不動裕理の”勝利のエッセンス”をもらえるか?福嶋晃子。コラボ練習を懇願したアッコ

プロ20年目の節目を迎えた福嶋晃子。今季にかける気合はいつもと違う。
プロ20年目の節目を迎えた福嶋晃子。今季にかける気合はいつもと違う。

 プロ20年目を迎えた福嶋晃子(37)が、いままで交友のなかった3つ年下の”女王”不動裕理(34)を招き、マンツーマンの自主トレーニングをするという珍しいシーンが実現しました。2月上旬のことですが、広島にある晃子の父親・久晃さんの実家で2人が寝起きをともにした2日間は、福嶋にとってかけがえのないものだったようです。3月4日(金)の女子ツアー開幕を控えて、さきごろ東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪では「福嶋晃子激励会」も行われましたが、晃子が披露した不動裕理との「充実した2日間」のコラボは、どんな花を咲かすでしょうかー。
 
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福嶋晃子が"一緒に練習してほしい"と懇請した不動裕理。"女王"不動裕理とのトレーニングを積んだ福嶋晃子の今季は注目。
福嶋晃子が"一緒に練習してほしい"と懇請した不動裕理。"女王"不動裕理とのトレーニングを積んだ福嶋晃子の今季は注目。

 福嶋晃子37歳、プロ20年目。26勝。賞金女王2回。不動裕理34歳、プロ16年目。48勝。賞金女王6回。永久シード選手。ここでも差をつけられていますが、生涯獲得賞金になると、不動の11億7736万7824円に対して福嶋は8億7528万8627円。ランクは2位とはいえ、大きく遅れをとっています。福嶋だって堂々たる日本女子のトッププレーヤーですが、不動の飛びぬけた実績の前には頭が上がりません。
 山あり谷ありのプロ20年目の節目を迎えた福嶋が、期すところあって特に親密でもない不動に昨シーズンが終わるころから声をかけていたのです。快く応じてくれた不動は、2月初旬、福嶋の父の実家、広島へ赴いたのでした。「不動さんが初めて来るというのでうちでは大騒ぎでした。泊まりの用意のあれこれや、食事の準備、タオルはどうなっているの、となにからなにまで準備にてんてこまいでしたよ」と、晃子は苦笑していました。
 
 あえて不動に声をかけ、2日間寝食を共にするトレーニングができたことは、晃子には”目からうろこ”、特に精神面での大収穫があったようです。たっぷり2日、気合を入れたラウンドが一緒にでき、練習場でみっちりと打ち込みやアプローチも反復しました。
 
 晃子の述懐を聞きましょう。
「2日間でしたが一緒に寝起きをともにしてみて、さすが一流の人は違うと感心することが多かったですね。生活の中にも何気ない気配りがあるんです。練習ラウンドでは、私なんかすぐ同じ場面で2球も3球もボールを打とうとするのですが、彼女は1つのボールでしか絶対プレーしません。ワンショット、ワンショットに練習でも凄い集中力があるのです。同じ練習をしていても一流の人は違う。勉強になりましたね。私なんか足りないところがまだまだ多いのが分かりました。追いつかないといけないですね」
 

激励会の壇上で今季への抱負を語る福嶋晃子
激励会の壇上で今季への抱負を語る福嶋晃子

 福嶋は、昨年暮れから友人数名とバリ島へ飛び、南国の正月で英気を養ったたあと、1月4日に帰国しました。本格的な始動は1月13日から。ジムで器械を使ってのトレーニングを交えながら、このオフいかに筋力をつけるかも目標の一つでした。
 20年目を迎える今シーズン、福嶋は34試合中、28試合にエントリーする計画を立てています。もともと腰痛持ちの晃子ですが、ここ数年は足親指の骨折やら左ひざの挫傷。2年前、09年の開幕前には胆石の除去手術を行うなど、なかなか万全の体調でシーズンを通すことがありませんでした。09年は優勝なしの苦しいシーズンを送りましたが、10年の8月に2年1ヵ月ぶりの復活優勝(CAT レディス)を果たして「これでまた頑張れる」と涙したものです。
 

「2011福嶋晃子激励会」で所属のNEC関係者らと鏡開きする福嶋晃子(中央右)=いずれも東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で。
「2011福嶋晃子激励会」で所属のNEC関係者らと鏡開きする福嶋晃子(中央右)=いずれも東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で。

 昨年のオフは左ひざに不安があって山歩き程度しかできなかったのですが「今年は十分に走れました。まだひざへの不安が完全になくなったわけではないのですが、セーブしながらも一年を通して走りこんでいきたいです」といっています。昨年は夏場にはスタミナ切れも感じたそうで「今年は試合の少ない7月などに徹底して合宿並みの練習をして、後半戦を凌げるようにするつもり。これまで経験してきたことを出して、常に上位で戦えるようにしたい」と、例年にない気合が入っています。
 
 昨年まで使用していたテーラーメイドとの用具契約を解消、今年はいまフリーの状態で各メーカーのドライバーを打っています。アイアンは以前から使用しているミズノ製が気に入って手放さないのですが、ドライバーをはじめとするウッド系に悩んでいます。特に自分に合うシャフトを見つけられないようで、飛ばしが身上のアッコには今週に迫った開幕戦(ダイキンオーキッド=沖縄・琉球GC)に多少不安を残しています。
 

今季はQT(予選会)を経て、かなりのトーナメントに出場できることになった妹・浩子プロ(左)と2ショットの福嶋晃子(右)
今季はQT(予選会)を経て、かなりのトーナメントに出場できることになった妹・浩子プロ(左)と2ショットの福嶋晃子(右)

 福嶋はいま、通算30勝(国内ツアー)の永久シード選手になれるゴールへ”あと6勝”に迫っています。晃子は「結果的にそうなればいいですが、それを目標にはしていません」と、口ではいっています。しかし、プロにとって永久シードが、どんなに大きく、意味のあるものかは百も承知です。今年6月には38歳になる福嶋には一気に6勝は楽ではないでしょうが、何とか狙ってほしいものです。1995年から福嶋との所属契約を長期にわたって続けているNECの首脳はじめ、超100人の関係者が集まって盛り上げた「激励会」は、7人目の”永久シード・福嶋晃子”への期待があればこそだったのでしょう。NECのある幹部は「今シーズン、2勝したらそこでNECは祝勝会をやりましょう!」と、ハッパをかけていましたが・・・。20年目のアッコに注目です。