先週終わった男子ツアー、三菱ダイヤモンドカップ(茨城・大洗GC)でシニア勢が大活躍、″ゴルフは遼だけではないぞ!〝の熱いのろしを上げました。6人出場したシニア勢(50歳以上)は、難コース・大洗名物の強風と冷たい雨にも耐えて、6人全員が予選を突破。17歳の石川遼クンも目を丸くする熟練ゴルフを披露、その中でも54歳と7ヵ月11日でのレギュラーツアー歴代2位の高齢優勝を争った中嶋常幸が、大会を盛り上げました。最終日2打差で最終組を回りましたが、ひとつのダブルボギーがアダとなって脱落、惜しくも5打差の9位に終わりました。しかし、熟年の夢を膨らませた4日間でした。(優勝は、プロ17年目、38歳・兼本貴司、涙の初V)。
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「こんな風の経験は僕にはジュニアから通じて初めて! 朝からの海風が一日中やまないのだから」と、遼クンの嘆きでした。三菱ダイヤモンドカップの2日目(5月29日)です。最大瞬間風速16・1㍍の突風。鹿島灘ぞいの名門・大洗コースは高い赤松にセパレートされていますが、それも効果はありません。この日スタートした142人中、アンダーパーで回った選手はゼロ(データが残る1985年以降10度目)。初日70で15位につけた石川遼は、80を叩いて39位に落ちました。初日69で6位だった細川和彦は、83の大荒れでまさかの予選落ちで頭を抱えました。5人の選手が棄権を申し出るなどで、通算スコアでは1アンダーがトップというありさま。ほとんどの選手がくたくたになったこの2日目、6人のシニア選手は全員予選を通過したのですから驚きでした。
出場したシニア選手は次の6人です(予選通過順)。
中嶋常幸(54)。尾崎健夫(55)。室田淳(53)。湯原信光(51)。尾崎将司(62)。倉本昌弘(53)。
このうち室田は、前週全米プロシニア選手権に遠征していて、帰国直後の三菱ダイヤモンド杯に連戦での参加でした。
その代表格、中嶋常幸はトップに4打差の9位タイで予選を通過すると、3日目も終日雨の中、ボギーは1つだけに抑えて4つのバーディー。そのハイライトは難コースの中の難ホールといわれる17番(パー4)。セカンドが届かず、グリーン手前のラフでしたが、そこから約40ヤードの寄せを絶妙のチップショットでカップインさせバーディーに仕留めました。13番以降の5つのパーもすべて″寄せワン〝。味わいある妙技をみせるなど、3日目は69。長年で磨きぬいた技術をフル発揮して2位タイに浮上。首位のB・ジョーンズとは2打差で最終日最終組という盛り上がりでした。
3年前、06年の三井住友VISA太平洋マスターズに勝って以来の50歳代でのレギュラーツアー優勝争い。しかし、シニアツアーでは活躍している中嶋も、レギュラーツアーとなるとそうそう勝てるものではありません。片山晋呉、石川遼らの人気者がすでに優勝争いからは脱落していた最終日の焦点は、中嶋のゴルフ。大勢のギャラリーを引き連れてのラウンドで1番をバーディー発進しながら7番(パー5)でドライバーを左に曲げたミスからダブルボギーとして、これが命取りとなりました。パープレーに終わり、通算でもイーブンパー。9位タイは片山晋呉の20位、石川遼の30位をはるかに凌ぐ大健闘といえるものでした。
「最終日、最終組で、決して悪いゴルフではなかった。勝てなかったのは残念だけど、これで(レギュラーツアーで)勝てるぞ!という手ごたえがちょっとは芽生えたよ。自信になった」と、悪びれずにすがすがしいコメントでした。今シーズンの中嶋は、3月下旬から頭痛や微熱が続く体調不良。練習不足のまま中日クラウンズで初登場しましたが予選落ち。三菱が2試合でした。シニアツアーの方は今年試合が減って8月21日からの開幕戦、ファンケルクラシックまで試合がありません。永久シードを持っている中嶋は、それまでは試合を選びながらレギュラーツアーでファンの前に姿をみせることになりそうです。
三菱ダイヤモンド杯で予選を通ったシニア連、最後まで優勝争いをしたのは中嶋一人でしたが、今年11月には50歳を迎えるシニア予備軍の芹沢信雄(49)が14位タイに入って気をはきました。室田淳が22位、尾崎将司は54位という結果ではありましたが、ジャンボや尾崎健夫には多くのギャラリーがつくなど、4日間ファンを楽しませてくれたシニアはごくろうさまでした。やはり大洗GCのような戦略性の高い難コースには、渋いテクニックの持ち主が浮上するのでしょう。ゴルフとはそういう競技ですね!
◆予選を通った6選手の最終結果
順位 スコア
中嶋常幸 9位 0
室田淳 22位 +5
倉本昌弘 48位 +9
湯原信光 48位 +9
尾崎将司 54位 +11
尾崎健夫 60位 +13
(参考・芹沢信雄 14位 +3)