日本最古のゴルフトーナメント「日本プロ選手権」(岐阜・三甲GC谷汲コース)で2位に6打差をつけて独走していたショーン・ノリス(43 南ア)が、テレビ視聴者からの指摘で2罰打を受け、最終日は一転して74で通算10アンダー9位に転落する珍事件が起こりました。これでノリスの日本タイトル4冠はまたお預け。視聴者からの指摘の是非が再び議論の的となりそうですが、テレビの公平性の判断は難しい。
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ノリスは2017年にツアー選手権、21年に日本オープン、24年に日本シリーズを制しており、今大会に勝てば日本タイトル全4冠を獲得するグランドスラムを達成するプレーヤーです。日本で戦い続けるのは「日本の文化や食事が好き」と話し、焼肉、食べ放題などが特に好物だという親日家。ゴルフの方も精度の高い飛ばし屋で、ロングシャフトのパターを長く愛用。欧州ツアー、日本ツアーを掛け持ちするタフなプロです。
この週の「日本プロ」、初日の4打差9位から、2Rは大会記録に並ぶ11アンダー「61」をマークして2位に6打差をつけて単独首位でした。史上7人目の日本タイトル全制覇を目指しプ好調なゴルフを展開していました。
問題のホールは3日目14番(パー5)
グリーン上でノリスがボールをマークしたときのこと。
普通はボールの手前に隣接してマーカーを置きますが、ノリスは大きな膝を折り曲げ、マーカーをボールの真下まで差し込むように入れてマークを終えるのです。ボールをリセットするときには、置いたマーカーの前にボールを置くのでその分元のボール位置よりグリーンには(2~3㌢)近づいてリセットすることになります。
この部分をテレビ中継で見ていた視聴者からの指摘でした。競技委員会(天野克彦委員)はプレー後ノリスを呼び、同席してテレビ映像を拡大画面、スローで確認。ノリスも「故意ではないが、誤所からであること」は認め「2罰打」(ゴルフ規則14・7)を科し、14番はダブルボギーとするのを承認しました。
前日は11アンダーで回って単独トップに立ったノリスも、3日目は3つ落とす75で12アンダー。首位も生源寺龍憲と並ぶなど、リードは1日にしてなくなりました。その日18番(パー5)では、フェアウェイからドライバーで290ヤードの2オンを狙いましたが、つま先下がりのライだったこともあり、落ち着きをなくしたのか、打球は大きく右に曲がって池に落ちてボギー。ノリスには最悪の1日でした。
最終日も4バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの74で、後半2日間は人が変わったようなゴルフ。「4日間やる中で1日はうまくいかない日もある。最悪としかいいようがにが、流れがよくなかった」とノリス。結局は通算10アンダーの9位。「日本タイトルはまた来年チャレンジするよ」と、最後はさばさばでしたが、特にこうしたトップ選手が、紛らわしいプレーをすることは重々避けてほしいものです。
(了)