畑岡奈紗を抜いて日本女子最上位に立ちました。またこの優勝で5年のシードを得た笹生は、即決で米女子ツアーのメンバー入りを決めています。次の照準とする全米女子プロ選手権(6月24~27日、米ジョージア州アトランタアスレチックC)までは少なくとも米国に残り、日本には帰りません。東京五輪前には日本ツアーでの凱旋出場もうわさされていますが、今後笹生がどこで、どう戦うのか。興味あるところで、スケジュールの正式発表が待たれます。

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「世界の笹生優花」として“時の人”になった優花。

東京五輪まであと1ヵ月余り。各国の女子ゴルフ代表は6月28日付の世界ランク上位2人が出場枠ですが、日本、フィリッピン両国国籍を持つ笹生は、日本選手としてではなく、母方のフィリピン代表として五輪出場の意向です。従って日本代表は10位の畑岡奈紗が確定的で、残る1枠を稲見萠寧、古江彩佳、渋野日向子らがあと2週で争うことになります。
東京五輪の女子ゴルフの開幕は8月4日。その五輪前に笹生が日本ツアーに凱旋プレーをできるかどうか。米ツアーの女子プロ選手権出場を終えた笹生が、すぐ来日しても新型コロナウイルス感染症対策で2週間の自主隔離が待ち構えています。そのため7月の1、2週の試合出場はムリ。あえて出場するとすれば、そのあとのGMO&サマンサカップか大東建託いい部屋ネットあたりを選ぶ可能性は残されています。女子OP優勝で笹生が得た米ツアーの5年シードはうれしいご褒美。さらに獲得した優勝賞金(約1億1000万円)を積み重ねて、米ツアー今季の賞金ランキングも笹生が一躍トップに躍り出ました。このまま米ツアーに居座って戦うのも1案ですが、プロとして飛躍した日本で、成長した「世界の笹生優花」を一度は地元のファンや関係者に披露する思いは強いようです。
五輪開幕直前の7月22日からはメジャーのエビアン選手権(フランス)。五輪後の8月19日からはAIG女子オープン(全英女子=スコットランド・カーヌスティGL)と欧州シリーズも控えています。「ゴルファーとして世界一になるのが夢」という海外志向の強い笹生です。今回、エビアン出場は日程的に難しそう。五輪前に米ツアーを離れるとしたら、やはり日本ツアーを選ぶ可能性は強そうです。

厳しいトレーニングで体幹を鍛えた笹生優花のショットは、飛んで、シャープだ。

ゴルフ界は若い力が次々と台頭してきます。とくに女子ではその波は大きく、ついに新世紀世代と呼ばれる10代のニューパワー・笹生優花が、20代黄金世代の畑岡奈紗と世界最高峰のトーナメントでプレーオフ対決、勝利する大変な時代がやってきました。この大きなうねりには、日本の女子ゴルフ界だけでなく世界の女子ゴルフ界で、驚嘆の声が上がっています。
2001年生まれの笹生は、この6月20日で20歳の誕生日を迎えます。父は日本人の正和さん(63)、母はフィリピン人のフリッツイさん。フィリピンで生まれ、5歳から3年間は東京で暮らし、宮里藍とタイガー・ウッズにあこがれてゴルフに興味を持ち、8歳ごろから真剣にゴルフを始めると練習環境のいいフィリッピンに移住。高校は通信制の東京・代々木高に入って学びました。「ゴルフがうまくなるには下半身を鍛えなくてはダメ」と父親から男子並みの厳しくハードなトレーニングを課せられ、ゴルフの腕も体力もぐんぐんと成長していったのです。

昨年8月、NEC軽井沢72でツアー初勝利する前週、長野・北佐久の立科GCでコース所属の初見充宣プロ(右)と練習ラウンドした笹生優花(左)。

鍛えられた強靭な足腰で260ヤード超を飛ばす長打力。環境に動じない強固な精神力で実力を発揮できるアイアン&パター。笹生が目指す次なるメジャー征服は、夢の米ツアー賞金女王への道でもあります。
重国籍者は20歳未満ならば22歳に達するまでにいずれかの国籍を選択しなければならないと定められています。父親によれば「東京五輪ではフィリピン代表で出て、いずれは日本国籍に一本化したい」(父親・正和さん)とされています。フィリピンで生まれて土台作りをし、日本でプロとして飛躍した国際人・優花。世代や国境を超えて洋々たる未来がそこにあります。

(了)