昨冬12月に発表された今季の男子、女子ゴルフツアー日程に続いて、今季のシニアツアーの日程が管轄の日本プロゴルフ協会(PGA)から発表されました。注目の試合数は、昨季から2試合増えて13試合。賞金総額も8500万円増の計7億1000万円で、4年連続の増加です。年間13試合は94年以来21年ぶり。賞金の7億円超えは93年以来22年ぶり。昨年就任した倉本昌弘新会長(59)が、兼任プレーヤーとしてもツアーに出場。最終戦(いわさき白露シニア)の優勝(2勝目)で逆転賞金王になるなど、話題も豊富でシニアへの関心が高まったものとみられます。
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シニアツアーは、レギュラーツアーを管轄する日本ゴルフツアー機構とは別で、日本プロゴルフ協会(PGA)が運営しています。PGAの業務は、プロテストを開催、合格者にプロとしての資格認定を与えることや、ティーチングプロの養成、ジュニア育成などなど、公益社団法人として取り組む部門は多岐にわたっていますが、そのうちの一つがシニアツアーであり、レギュラーツアーの中のプロゴルフ選手権の開催です。
バブル崩壊後の不況時には、最盛期25~26試合もあったシニアツアーが一時期3試合にまで減少(1999年)、シニアツアー消滅の危機にさらされたこともありました。そこから長いシニアツアー苦難の時代が続きました。年間一ケタの試合数は当たり前で、シニアへの関心を取り戻すにに歴代会長は腐心しました。何とかツアーの形態を取り戻し始めたのは2010年の10試合あたりから。11、12年は再び年間8試合と一ケタに逆戻りしながらも13年には12試合に回復。以後11試合(14年)、そして15年は13試合にまで持ち直したのですから、長い長い苦難の道のりでした。
昨年1月に会長に就任した倉本昌弘会長は「シニアツアーも年間15試合くらいにまでは復活させたい」と、常々口にしています。
その手始めとして今季は2試合増の13試合ですから同会長としては順調なスタートといっていいでしょう。
増えた2試合は、「郷心会40周年記念広島シニア選手権」=8月27(木)~28日(金)、広島CC西条コース、賞金総額2000万円=とアルファクラブCUPシニアオープン=9月5(土)~6日(日)、栃木・矢板CC、賞金総額5000万円=のともに2日間競技です。郷心会は、倉本会長の地元・広島での大会。広島の県産物を販売する会社で「約4000社ある」(植田浩史副会長)という連合。倉本会長の尽力で新規開催にこぎつけ、木~金の開催です。「(2日間競技だが)将来的には規模を大きくしていきたい」(同副会長)としています。賞金規模は小さくても試合数を増やしたいというのが会長はじめ、シニア選手の望みです。その意味ではもう一つの「アルファクラブCUP」も2日間競技でこちらは土~日の開催。賞金は総額5000万円と高く「245店を運営する会」(同副会長)でもあり、長期開催への期待は大きくふくらみます。
シニアは今季撤退する試合はなく、逆に賞金額をアップする大会が2試合あります。KYORAKU MORE SURPRISE
CUP(涼仙GC)が7000万円から500万円増の7500万円。マルハンカップ太平洋クラブシニア(太平洋クラブ六甲コース)が4000万円から1000万円増の5000万円。ツアー13試合の総額では8450万円増の7億1000万円となりました。 倉本会長のプレーヤー兼任での活躍をはじめ、尾崎直道、室田淳、羽川豊、加瀬秀樹、井戸木鴻樹・・ら人気選手が好プレーを展開するシニアツアーの魅力はだれもが認めるところです。スポンサーに貢献するプロアマ大会の充実も好材料です。しかし、活躍できるシニア年代の期間は、レギュラーツアーのそれとは違います。すでに青木功は70歳を過ぎましたし、中嶋常幸、尾崎健夫、高橋勝成、飯合肇、友利勝良らは60歳台にさしかかって、もうトップの位置に君臨するのは難しくなってきています。ビッグネームで50歳台のフレッシュなシニア選手の出現が毎年待たれるところです。アメリカでもそうでしたが、シニアツアーの人気をキープするのはなかなか容易ではなく、ゆうゆうとあぐらをかいてはいられないのは現実です。
今季のシニアツアーは、昨季と同じく4月17~18日の金秀シニア沖縄オープン(沖縄・喜瀬CC)で開幕します。11月末の最終戦、いわさき白露(鹿児島・いぶすきGC開聞コース)まで13試合、7月を除いて毎月ツアーが行われるのは賑やかになりました。日本プロシニア(住友商事サミット杯)は10月8~11日に茨城・サミットGC。日本シニアオープンは、10月29~11月1日に三重・白山ヴィレッジGCクイーンコースでそれぞれ行われます。
倉本会長は「PGAは公益社団法人として本来あるべき役割をしっかりと果たしていくことが大事。その中でシニアツアーも試合数を増やし、活性化をはかっていくことは大切です。シニアの人たちが高度な技術を見せるゴルフの面白さ。最近、それを理解していただけているのはうれしいこと」と、語っています。昨年は年間2勝した倉本会長が、3929万2451円を稼いで2度目の賞金王になりました。会長兼選手としての賞金王は史上初の快挙でした。
今年のシニアツアーはどんなドラマが生まれるでしょうか。人気の女子プロ、実力の男子プロ・・とよくいわれますが、いぶし銀のシニアツアーも忘れずに追跡しましょう。